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【全訳】『アングロ・アメリカのテロ戦争:概観』byミシェル・チョスドウスキー(2)
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投稿者 バルセロナより愛を込めて 日時 2006 年 1 月 02 日 06:49:55: SO0fHq1bYvRzo
 

【全訳】『アングロ・アメリカのテロ戦争:概観』byミシェル・チョスドウスキー(2)


この投稿は↓に続くものです。
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【全訳】『アングロ・アメリカのテロ戦争:概観』byミシェル・チョスドウスキー(1)
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訳文中の「・・・・・・・」と《 》で囲まれた部分は、著者による他の資料の引用部分、【 】は私からの訳注です。(もし誤訳や訂正すべき箇所などを発見されましたら、ご遠慮なくご指摘願いたいと思います。)


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http://globalresearch.ca/index.php?context=viewArticle&code=CHO20051221&articleId=1576

『アングロ・アメリカのテロ戦争:概観』

ミシェル・チョスドウスキー著

2005年12月21日

the Perdana Global Peace Forum 2005で紹介された論文
Putra World Trade Centre, Kuala Lumpur, Malaysia,
14-17 December 2005

【(1)からの続き】


●国家防衛戦略

200年以来、PNACの基本姿勢は多くの国防文書の中で繰り返し主張されている。2005年5月にペンタゴンは国家防衛戦略文書を公表した。それがアメリカ新世紀計画(PNAC)によって詳しく述べられた現政府の「先制攻撃」戦争ドクトリンの足跡に従うものである一方で、それはもっと進んでワシントンの世界的な軍事日程の概容を定めている。

それは戦争行為に対して「より先を行く」アプローチを求めている。「先制攻撃」や防衛行動では「宣言された敵」に対抗して「平和を維持」し「アメリカを守る」という観点から軍事行動がおこされるのだが、これはそういった弱い概念をはるかに超えているのだ。

この文書は、地域的な戦争の舞台を越えて、米国の世界的な軍事統治を明確に認識している。この統治はまた国々に対して導かれる戦争の計画を含んでいる。その国々が米国に敵対しているからではなく、米国の利益の観点から戦略上必要であるとみなされるという理由による戦争である。先制攻撃の戦争が米国に「敵対的」であると分類される国々に対する「自己防衛」の手段としての軍事行動であるのだが、新たなペンタゴンのドクトリンは、ある国々が米国国土の安全保障に対する脅威であることが明らかな形にならなくても、それらに対して軍事的な介入を行う可能性を想定しているのだ。

この文書は「米国に対する4つの主要な脅威」を次のように概説する。
★「伝統的な挑戦"Traditional challenges"」は、「十分に理解される戦争の形態」を使用する、よく知られ認識された軍事勢力によって起こされるものである。
★「不定の脅威"Irregular threats"」は、いわゆる「より強力な敵と立ち向かうための型にはまらない方法」を使用する軍事力から来る。
★「破局的な挑戦"The catastrophic challenge"」は、「ある敵による大量破壊兵器の使用」に関わるものである。
★「妨害的な挑戦"Disruptive challenges"」は、「米国の優越性に対抗して新しい技術を使用する潜在的な敵対者」に関するものである。
(Michel Chossudovsky, From "Rogue States" to "Unstable Nations": America's New National Security Doctrineを見よ)
http://www.globalresearch.ca/articles/CHO504A.html)


●巨大な防衛予算

この軍事的青写真は世界的な軍事支配権を握る計画の概要を形作る。それは防衛経費の巨大な増額に基づくものである。強調すべき目的は、防衛支出の用語で言うと、欧州での米国の同盟者を含む地球上の米国以外のあらゆる国家をその影で覆う、ということに尽きる。
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《この年(2005年)の米国軍はそれに続く25カ国を寄せ集めたよりももっとおおきいであろう。そこで、特に防衛支出を取り上げると、欧州のそれは減少しつつあるのだか、米国では上昇しており、およそ5年で、米国は防衛に関して世界の残りを合わせたよりも多くの費用を使うことになるだろう、ということがわかる。》 (Council on Foreign Relations, Annual Corporate conference, 10 March 2005).
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4017億ドル(2005年次)と推測される防衛予算は、イラクとアフガニスタンでの軍事作戦の続行に充当された「緊急防衛予備費」を含まない。同時に「対テロ戦争」への国防総省の参加もこの防衛予算には含まれていないのだ。(次を参照せよ。)
http://64.177.207.201/static/budget/annual/fy05/
さらにはネグロポンテに率いられる米国の諜報活動へ充てられた4百億ドルもこれには含まれない。米国のスパイ衛星システムも含む米国諜報活動の予算のおよそ80%は、直接に米国の軍事的な主導権を支えているのである。


