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この昆虫は、蝶か蛾か。美しいと感じるか汚いと感じるか。他から与えられる情報によって、自分自身の感覚が変わってしまう事はないか。(撮影:葦乃原 光晴)
わい曲される?テレビのいじめ自殺報道
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2776439/detail
【PJニュース 11月27日】− 11月24日(金)の日本経済新聞夕刊の社会面に小さな記事が載った。「山形県高畠町の県立高畠高校内で二年生の女子生徒(16)が飛び降り自殺した22日、佐藤敏彦教育長ら県教育委員会幹部と教育委員が、歓送迎会を兼ねた食事会を開いていたことが、24日分かった。記者会見した佐藤教育長は「判断が甘く、深く反省している。教員の不祥事や未履修問題で延期しており実施したが、やめるべきだった」と陳謝した。県教委によると、22日は午後3時から定例委員会を開催。事務連絡で、女子高生が転落死したと報告したが、調査中で詳細は説明しなかったという。終了後、山形市のレストランに場所を移し、新旧教育委員の歓送迎や、教育委員長らが文部科学相の表彰を受けたことを祝う趣旨で食事会を開催した」以上が日経新聞に掲載された本文だ。
ところが、わたしはこのニュースを、先ずテレビで知った。NHKの「ニュースウオッチ9」と、テレビ朝日の「報道ステーション」だ。テレビの報道では、女子生徒が飛び降りた学校の校内の映像、教育委員長が記者会見で陳謝する映像が流れたが、特に「報道ステーション」では、記者会見で教育委員長が言い訳がましく陳謝する様子が詳しく報道され、また、女子生徒がいじめを苦にしていたらしいという事も伝えられた。
わたしは、この映像を見て、「これだけ、いじめ自殺が問題視されている中、教育委員長を始めとする山形県教育委員会の面々は、何という感覚麻痺の連中なのか。女子高生の命より自分たちの歓送迎会や表彰の方が大切なのか」と、怒りで身体が熱くなってきた。
「山形県は戦争をしているのか。イラクのようにテロ事件が日常的に起きているのか。北朝鮮のように餓死者が大勢出ているのか。それほど人の命が軽いのか。教育委員会の連中が、これほど感覚麻痺していては教育改革などできるはずがない。食事会に参加した面々の名前を公表して、即刻、罷免するべきだ」と、激しい怒りがこみ上げてきた。
しかし、冷静に考え直してみると、「テレビの報道の仕方によって、わたしの感情が過剰に刺激されたのではないか」と考えが変わってきた。確かに山形県の教育委員会の面々は、「女子生徒の転落死」という重大事件を軽んじている。戦時下の外国の話ではないのだ。感覚がずれていて、いずれ、引責辞任があってもしかるべきと感じる。しかし、メディアは今、「いじめ」「子供の自殺」「教育する側の不祥事」を血眼になって探し回っているように感じる。今回のニュース報道の仕方も、新聞よりテレビの方が刺激的で、かつ、「報道ステーション」の報道は「教育委員会は、いじめによる自殺が発生したのに、歓送迎会や表彰の祝賀を優先した」と、感じさせるものだった。
しかし、女子生徒の自殺は、わたしがテレビを見たときは原因調査中だった。「いじめを苦にした自殺」の可能性は高いかもしれないが、まだ調査中なのだ。教育委員会が報告を受けた「転落死」と、「自殺」と、「いじめを苦にした自殺」では、視聴者が受ける印象が異なる。
テレビの報道は、「いじめ自殺を軽んじる教育委員会」という印象を視聴者に強く抱かせるものだった。この報道の仕方は正しいのだろうかと疑問を感じた。【了】