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□ジョージ・ブッシュのスパイ大作戦(1)「令状なし盗聴で安心できる社会を!」 [暗いニュースリンク]
http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2005/12/1_6fdf.html
ジョージ・ブッシュのスパイ大作戦(1)「令状なし盗聴で安心できる社会を!」
「もしこの国が独裁政権で、私が独裁者なら、物事はもっと簡単になるだろうね。」
ジョージ・W・ブッシュ、2000年12月18日のCNNインタビューでの発言
2005年12月16日、ニューヨークタイムズ紙は1年以上暖めていたスクープ記事をようやく公開した。同記事によれば、911テロ事件から数ヵ月後に、ブッシュ大統領は密かに、NSA(国家安全保障局)に対して、通常の国内盗聴に必要な裁判所の令状なしに、合衆国内に住む国民及び外国人の盗聴を命じており、現在もその違法な隠密作戦は進行しているという。
遡ること2004年4月20日、合衆国大統領ジョージ・W・ブッシュは、政府のテロ対策に関して以下のように国民に説明している:
「合衆国政府が盗聴する際には、常に裁判所の令状が必要です。それは変わりありません。テロリストを追い詰める場合、あらかじめ裁判所の令状が必要なのです。国民の皆さんに理解していただきたいのですが、愛国法を考慮に入れても、国家防衛に必要な行為であっても、憲法上の保障がなければいけません。なぜなら、我々は憲法を尊重しているからです。」
---ジョージ・W・ブッシュ、2004年4月20日の発言
つまり、ジョージ・W・ブッシュは単に法を無視しただけでなく、無視したことについてウソをついていたわけだ。しかもこの独裁志願大統領は、「国民の命を護るため」今後も国民の盗聴を続けると堂々宣言している。「死にたくなかったら盗聴させろ!」というわけだ。
シドロモドロのライス国務長官
大統領が堂々と憲法違反を自白したことで慌てまくった最初の閣僚は、国務長官コンドリーザ・ライスだ。国務長官就任以来、ホワイトハウスのCIA工作員名漏洩スキャンダルから逃げるために、たいした用件もないのに長期外遊に繰り出した彼女は、CIAの秘密収容所について聞かれるのが嫌でヨーロッパから逃げ帰ったばかりだが、今や彼女のキャリアにとってお荷物でしかないブッシュ大統領の、致命的なスキャンダルに再び巻き込まれてしまった。(2008年度大統領選出馬への影響を心配しているにちがいない)
大統領の「自白会見」直後の12月18日NBC放送「ミート・ザ・プレス」に出演したコンディは「私は弁護士じゃないから」と繰り返し、元国家安全保障担当大統領補佐官としての責任問題から逃げている。おまけに次の日のインタビューでは、思わぬ失言をしている。CNN放送のインタビューで、ライス国務長官は言った:
「(国内盗聴について)大統領は早い時期から、合衆国法の最高権威である司法長官に相談しています。」
「中学で公民科を学習した人なら、合衆国法の最高権威が連邦最高裁であることくらい知ってますよね?」というイジワルな批判はさておき、「司法長官に相談済み」というライス国務長官の発言は、盗聴論争の火に油を注ぐものだ。なにしろ、ブッシュが令状なし盗聴を相談したという当時の司法省長官は、全米の産婦人科カルテから女性の個人情報を覗くことに全力を注いだジョン『♪タカよ飛べ空高く♪』アッシュクロフト氏である。
盗聴・監視のターゲット:反戦母、老人、クエーカー教徒!
NSAが国民盗聴で大活躍なら、国内盗聴の老舗、FBIも負けていられない。難点は、国内テロ対策の主役であるはずのFBIには、アルカイダやイスラム過激派の専門家が、911テロ以降もほとんどいないことだ。最近でも、FBIテロ対策責任者が、シーア派とスンニ派の存在も、アルカイダとジャマル・イスラミヤの関係も知らないし、イスラム文化についても全く知識がないと議会で堂々回答している。テロ対策分野で出世するためには、アルカイダやイスラム過激派に関する専門知識は優先事項じゃないと、FBIテロ対策担当者は話している。
簡単に言えば、FBIのテロ対策班は、アルカイダやビン・ラディンには関心がないし、追跡能力もないわけだ。では、彼等は何を監視しているのか?ニューヨークタイムズ紙2005年12月20日付記事がわかりやすく伝えているので以下に抜粋してみよう:
FBI、市民活動を監視:新書類で判明(F.B.I. Watched Activist Groups, New Files Show)
by エリック・リヒブロー記者
FBIの対テロ対策調査員が、環境や動物保護、貧困者救済活動に関わっている市民団体に対して、多数の監視・諜報活動を行っていることが、新たに公開された文書により判明した。
(中略)
FBI文書のひとつには、インディアナポリス支局の捜査官が、「菜食主義者コミュニティ計画」の一環として偵察を行うという記述がある。他の文書には、カソリック労働組合について「予備的共産主義思想」と言及されている。
(中略)
一群の最新文書は、一部をACLU(アメリカ自由人権協会)が公開する予定だが、全部で2,300ページを超えるもので、PETA(People for the Ethical Treatment of Animals:動物の倫理的扱いを求める人々の会)、環境保護団体グリーンピース、貧困解消を唱えるカソリック労働組合等の団体に関する照会内容に重点を置いた内部文書である。
(以下略)
FBIはテロ対策と称して環境保護活動(の監視)に注力しているわけだ。
では同じ時期に、国防総省テロ対策チームはなにをしているか?NBC放送2005年12月14日付報道が詳細を伝えているので、以下に抜粋してみよう:
ペンタゴン、アメリカ国民をスパイ?(Is the Pentagon spying on Americans?)
