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『シャロン後』に火花
パレスチナ25日に議会選
イスラエルのシャロン首相の重篤な病状が続く中、パレスチナ評議会(議会)選が二十五日に迫った。選挙には、イスラエル破壊を目指すイスラム原理主義組織「ハマス」が初参加、パレスチナ解放機構(PLO)主流派「ファタハ」に挑む。結果によってはパレスチナの政治地図が一変、“シャロン後”に揺れるイスラエル政局と絡んで、中東和平に重大な影響が及ぶ転機ともなる。 (エルサレムで、萩文明、写真も)
■変革■
「(パレスチナ)自治政府は何も約束を守らない。無能だ」
エルサレム郊外のアナタ村役場。三百人の支持者を前に、獄中から出馬するハマスの候補の演説が、携帯電話越しに響いた。「私たちが政府に参加する。変革の時代だ」。シンボルカラーの緑の帽子をかぶった支持者らが「神は偉大なり」と絶叫した。
自爆攻撃などの闘争と同時に政治参加を進めるハマス。貧困層への福祉施策で人気は高く、地方選で躍進してきた。
一方、イスラエルは、パレスチナと帰属を争う東エルサレムの住民に、今回選挙への投票参加容認を決めたが、ハマスの選挙運動は許さず、投票用紙にハマス候補名があることも認めない。
だが、ファタハへの“肩入れ”とも取れるイスラエルの決定に対し、ハマスは冷静だ。
「圧力、大歓迎」。選挙参謀ナシャト・アクタシャ氏は「勝ったら功労者はイスラエル」と皮肉を込める。敵の圧力が逆に、人気につながるパレスチナ心理。イスラエルの強硬姿勢で「ハマス支持率が急上昇した」との調査結果もある。
ハマスの狙いはファタハとの連立政権下で福祉関係ポストなどを得ることとされる。その先に、PLO参画と次期議長選勝利による支配確立の構想を描く。アクタシャ氏は「この選挙が第一歩だ」と不敵な笑みを浮かべた。
■脇役■
「ハマスは具体的な政策も目標も示さない」
ファタハのアハマド・ジェネイミ候補は集会の演説で、ハマス批判を重ね、「変革を担うのは先駆者だけ」と結んだ。
ファタハ指導者のアッバス自治政府議長は、イスラエルが和平交渉の再開条件とするハマスの武装解除に向け、大勝で基盤を固める必要がある。
だがPLOを支配してきたファタハは、初めて経験する政敵の挑戦におびえているのが実情だ。清廉さが「売り」のハマスに対し、故アラファト氏時代からの腐敗批判が、苦戦に拍車を掛ける。
「主役はハマス。その勢いを脇役がどう止めるかが焦点だ」。運動員が苦しい胸中をもらした。
■兆し?■
「選挙に勝って和平交渉を再開する」(ファタハ候補)
「過去の交渉は無意味だった」(ハマス候補)
選挙後、イスラエルとの交渉に臨む政権の枠組みが確定するが、ファタハとハマスの「和平」は根本的に異なる。
中東新和平案(ロードマップ)の二国家共存を目指すファタハは、イスラエルの「シャロン不在」を千載一遇の好機とみて交渉再開を急ぐ意向。だが、ハマスは「シャロン後も、敵の姿勢に変化はない」と言い切る。
イスラエルにとってハマス壊滅は今や「国是」。ハマスがパレスチナ自治政府に加われば、交渉を拒否する方針も伝わる。ハマスをテロ組織とする欧米も「援助を止める」と、選挙介入に近いどう喝を続ける。
ただ、ハマスに変化の兆しはある。選挙公報からは「イスラエル破壊」を削除した。関係者は「PLO傘下の治安組織が新設され、そこに加わるなら、武器保有を再考する可能性も」と言及。政治と軍事の現実的な両立への道を模索しているとの見方は強い。
民意に基づいて「テロ組織」が躍進した時、停滞中の和平過程が完全崩壊するのか、妥協の末に何らかの進展が図られるのか。国際社会が注視する中、パレスチナは大きな岐路に立っている。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20060122/mng_____kakushin000.shtml