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電磁波
脳への電気的刺激を用いてマインド・コントロールをしようとすると、脳の中に電極を埋め込むという作業が必要になる。しかし、マインド・コントロールの新しい方法として、コントロールされる人間に装置も持たせる必要がない幾つかの方法の研究が進められている。この代表的なものが電磁波、つまり電波を使ったもので、ある特定の電波を人間にあてることによって、その人間の心、行動をコントロールしようとするものである。
電磁波によるマインド・コントロール
コントロールする側が電磁波を使って利用しようとする電磁波の効果にはさまざまなものがある。これから紹介するように、電磁波を使って直接人間の頭の中へ「声」や「音」を送信・伝達することは可能なのだ。この技術を応用すると表面的には分裂症患者の幻聴と同じ現象を一般の人間にも起こすことができる。このようなマインド・コントロール実験が秘密裡に行われていないとは誰も否定することができない。
感覚伝送
マインド・コントロールの「犠牲者」が語る電磁波効果は「声」にとどまらない。その効果の最もドラスティックなものに「感覚の伝送」がある。これを使えば、別の人物が体験したさまざまな感覚を、電磁波で他の人物に送信することによって、全く同じ体験を味あわせることができるという。例えば、実験室である者を拷問にかけ、その脳波を記録する。この脳波を電磁波にのせて他の者に送信すると、同じ脳波がその者にも現われ、彼もしくは彼女は拷問の感覚を体験するという具合だ。被験者は理由もわからないまま、拷問、セックス、発作などの体験をすることになる。実際、アメリカにはこの実験の犠牲者になったと主張する女性がいる。「拷問」は彼女自身ではなく、彼女が最も愛する3人の小さな娘にまで影響が及んだという。この事例もまだ十分な調査がされていないようだが、その技術的可能性についても考えてみることにする。
照射兵器の応用
電磁波はこの他にもさまざまな影響を人間に与える。現在では電磁波を利用した兵器の研究が行われており、それが実際に使われた事例も幾つか疑われている。これまで何度か紹介したスウェーデンのロバート・ネスランド氏も、この照射兵器の犠牲となった人物のひとりだ。彼の部屋はたびたびこの照射兵器の影響にさらされ、ネスランド氏によるとその間は長時間、自分の部屋で過ごすことが不可能だという。同様な例は、アメリカ、イギリスなどでも報告されている。この兵器の効果は、人間の心・行動をコントロールするというよりも、その人間の健康にダメージを与えることを狙ったもっと一般的な兵器のようだが、マインド・コントロールとも密接に関連するところがあるので、後に詳しく探ってみることにしよう。
電磁波の種類
電磁波そのものについてはここで詳しく述べることはしないが、簡単にその種類と分類だけはしておきたい。電磁波の存在が実証されたのは、1888年のヘルツ(Heinrich Rudolf Hertz)による実験であり(これよりおよそ100年前のガルバニによるカエルの実験のひとつでは、カエルから離れたところで電極の間にスパークを発生させて、これにより筋肉の遠隔刺激をしている。これは電磁波の送受信実験ということもできる)、そしてヘルツの実験から10年も経たないうちにマルコー二によって電磁波の通信への応用が開始された。電磁波は周波数によって分類されるが、その高いところから、ガンマ線、エックス線、紫外線、我々が見ることができる可視光線、赤外線、ラジオ波などの順番で並んでいる。
このラジオ波はさらに、UHF、VFE、短波、中波、長波などに分けられる。周波数がこの順番で低くなると、波長はだんだん長くなっていくわけだ。マインド・コントロールと電磁波との話で最初に登場するのは、このラジオ波の中で、波長が1メートル以下の極超短波とも呼ばれるマイクロ波(マイクロウェーブ)と呼ばれるものだ。周波数でいうと大体ギガヘルツの単位が用いられる。このマイクロ波を利用したものとして、レーダーや家庭で使われる電子レンジがあげられる。電子レンジは英語ではマイクロウェーブ・オーブンというが、マイクロ波の熱効果を利用したものだ。その使用している電波の周波数は通常、2.75ギガヘルツ(2750メガヘルツ、波長は10センチ強)となっている。家庭にある電子レンジを確認されたい。
※電磁波の種類と解説についてはこのサイトが詳しいです。
モスクワ・シグナル事件の発端
