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しんぶん赤旗からhttp://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-01-10/2006011006_01_3.htmlより引用
2006年1月10日(火)「しんぶん赤旗」
イラク 激化する宗派間暴力
米軍占領の矛盾露呈
イランの影響力増大
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米軍占領下のイラクは混迷したまま年を越しました。十二月の国民議会選挙後もテロが続き、占領の矛盾が露呈しています。なかでもシーア派・スンニ派間の暴力は重大です。米国が敵視するイランの影響力の増大も指摘されています。
■各地でテロ発生
「十四人のシーア派家族が自宅で殺され、後日、覆面武装集団がスンニ派の家を襲い五人を殺害した。組織された政治的殺人が進んでいる。
米紙ロサンゼルス・タイムズ一月一日付は報じました。この五日後、シーア派などに対する自爆テロが各地で発生し、百八十人近くが死亡しました。シーア派の武装集団によるスンニ派への報復も危ぐされています。
イラクでは長らくスンニ派勢力が支配的位置にあり、フセイン元大統領率いるバース党もそうでした。二〇〇三年の占領開始後、米軍は占領に抵抗する武装勢力の一掃めざし、スンニ派住民が多数の地域で徹底した武力弾圧を続け、住民多数も殺害しました。この際、シーア派民兵も動員したといわれています。
他方シーア派の政治勢力は、親米派クルド人勢力の協力を得て、イラクの現代史で初めて支配勢力となりました。
スンニ派を含む武装勢力は、攻撃の矛先を占領軍だけでなくシーア派にも向けました。イラク軍兵士や警察官を募集する場を頻繁に狙いました。
しかし「シーア派は十一万人の警察をもつ内務省と民兵組織をすでに支配」し、「米軍が訓練した八万人の軍隊のほとんどもシーア派」です(英紙インディペンデント昨年十二月二十一日)。
聖職者暗殺など、シーア派の兵士や警官によるスンニ派への攻撃もたびたび行われました。さらに内務省が運営する建物でのスンニ派への拷問も明らかにされています。米国占領のもとイラクの宗派間暴力が助長されてきたのでした。この問題は本格政権樹立ですぐに解決される見込みはありません。
隣国イランとの関係も重要です。イラクの現内相は、イランの影響を受けるシーア派のイラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)の有力者であり、SCIRIはシーア派の中心組織。その指導者たちはフセイン政権時代にイランに亡命していました。SCIRIの軍事部門に資金と武器を提供し訓練したのはイランだと広く指摘されています。
イランは七九年革命で親米王制を打倒して以降、米国が一貫して敵視する国。米軍は対米同時テロ後、イランの東西の隣国であるアフガニスタンとイラクに侵略し、両国に軍事基地を作りました。イラクはイランにとって敵対国。八〇年代には戦火を交えました。
そのイラクのフセイン政権を米軍が打倒したことで、イスラエルを除けばイランが中東で最強の国になったともいわれています。そのイランとつながるシーア派勢力が、米軍の占領下のイラクで中心的政治勢力となりました。
■シーア派に依存
英紙インディペンデント(同二十一日)は選挙後こう報じました。「ブッシュ大統領は選挙を米国の政策が成功した印と描いたが、実際はイラク内外の米国の敵が大成功したのだ。イランの支持するシーア派政党が最強の政治勢力になったことをイランは喜ぶだろう。
米国はかねて、イランがイラクに口出しすべきでないと主張してきましたが、ここにきてイラク問題に限ってイランの協力を得る動きをみせています。(小玉純一)