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□<いじめ緊急提言>厳しい教育現場の声 「アメとムチ」 [毎日新聞]
<いじめ緊急提言>厳しい教育現場の声 「アメとムチ」 (毎日新聞)
続発するいじめ事件に関し、政府の教育再生会議が29日、緊急提言をまとめた。焦点の一つとして、いじめを放置・助長した教員に懲戒処分を適用することを求めた。一方で、いじめ対策への取り組みを教員評価につなげるよう提言。努力した教員にはアメを与えるとも受け取れる内容だ。現場のいじめ対策にどんな影響があるのか。反応の声もさまざまだ。【荒川基従、高山純二、佐藤敬一】
東京都内の区立中学校長は「学校の先生がきちんと指導できていないという発想に立ったもので本末転倒な話だ。現場の先生の神経を逆なでし、処分されるとなればますますいじめを隠そうとする」と強く批判する。一方、“アメ”に関しては「何をもって、いじめが減ったか増えたか、取り組みが進んだか進んでないかを評価するのか。現場の実情とはかけ離れた考え方だ。学校はユートピアではなく、けんかもあればいじめもある。特効薬はなく、現場は一つ一つ全力を挙げて対応していくしかない」と憤りを込めて話した。
一方、別の区内のある小学校長は「いじめ自殺があった学校では、校長らがマスコミを前に謝罪しているが、一過性に過ぎない。現場の教員は『いじめを見逃したら教師生命がない』というくらいの真剣さが必要だ。その意味で懲戒処分を盛り込んだことは評価できると思う」と話す。
ただ、緊急提言の中にいじめた子への「指導・懲戒」案として、奉仕活動をさせることが掲げられていることに関しては「社会奉仕が有効なんですかね。きれいごと過ぎますよね」と疑問符もつけた。
提言通りなら、教師の懲戒処分は各地の教育委員会が行うことになる。94年に大河内清輝君いじめ自殺事件があった愛知県。名古屋市教委のある幹部は提言内容を読み「ちょっと厳しいな……」と漏らした。「現場の先生方の苦しさをもう少し理解してほしい。先生だって失敗はあるが、一生懸命仕事をしている。その結果として懲戒処分にされたら、やってられない」と同情的に語った。
一方、提言に文科省幹部も批判的だ。内容の多くは、すでに同省が各都道府県教委などに指導・助言をしている。ある幹部は「なんで今ごろこんなものを(提言するのか)……。けんかを売られているような感じがする」と批判した。
[2006年11月30日0時28分]