マインド・コントロールに関連して電磁波がとり上げられるのは、「モスクワ・シグナル」と呼ばれる有名な事件から始まる。そして、この事件はさらにもうひとつのよく知られている国際的事件をその起源に持つ。第二次世界大戦が終わった1945年、ソ連側からモスクワのアメリカ大使館にひとつのプレゼントが贈られた。アメリカの国家の象徴であるワシの彫刻がそれだった。一抱えもある大きさの彫刻を受け取った当時のアメリカ大使アヴェレル・ハリマンは、それを大使館内の壁に飾った。ところがそれから7年も経ってから、この壁飾りについて重大な事実が発見された。この彫刻の中に盗聴器が発見されたのだ。
それはワシのクチバシの部分にうまく隠されていた。これだけ長い間この装置が発見されなかったのは、盗聴器の仕組みに秘密があったのだ。その盗聴器は電波を常に発信しているわけではなく、電源となるバッテリーも使われていないタイプのものだった。電源は大使館の外部から放射される電波が供給源となっており、装置が外部からの電波を受けると、振動板で変換された音波を拾って自動的に変調された電波が大使館の外部に向けて発信される仕組みになっていた。つまり、トランスポンダー・システムと呼ばれる方法をソ連は採用していたわけだ。
この事件は、後にニューヨークの国連の席上で、アメリカの国連大使ヘンリー・キャボット・ロッジが暴露してセンセーションをまきおこした。これはアメリカのスパイ機U2がソ連によって撃ち堕とされたのと同じ年、1960年のことだ。この事件により、アメリカでは「盗聴」(bugging)という言葉が、一般家庭でもすっかりなじみの深いものとなった。
盗聴器の発見
一方、アメリカ大使館では、1952年の盗聴器発見以降、セキュリティによる大使館に向けた電波の定期検査が行われるようになっていた。そして、ちょうど10年経った1962年に発見されたのが、後に「モスクワ・シグナル」として知られる怪電波だった。大使館近くのビルディングから、低出力ながらもマイクロ波がアメリカ大使館に向けて放射されていることが発見された。それは送信の状態と送信されていない状態が短い時間で繰り返されるパルス波と呼ばれる波形によって特徴づけられるものだった。このソ連によるマイクロ波放射の目的が問題となった。
かつての盗聴の時と同様にまだ大使館内に隠されている盗聴装置の電源の役目をしているのか。それともアメリカ大使館が行っているソ連国内の電波の傍受を妨害するためのジャミング(電波妨害)を目的としているのか。これらはそのマイクロ波の特徴や低出力から考えるとどうも納得がいかなかった。そこで、考えられたもうひとつの可能性がマインド・コントロールだったのだ。そのマイクロ波がアメリカ大使館職員の行動、健康に影響を及ぼす効果邦あるのではないかと疑いがかけられた。アメリカではなんの影響もないとされた低レベルの電磁波が、ソ連では心理学的な諸影響を持っているという論文が数多く存在していたからだ。
秘密プロジェクト
こうしてアメリカで、CIAと軍とが協力して極秘の低レベル電磁波の研究が開始される。この研究は一般には秘密であった。また当の大使館の職員にもマイクロ波が照射されているという事実が秘密にされていたのは言うまでもない。この事実を初めて明らかにしたのは、すっぱ抜きで有名なジャーナリスト、ジャック・アンダーソンが1972年にワシントン・ポスト紙のコラムに書いた「洗脳を試みるロシア?」と題する記事だった。記事の中で、モスクワ・シグナルを契機としてある極秘の研究をCIAが進めており、電磁波の人体への心理学的影響を含めたさまざまな可能性が研究されているという事実が明らかにされた。
実際、アンダーソンはその秘密計画に参加した何人かの研究者とのインタビューにも成功しており、その秘密計画の名前も明らかにしている。CIAの秘密ファイルの表題でもあったその名前とは、パンドラ計画だった。しかし、1972年にアンダーソンが得た情報だけでは、研究の結果も実際の人体への影響についても不明確なもので、何も結論はだせないという内容で、まだ「モスクワ・シグナル」は本格的な事件には発展しなかった。これが事件として有名になるのはさらに3年以上の月日が経過する必要があった。
ブリーフィング
アメリカ政府の沈黙も手伝って噂は飛び交い、ヨーロッパでもアジアでも各地のアメリカ大使館職員の間では、カクテルパーティでも昼食の時でもマイクロウエーブの話が一番ホットな話題となって囁かれた。モスクワ大使館で働くと健康を害するという話は本当なのか。実際、現任のステッセル大使は白血病に似た血液の珍しい病にかかっているというし、目からの出血もあるという。また、前任の2人の大使はともに癌で亡くなっている。自分たちの大使館は大丈夫なのか。モスクワ大使館へのマイクロ波の照射レベルは、この半年で以前より強カなものとなったというが……等々。