NBCニュース入手の極秘データが「怪しい」国内グループを記録(Secret database obtained by NBC News tracks ‘suspicious’ domestic groups)
by リサ・マイヤーズ、ダグラス・パスターナック、リッチ・ガーデラ他NBC調査班
1年前、フロリダ州レイクワースのクエイカー集会所に市民活動家が集まり、地元の高校で軍の新兵スカウトに反対する活動の計画について話していた。彼等は気づかなかったが、その集会は米軍の注意を惹いていた。
NBCニュースが入手した400ページに及ぶ極秘文書には、レイクワースの集会について「脅威(threat)」と記されており、過去10ヶ月間で1,500件以上リストアップされた「怪しい出来事」の内の一件に含まれていた。
(以下略)
ペンタゴンが「脅威」と評価したフロリダ州の集団とは、地元新聞の追加取材によれば、20人ほどの地元市民で、クエーカー教徒や、79歳のおばあさん達だ。NBCニュースが入手した極秘文書には、他にも反戦活動(国防総省の説明では『怪しい出来事・脅威』)が40件以上記されているという。
そんなわけで、国防総省は反戦活動を監視している。FBIも反戦活動を監視している。老人だろうが菜食主義者だろうが、警戒を怠ることもない。息苦しい?・・・では、この事態を大胆且つポジティブに考えてみよう。「政府はあなたを24時間・365日、いつでも何処でも見守ってくれている。」---ああ、それなら安心だ!
あなたがカリフォルニア州住民なら、さらに手厚いサービスが用意されている。同州では、FBIの監視に加えて、シュワルツェネガー州知事率いるカリフォルニア州兵部隊が、新たな諜報活動を開始している。その監視対象の一部は、コードピンク(女性反戦団体)シンディ・シーハンの組織する反戦戦死者母親の会(Gold Star Families for Peace)、怒れるおばあちゃんの会(高齢者反戦団体)・・・まあ要するに、反ブッシュ派(反シュワ知事派)の一般市民ばかりだ。
では、肝心のテロ対策はどこの省庁が?アルカイダを追跡するのは誰?911テロの反省から誕生した国土安全保障省(DHS)だろうか?残念でした。ワシントンポスト紙の12月21日付連続特集記事によれば、超官僚主義と腐敗を抱える国土安全保障省は、成立当初から今日に至るもマトモに機能していないということだ。確かに、9月のカトリーナ大災害は、国土安全省の機能不全を見事に証明してしまった。これじゃ国土安全無保障省である。
ところで、ブッシュの盗聴騒動の真っ最中に、米議会は高齢者や低所得者向け医療費支出の抑制により、5年間で397億ドル(約4兆6,500億円)の歳出を削減する法案を可決した。これには、フードスタンプ(貧困者向け食料補助制度)予算約7億ドルの削減が含まれていて、米国内の貧困層22万5,000人分の食糧支援と、今まで無料で提供されていた公立学校の児童向け給食4万人分が廃止されることになるという。
もちろん、テロとの闘いを重視するブッシュ政権では国防予算削減はありえないのだろう。しかしどうポジティブに考えても、3つの政府機関が反ブッシュ派の老人達を追い掛け回すというのは、税金の無駄使いじゃないだろうか?
「弾劾要件となる違法行為を自ら認めた合衆国史上初の大統領」
ブッシュ大統領が令状なし盗聴命令を認めた直後、民主党のバーバラ・ボクサー上院議員は、ニクソン政権で大統領法律顧問を務めた法律家ジョン・ディーンに意見を求めた。ウォーターゲート事件で責任を問われ辞職した経験を持つ同氏は、ボクサー議員に言った:
「ジョージ・ブッシュは弾劾要件となる違法行為を自ら認めた合衆国史上初の大統領だ。」
---(次回続く)