●広範囲にわたる戦争犯罪

この戦争の背後にある経済的なそして戦略的な目的はほとんど語られることが無い。この軍事計画は、アル・カイダが紛れも無く敵対者として持ち上げられる「対テロ世界戦争"global war on terrorism"」の一部として世論に対して提示されている。一般市民への拷問を含む戦争犯罪はたまたま「二次的な被害」として紹介される。

このような観点で、イラクの軍事占領は10万人以上のイラク国民の死をもたらしたのである(the Lancet, John Hopkins School of Public health studyによる)。

拷問の日常的な適用と多数の強制収容所の設置は現在十分に公文書化されている。子供を含む一般市民の誘拐は言うに及ばない。彼らはキューバのグアンタナモ収容所に送られているのだ。

情報伝達者の殺害:米国軍は同時にイラクで独立系ジャーナリストを目標にして殺害している。彼らは英・米軍事枢軸による虚偽と捏造を記事にしないのである。

国際社会がイランと北朝鮮の核計画に集中する間に、米国主導の軍事連合が禁止されている兵器の使用を日常的に行っている証拠がある。そしてこの戦争の次の展開では核兵器を使用する計画がある。

ナパームと白リン弾は、イラクで人口が密集する市街地に住む市民に対して使用されている。西側のメディア(特にBBC)はこれらの兵器システム使用をカモフラージュしようとしている。


●拷問

拷問は米国政府の公式な政策である。イラクとグアンタナモでの戦争捕虜に対する拷問の命令はブッシュ政権の最高レベルから発せられた。米国軍とCIAの尋問で、看守たちは詳細な指導要綱に従っていた。

米国大統領は、「睡眠妨害、苦痛を与える姿勢、軍用犬の使用、そしてフードを用いて感覚を遮断すること等々」を含む拷問の使用を直接に承認したのだ。(次のACLUを見よ。)
http://globalresearch.ca/articles/ACL412A.html
【訳注:ACLUはThe American Civil Liberties Unionの略】

欧州連合内を含む数多くの国に作られているCIAの秘密の拷問室と収容所は、ペンタゴンの拷問使用ガイドラインに従っている。

拷問がブッシュ政権によって承認されている一方で、米国内での論争では、拷問それ自体ではなく、拷問の使用を通してテロリスト容疑者から得られた情報が「テロリスト」とされる人物を起訴するために法廷で使うことができるかどうかに関心が集中するのである。


●司法の犯罪化

世論の怒りにも関わらず、この傾向は米国の拷問計画への黙認と受容の方向に向かっている。政府の高いレベルでのこの戦争犯罪の合法化は、公式にこのような犯罪を命令したものであるが、疑問に付されることがない。戦争犯罪人の命令の草案に書かれる「合法性についての意見」は拷問の「合法化」と司法の再定義を行うために利用されている。

戦争犯罪人たちは合法的に当局者の地位を占領している。それによって彼らは、法システムと法的強制の過程についての概要を再定義することを可能にするのだ。

それによって彼らは「誰が犯罪者か」を決定する命令を発することができる。実際には彼らが犯罪者であるのに。

言い換えると、我々が取り扱っているのは、司法の犯罪化を含む、国家とその様々な機構の犯罪化なのだ。

真実は捻じ曲げられ転倒させられる。国家的なプロパガンダが指導部、米国議会、そして米国軍の中で意思一致を作り出す。この意思一致は、続いて合法的であからさまな操作のプロセスを経て、司法権によって承認されるのである。

