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□「社会奉仕」を懲戒にする教育再生会議の歪んだ価値観 [ゲンダイ]
http://gendai.net/?m=view&g=syakai&c=020&no=29581
【高橋乗宣の日本経済一歩先の真相】
2006年12月1日掲載
「社会奉仕」を懲戒にする教育再生会議の歪んだ価値観
だれもボランティアをしなくなる
鳴り物入りで始まった政府の教育再生会議が、急増するいじめ問題への緊急提言を発表した。これには驚きを通り越して呆れてしまった。いじめをした児童・生徒に対する懲戒、指導の一例として、「社会奉仕」をあげているからだ。
再生会議の面々は、ボランティアを「悪いことをした人が懲罰としてやるべきこと」ととらえているらしい。一体、どうしたらこんな発想になるのか。これでは社会奉仕をしている子供はみんな、「いじめをした悪いヤツ」と見られるようになってしまう。積極的に社会奉仕をしてきた子供たちは、これまでのように感心されたり、褒められたりすることなく、色眼鏡で見られるようになるのだ。
ボランティアは懲罰という価値観を持った国が、はたして美しい国といえるのだろうか。
今、全国の学校は生徒に社会奉仕をやらせている。総合学習のメニューに入れているところもある。もちろん、これは懲罰のためでも何でもない。社会の利益や福祉のために奉仕することの重要性や感謝される喜びを教えるためだ。
相愛大学でも、ピカピカ大作戦と称して、月に1度、学校の周囲や通学路のゴミ拾いをしている。これが、なかなか好評なのだ。
先日、私用でタクシーに乗ったとき、「相愛大の学生はエライ」と運転手に感謝された。この運転手さん、大学の最寄り駅のトイレを利用しようとしたところ、ひどく汚れていたそうだ。たまたま近くでゴミ拾いをしている相愛の学生がいたから、「外ばかりじゃなくトイレも掃除してくれ」と声をかけたという。後日、同じトイレに行ってみると、驚くほどきれいになっていたそうだ。
自民党の右派政治家が首相になると、いつも社会奉仕が俎上(そじょう)に上る。中曽根内閣の臨時教育審議会は「社会奉仕の心の涵養(かんよう)」を提言。森内閣の教育改革国民会議は「奉仕活動を全員で行うことを検討する」とした。
安倍首相も「大学入試の条件にボランティア活動を義務づける」と自著の中で書いている。しかし、社会奉仕を懲罰の中に盛り込むようなら、やがて、だれもボランティアなどしない「冷たい、醜い国」になりはしないだろうか。
【高橋乗宣・相愛大学学長】