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対ウクライナ 露、ガス供給を停止 ユシチェンコ政権に圧力
【キエフ=内藤泰朗】ロシア国営ガスプロム社は一日、天然ガス価格引き上げ交渉が決裂したとして、ウクライナへの天然ガス供給を一方的に停止した。これは、ロシアのプーチン政権が同国にエネルギーを依存する旧ソ連の兄弟国、ウクライナのロシア離れを強引に阻止しようと動き出したことを意味する。ロシアが強硬手段に出たことで、世界における安定したエネルギー供給源を自負する同国の信頼度が大きく揺らぐのは避けられない情勢となった。
二日のインタファクス通信によると、ガスプロム社は、日量一億二千万立方メートルに上るウクライナ向け供給を一日から削減したとし、事実上の供給停止を明らかにした。
これを受けて、ウクライナ外務省は一日、「経済的圧力と脅しにより最終的にウクライナ経済を不安定化させようとするシナリオが開始された」とロシア側の手法を非難する声明を発表し、国際調停を含む対応策を取る考えを明らかにした。
これに対し、ロシア外務省も「ウクライナ指導部が交渉を意図的に決裂させ問題を複雑化している」と反論している。
ロシアは昨夏、欧米への傾斜を強めるウクライナへの天然ガス価格を、旧ソ連圏向け格安価格の千立方メートル当たり五十ドルから一気に百六十ドルに引き上げる方針を決定した。
その後、さらに五倍弱の二百三十ドルにつり上げたため、市場価格への段階的な移行を求めるウクライナ側が猛反発、対抗措置として同国南部クリミア半島のロシア海軍黒海艦隊基地の使用料金の値上げを示唆するなど双方の溝が深まっていた。
供給停止が続いた場合に、ガス消費量の七割以上をロシアからの輸入に頼っているウクライナの経済が深刻な打撃を受けるのは必至の情勢だ。ウクライナ政府は対策本部を設置し、当面は、備蓄ガスで供給を補うとして国民に平静を呼びかけているものの、見通しは示されてはいない。
今年三月には、二〇〇四年の「オレンジ革命」で誕生したユシチェンコ政権最初の試練となる議会選挙が予定されており、同政権は、今回のロシア側の圧力で厳しい局面に立たされそうだ。
ロシアは今夏、初めて主要八カ国(G8)首脳会議開催国となり、「世界のエネルギー安保を担うエネルギー超大国」の地位の確立を目指す。
だが、ロシアが仕掛けた“天然ガス戦争”は、やはりロシアからのエネルギー供給に依存するグルジアやモルドバなど、旧ソ連圏全体にも波及しかねず、エネルギーを武器に周辺国に影響力を行使しようとするロシアの手法に今後、国際社会で非難の声が高まってくるのは避けられそうにない。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/03int001.htm