メディアによる偽情報は、米国人に次のようなことを吹き込む。拷問の使用や強制収容所の存在や「敵のゴロツキども」に対する法の適用外での殺害は、これらはすべて起こっていることなのだが、「ある特殊な状況でのこと」であり「容認できる」ことであり、そして、法制局(OLG: Office of Legal Counsel)の司法部が「それは合法的である」と言うのだから、それは完全に「合法的」なのだ、と。

祖国を脅かしている外的な敵が存在するという幻想は、プロパガンダ作戦の要石なのだ。これは、「対テロ戦争」に都合よく利用するだけでなく、人権や民主主義や自由等々を守るための正当化できる手段として「テロリスト」に対する合法的な拷問の使用を掲げる社会秩序を支えるために、米国国民に電気刺激を与えることに他ならないのだ。


●人種主義と反テロリスト立法

一方で、イスラム教徒に向けられる人種主義と排外主義の波が西側世界中で湧き上がっている。でっち上げられた罪によるイスラム教徒の予断に満ちた逮捕と投獄がごく普通の行為になってきているのだ。

「反テロリスト」立法は数多くの西側諸国で採用されている。それは、テロ容疑者たちの犯罪行為が無くても逮捕・拘留できるというものであり、それはいわゆる「国内の過激派グループ」(反戦活動家を意味する)の指導者を含んでいるのだ。彼らは今や国家安全保障にとっての脅威として分類されている。

いわゆる国際社会は、人権侵害に関する「懸念を表明する」一方で、「対テロ戦争」の正当性をにべもなく受け入れる。さらに、9・11の驚愕の中で、反戦運動の重要な部門が、米国主導の戦争を非難しながら、「対テロ戦争」の正当性を護持し続けているのである。

他方で国連は「対テロ戦争」を是認している。平和維持の偽装の下で、国連は、自らの基本方針と戦争犯罪についてのニュルンベルグ法体系に違反して、米国主導の軍事同盟に協力しているのである。


●戦争プロパガンダ

メディアによる偽情報キャンペーンの強調すべき目的は、米国の「対テロ戦争」日程への支持へと世論を煽り立てながら、米国主導の戦争に対する人々の委任状を提供することである。テロリスト容疑者への予断に満ちた逮捕を含む人種主義と排外主義は、戦争プロパガンダの重要な一部分なのだ。

戦争プロパガンダの主要目的の一つは「敵を捏造する」ことである。反戦感情が膨らみブッシュ政権の政治的な正当性がぐらつくときに、この幻想的な「外的な敵」の存在に関する疑念は追い払われなければならない。

プロパガンダは、事実を圧殺するためだけではなく、いかにこのビン・ラディンのアル・カイダと称される「外的な敵」が捏造され「第1の敵」に仕立て上げられたものであるか、ということの「証拠を隠滅する」ために、あれこれ言い立てる。国家安全保障ドクトリンの総体が、国を脅かしている「外的な敵」の存在に集中しているのだ。

戦争を遂行する「正当な理由」を有することが、ブッシュ政権にとってアフガニスタンとイラクの両国への侵略と占領を正当化するための中心なのである。

この「対テロ戦争」と「先制攻撃」という概念は、「自己防衛」の権利に基づいて断定されたものである。彼らは「戦争を行うことが許されるとき」を定義する。これは『正義の戦争Jus ad bellum』なのだ。

『正義の戦争』は軍隊の指揮系統の中での意思一致を作り上げるためのものでもある。それはまた、兵士たちに「正当な理由」のために自分たちが闘っているのだと説得するためのものでもある。もっと一般的には、この正義の戦争という理屈の現代ヴァージョンは戦争プロパガンダとメディアによる偽情報の重要な一部である。それは戦争計画に対する大衆的な指示を得るために適用されるのだ。

2001年10月に、アフガニスタンが爆撃されその後侵略されたときに、多くの「進歩主義者たち」が政府の「正当な理由」に基づく軍事政策を強く支持した。「自己防衛」の議論は9・11への正当な返答として額面どおりに受け入れられた。米国政府が「イスラム・テロ・ネットワーク」を支えてきただけではなく1995〜96年のタリバン政権設立に力を貸したという事実を検討すること無しに、である。さらに、アフガニスタンへの侵略は2001年9月11日のはるか以前から計画されていたのだ。

