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(回答先: テスト 投稿者 きすぐれ真一 日時 2006 年 10 月 31 日 22:20:48)
原爆を作るには三つの方法がある。広島型のウラン爆弾、長崎型のプルトニウム爆弾、そして戦術核としての高性能小型プルトニウム爆弾である(図1)。
広島に落とされたウラン原爆は、ウラン濃縮工場で核分裂性ウランを95%程度まで濃縮された高濃縮ウランが使われる。工程は最も簡単で、起爆も容易であるため、マンハッタン計画で最初に取組まれ、しかも実験をせずに実戦で使用するだけの信頼性があった。しかし、天然ウランには0.7%しか含まれていない核分裂性ウランを高濃度に濃縮するために、防衛庁1968年報告にあるように、大量のウラン資源を必要とする。
長崎に落とされたのはプルトニウム爆弾であった。天然ウランを燃料とする黒鉛炉の使用済み燃料を再処理することにより、核分裂性のプルトニウム239の濃度が93%程度の高純度プルトニウムを得ることが出来る。日本に最初に導入された東海炉はイギリスで核開発用に製造されたコールダーホール型の原子炉であった。防衛庁68年報告で、東海炉を利用することにより年間に量大で20発の核兵器を製造することが出来るとしている。天然ウラン黒鉛炉は核開発が最も容易な原子炉であると言えよう。
なお、軽水炉の使用済み燃料から抽出されるプルトニウムは、核分裂性プルトニウムの割合が低く、核爆発を起すことは可能であるが実戦用核兵器として十分なものではないことは、既に68年防衛庁報告でも指摘されている。
戦術核
佐藤栄作は第三の道を選択した。小型戦術核開発の道であった。憲法の制約をもし考慮したとすれば、このほかに道はなかったし、世界の潮流が戦略核から戦術核へと移ることを予見していたとすれば先見性の高い選択であった。
この方法は複雑で高度の技術を必要とする。北朝鮮が黒鉛炉を保有しようとしていることに憂慮した米国が、軽水炉を供与する(KEDO)ことで黒鉛炉計画の廃棄を迫ったのはそのためである。軽水炉を持つだけでは、核開発までの技術的・経済的道のりはかなり遠くなるからであった。
まず、天然ウランを3.5ないし4.5%まで濃縮した核燃料を製造し、これを軽水炉の炉心に装荷して発電炉として稼動させる。この使用済み燃料を取り出し、核燃料再処理工場でプルトニウムを抽出する。このプルトニウムの組成は、核分裂性のPu239が58%、Pu241が11%で、合わせても69%にしかならない低純度プルトニウム(これを軽水炉級プルトニウムと呼ぶ)である。このプルトニウムと天然ウランの混合燃料(MOX)を高遠(増殖)炉の炉心に装荷し、炉心を取り囲むブランケットに濃縮工場の副産物である劣化ウランを装荷する(図2)。
炉心で進行する核分裂反応により放出される中性子が、ブランケットの劣化ウラン(U238)を核分裂性プルトニウム(Pu239)へと転換させる。このブランケットを再処理してプルトニウムを抽出すると98%もの超高純度のPu239を得ることが出来る。
真中の炉心に低純度の『汚い』プルトニウムを装荷すると、ブランケットからは高純度の『きれいな』プルトニウムが出てくる仕掛けだ。フランスのスーパーフェニックスを訪ねた京大原子炉実験所の海老沢氏が持ちかえったパンフレットには、高速(増殖)炉の利点が列挙してあるなかに、『高速増殖炉すなわちプルトニウムの洗浄装置』であると書かれていた。