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ヘリ不正輸出 軍事転用に一層注意を
ヤマハ発動機の無人ヘリコプター不正輸出疑惑は、民生用技術でありながら、軍事にも転用可能な軍民両用技術の危うさを浮き彫りにした。輸出業務に携わる企業への警告と受け止めたい。
ヤマハ発動機が開発した無人ヘリは、主に水田の農薬散布に使われ、農家の人たちを重労働から解放するハイテクの見事な応用例だ。
しかし、飛行角度を検出するジャイロスコープなど、無人ヘリに搭載された技術は同時にミサイルや無人偵察機の性能向上に欠かせない軍事技術でもある。
ヤマハ発動機の無人ヘリは、優れた制御技術のおかげで、素人でも一年以内に操縦が可能という。軍用にすれば兵士の訓練期間短縮につながるわけだ。
以前に輸出された無人ヘリが、ひそかに中国人民解放軍の手にわたり兵士の訓練に利用されたとの現地報道もある。技術進歩にともなって、こうした両用技術はますます増えている。
静岡・福岡両県警は、昨年暮れ、軍事目的に転用可能な無人ヘリ一機を許可なしで中国に輸出しようとしたとして外国貿易法違反容疑で同社を家宅捜索。経済産業省も同社を刑事告発した。
武器輸出に対する世界的な取り決めを踏まえ、経済産業省は一定レベル以上の製品や技術の輸出を輸出貿易管理令などで制限している。無人ヘリもその一つだ。
同社は、輸出しようとしたのは許可の不要な低機能のタイプだと反論しているが、書類上、性能を低く偽って不正に輸出しようとしたとの疑いも持たれている。
一九八七年に発覚した東芝機械ココム(対共産圏輸出統制委員会)規制違反事件も、高度な金属加工用機械を輸出したところ、旧ソ連原潜のスクリュー加工にも転用可能な技術輸出と認定された事件だった。
加工食品の製造に使われるような平和目的の製品でも、高度な装置は、生物化学兵器の製造に転用可能だとして厳しい規制の対象にもなっている。
民間旅客機が特攻機のように使用された米中枢同時テロ以降は、規制対象をさらに広げる「キャッチオール」制度が導入された。この規制強化で企業の輸出を管理する作業量は増えたが、どの企業も規制を守って日々の輸出を行っている。
その中でヤマハ発動機は日本を代表する大企業なのに、組織に緩みが生じたのだろうか。ヤマハ発動機をはじめ各企業には、もう一度管理体制の見直しを求めたい。
「東京新聞」1/28社説
http://www.tokyo-np.co.jp/sha/