合意
現在でも「モスクワ・シグナル」がいったい何を目的としたものかははっ言していないのだが、事件そのものは次のように展開していく。2月にはすでにマイクロ波照射を防ぐためにアルミニウムの遮蔽板がアメリカ大使館の周りに設置された。さらにその月末にはソ連側がマイクロ波照射の事実を認め、この照射はアメリカ大使館によるソ連国内の通信の盗聴を妨害、ジャミングするためのものであるとした。一方、アメリカ政府側はこのソ連側の発表内容については否定も肯定もせず、という態度をとった。
3月には、ソ運がマイクロ波の照射を前年5月以前のレベルに落とすかわりに、アメリカ側がある装置を大使館から撤去することに合意したという情報が『タイム』誌に報道された(一説によると、その装置とはプロジェクト・ガンマ・グツピィと呼ばれる、クレムリンの住人が乗るリムジンの無線電話を傍受するという盗聴を目的としたものと言われる)。7月にはアメリカ政府はソ連による照射がすでに非常に低レベルまで弱まったというデータを発表している。それでは大使館員に対するマイクロ波の影響は本当になかったのだろうか。
アメリカ国務省は同年11月には、モスクワ大便館勤務を非健康的ポストとし、職員の20パーセント給与アップを認めている。といっても、この処置は国務省によるとまったくマイクロ波の照射事件とは関係のないものだということだ。国務省は、大使館員の健康状態がマイクロ波によってなんらかの影響を受けたかどうかをはっきりさせるために、ジョンズ・ホプキンス大学の公衆衛生健康学部に調査を依頼している。その最終レポートは1978年に提出されている。彼らの研究方法は、モスクワの大使館職員の健康状態を他の東欧諸国のアメリカ大使館職員の健康状態と比較検討するというものだった。
その結論によると、モスクワのアメリカ大使館職員が特に健康がすぐれないという主張は統計的には根拠がなく、マイクロ波照射の健康に与える因果関係は証明されないというものだった。パンドラ計画に参加した国防総省高等研究計画局(DARPA)のサミュェル・コズロフ(Samuel Koslov)は、「モスクワ・シグナル」は、決して大使館職員の健康・行動に影響を与えようとしたものではない」と断定している。しかし、実際のパンドラ計画はこの否定された可能性を疑っていた。
パンドラの箱
パンドラ計画ではまず、ソ連側の電磁波の生体への影響に関する文献を集め、その評価をすることだったが、これを行ったひとりが先のDARPAのサミュエル・コズロフだった。DARPAは他の研究者、研究機関にも協力を求めた。その中でマイクロ波の生体に与える研究をしたのが、ウォルター・リード陸軍研究所(Walter Reed Army institute)のジョセフ・シャープ(Joseph C.Sharp)とマーク・グローブ(Mark Grove)のふたりだった。1965年に国務省と国防省の依頼により、シャープとグローブはパンドラ計画に参加することになったが、彼らが最初に着手したのがアメリカ国内でこれに関連した過去の研究の調査だった。
彼らは研究を行った国内すべての研究所を訪れ、研究者の意見を聞き回り、自分たちの研究の方向を定めようとしたわけだ。彼らが試みたこの調査は意外と簡単にすんだ。現在ではこの分野における研究雑誌もいくつか刊行され、研究者も多いが、シャープとグローブが調査をした時点では、政府の補助金を得ていた研究は皆無だった。それだけこの分野はアメリカでは手つかずの未開拓の研究領域であったわけだ。しかし、一般の大学には極く少数ながらも独自の研究を始めていた研究者が存在していた。その中のひとりがニューヨーク大学の眼科医、ミルトン・ザレット(Milton Zaret)だ。彼はマイクロ波による白内障の発生などの研究をしており、マイクロ波が生物学的にも行動学的にも生体に影響を及ぼすと主張していた。
彼に接近したのがCIAだった。彼らはザレットの研究に興味を持ち、マイクロ波が洗脳に応用することができないかと意見を求めた。その時、ザレットは当時はまだ知られていなかったモスクワ・シグナルの話をCIAから聞かされている。その後、ザレットはDARPAの研究者と協力し、モスクワ・シグナルと似た状況において、ラットがどのように反応を示すかについての研究を行う。ザレットによる研究ではラットの行動には確かにマイクロ波の影響による変化が認められた。しかし、彼がさらに研究を進めようとすると、なぜかCIAによって実験停止の命令が言い渡された。