9・11の驚愕の中で、アフガニスタンへの不法な侵略に対する反戦の運動は孤立した。労働組合と市民運動組織はメディアの嘘と政府のプロパガンダを鵜呑みにしてしまった。彼らはアル・カイダとタリバンに対する報復戦争を承認したのである。

メディアによる偽情報は圧倒的だった。人々はアフガニスタン侵略を基本に置いた本性と目的に向かってデタラメに誘導された。オサマ・ビン・ラディンとタリバンが9・11襲撃の第1容疑者として特定されたが、一片の証拠も無く、アル・カイダと米国諜報機関の歴史的な関係への追究も無かった。この意味で、9・11を理解することが確固たる反戦の姿勢の構築にとって決定的なのだ。

この「対テロ戦争」は米国のプロパガンダとメディアによる偽情報キャンペーンの要石である。全くデタラメな理論の中でアル・カイダが、米国に対して核攻撃を行う能力を持って登場しつつある、スーパーパワーであるかのように紹介されている。


●「対テロ戦争」

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《幅広く報告されていることだが、対テロ戦争は捏造である。アル・カイダは米国に支えられた「諜報機関」なのだ。サウジアラビア生まれのオサマ・ビン・ラディンは米国外交政策が作り出したものである。彼はソヴィエト・アフガン戦争の最中に「ソヴィエトの侵略者と戦うために皮肉にもCIAの保護の元に」リクルートされた。冷戦中、そしてその後も同様に、CIAはパキスタンの軍諜報機関を媒介役として、ムジャヒディーンを訓練する中心的な役割を担った。CIAとパキスタン統合情報局(ISI: Inter Services Intelligence)は、アフガニスタンのジハードをソヴィエト連邦に対抗するイスラム諸国によって遂行される世界的な戦争へと転化させることを望んでいたのだが、その積極的な支援を受けて、1982年と1992年との間に、40カ国の出身のイスラム過激派およそ35000人がアフガニスタンの戦闘に参加した。パキスタンのイスラム学校madrasahにはそれよりも何万人も多くの者が勉強のためにやってきた。結果として、10万を超える外国のイスラム過激派がアフガニスタンのジハードによって直接の影響を受けた。 》
(Ahmed Rashid, The Taliban: Exporting Extremism, Foreign Affairs, November-December 1999)
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クリントンとブッシュのどちらの政権も、いわゆる「イスラム武装基地」を支えてきているのだ。それにはオサマ・ビン・ラディンのアル・カイダも、彼らの軍事・諜報計画の一部として含まれている。ボスニアやコソボでのオサマ・ビン・ラディンとクリントン政権とのリンクは、議会の記録によっても文書化されているのだ。

皮肉なことだが、米国政府がボスニアで展開した軍事・諜報作戦の隠蔽は、共和党によって十分に文書化されている。1997年に公表された共和党委員会(RPC)による長々とした議会報告は、クリントン政権が「ボスニアをイスラム武装基地に変えることを支援してきた」と非難した。イスラム世界からやってきた何万人ものムジャヒディーンたちを、いわゆる「イスラム戦士ネットワーク」を通してリクルートする道をつけながら、である。
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《クリントン政権によるイスラム戦士ネットワークのパイプラインとの「実地の」共同作業は、米国政府当局によるイランからのミサイルの検査をも含んでいた。・・・・第三世界解放機関(TWRA: the Third World Relief Agency)はスーダンを拠点とする人道組織を擬したものだが・・・・TWRAは、シェイク・オマル・アブデル・ラーマン(1993年の世界貿易センタービル爆破の背後で指導した容疑者)や、数多くの武装グループを財政支援していると思われる富豪のサウジ移民オサマ・ビン・ラディンといった、イスラム・テロ・ネットワークの構築に関連があると信じられている。》(Congressional Press Release, Republican, Party Committee (RPC)、米国議会、クリントンが承認したイランからの武器移送がボスニアをイスラム武装基地に変える役を果す、1997年1月16日。オリジナル文書はthe U.S. Senate Republican Party Committee (Senator Larry Craig)のウエッブ・サイトにある。こちらを見よ。太文字による強調が加えられている)
http://www.senate.gov/~rpc/releases/1997/iran.htm; emphasis added.


【(3)へ続く】

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