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米兵ひき逃げ:再び不透明なまま決着か 問題点浮き彫りに
日米地位協定に基づく「公務中」を盾に、米兵は即日釈放された−−。東京都八王子市で起きた米兵によるひき逃げ事件。沖縄県では昨年8月、宜野湾市内の大学構内に米軍の大型輸送ヘリが墜落し、米軍は同協定を根拠に現場を封鎖、沖縄県警の機体の検証を拒んだ。今回、ひき逃げ事件という悪質な事件でも原因関係の究明が不透明なまま決着しかねず、協定の問題点が改めて浮き彫りになった。
日米地位協定に詳しい本間浩・法政大教授(国際法)は「本当に公務だったか米軍側は説明する責任がある。また、日本側はきちんと調べるべきだ」と指摘する。さらに「基地外で起きた事件や交通事故のように緊急の捜査が必要な場合は、警察から直接、米軍に対し、捜査の協力を求められるようにすべきだ」と話す。現状では、外務省など国レベルの交渉になり、結果的に時間を引き延ばされるケースが多いという。
今後、事故を起こした米兵は米軍の軍法会議で裁かれるとみられる。本間教授は「米国は証拠主義のため、証拠不十分で無罪になる可能性がある。それでは被害者側は納得できない。日本側に主体的に捜査を認めるなど、地位協定の内容を見直すべきだ」と述べた。
また、沖縄を中心に、米軍関係者が起こした事故や犯罪の被害者支援団体「米軍人・軍属による事件被害者の会」の村上有慶・共同代表は今回の事件について「米軍に第1逮捕権があり、日本の警察権が及ばない典型的なケースだ」と話す。「沖縄では年間1000件以上、米兵が絡んだ事件・事故がある。東京都や神奈川県でも増加傾向にあり、こうした問題を解決するためにも日米地位協定の改正をしてほしい」と話した。
今回の事件では、児童3人がひき逃げされたにもかかわらず、警視庁八王子署は、マスコミに対し広報しなかった。
一方、男児らが通う八王子市立大和田小学校の杉浦渉校長は「教育委員会に報告してあるので、コメントすることは特にない」と話している。
◇日米地位協定、過去の事件
日米地位協定は、米兵が日本国内で公務中に犯した犯罪や、米兵に対する犯罪の場合は米国側に一次裁判権を認めており、身柄拘束も裁判も米国側が行うとある。
沖縄では過去、この協定が乱用された。74年に勤務時間外の米兵が住民を狙撃した「伊江島事件」では、勤務時間外だったにもかかわらず指揮官から「公務中」との証明書が出され、県警の捜査は中止を余儀なくされた。
02年には、那覇署に窃盗容疑で逮捕された米兵が公務証明書を持っていたことから、即日釈放されたケースもあった。しかし、兵士は酒などを飲食した帰りに事件を起こしており、地元では「夜中に酒を飲んでいても公務中なのか」などと強い批判が噴出した。
こうした中、日米両国は04年4月、「どんな犯罪でも起訴前の身柄引き渡しが可能」とした地位協定の運用改定に合意したが、裁量権は引き続き米軍側にある。
【安達一成、三森輝久、反田昌平】
毎日新聞 2005年12月29日 1時29分
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20051229k0000m040169000c.html