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22日、先住民として初めて南米ボリビアの大統領に就任する左派のエボ・モラレス氏(46)はコカ葉農民の代表として反政府運動を続け、政権トップの座に上り詰めた。モラレス氏が暮らしたコカ葉の産地、同国中部コチャバンバ県チャパレ地方を訪ねた。【サンタイサベル(ボリビア中部)で藤原章生】
「コカ葉以外にまともな作物はない。畑を今の10倍に広げたい」。農民のテオドール・オガルテさん(42)がシートの上でコカ葉を乾かしながら語る。高床式の家の前にコカ葉の畑があり、脇に申し訳程度の水田がある。「コカ葉なしでは食べられず、子供を学校にもやれない」
03年10月、政府軍とコカ葉農民が衝突し、70人が死亡した。その後、メサ大統領(当時)と下院議員だったモラレス氏の農民団体の話し合いで、チャパレ地方3200ヘクタールでのコカ葉栽培が合法化され、1軒あたり40メートル四方の栽培が認められた。
オガルテさんは乾燥コカ葉を年間100キロ収穫し、300ドル相当の売り上げとなる。だが、コメやパイナップルの場合だと同じ土地で30ドルほどにしかならない。コカ葉は「金のなる木」なのだ。
麻薬コカインの原料になるコカ葉は口にほお張ると疲れや眠気が消え、コーヒーと似た常習性がある。ボリビアでは人口の6割が常用していると言われる。20日にコチャバンバ市で開かれたモラレス氏を囲む会合でも、参加者の大半がコカ葉を口に含んでいた。
チャパレ地方には83〜84年の干ばつと、85年の鉛鉱山閉山で職を失った約2万人が入植、コカ葉栽培を始めた。米国のコカイン流行と重なり、葉はコロンビアでコカインに精製され密輸された。
米国の指導でボリビア政府は98年にコカ葉駆除作戦を始め、農民と政府軍兵士の衝突が繰り返された。チャパレ地方出身のレオニルダ・スリタ農民女性団体代表(36)によると、昨年までに農民約100人が死亡、5000人が負傷した。「コカ葉はアンデスの伝統作物で、麻薬として使うのは米国人だ。米国は自国の取り締まりを厳格にすればいい」とスリタ代表は話す。
コカ葉の完全合法化を目指した一農民、モラレス氏は「反・新自由主義」の象徴となり、昨年の大統領選で54%を得票し、当選した。農民団体を母体とするモラレス氏の政党「社会主義運動」も議会選で上院27議席中12議席、下院130議席中72議席を獲得した。今後、ボリビアは元農民らが仕切ることになる。
米国はボリビアに年1億5000万ドル規模の援助を供与しており、コロンビアで大規模なコカイン撲滅作戦を継続中だ。モラレス氏が大統領就任後、コカ葉合法化を急げば米国が圧力をかけてくるのは間違いないだろう。
毎日新聞 2006年1月22日 19時21分
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/america/news/20060123k0000m030059000c.html