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「必修漏れ」の天国と地獄 [AERA]
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投稿者 white 日時 2006 年 11 月 14 日 14:14:03: QYBiAyr6jr5Ac
 

□「必修漏れ」の天国と地獄 [AERA]

 http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20061113-01-0101.html

2006年11月14日
「必修漏れ」の天国と地獄
漏れちゃったわけじゃない。高校は「必修逃れ」確信犯。でもツケは生徒に回ります。
「みんなやってる」は本当か? 発覚3回目の県もあり。その効果は……。
「始業前の“0時限授業”に、放課後の補習、夏休みを短縮してお盆明けから2学期スタート……とやっても、まだ授業時間が確保出来ない。苦肉の策でした」
 そう必修漏れ発覚校の教頭が言えば、しっかりと履修をしていた公立校の教頭は言う。
「こんなやり方があるのか、とびっくりした。うまいことやっていたなとは思うが、まるで裏技みたいなもんだね」
 全国各地に飛び火した、高校必修科目の履修漏れ問題。どうするんだ!と衆議院の教育基本法特別委員会も、この話ばかり。伊吹文明文部科学相は、都道府県教委を通じてとり急ぎ集計して、10月30日に「公立の未履修は289校」と発表したが、2日後に「公立は314校」と修正答弁。もう大混乱だ。

意外な地域格差
「救済策」が決まった11月2日の文科省の発表によれば、必修になっている世界史などを履修していなかった高校は、
 国立   0校
 公立 314校
 私立 226校
 の計540校で、すべての高校の1割にあたる。該当する生徒は8万人以上。補習が必要だ。
 都道府県別で見ると、公立私立合計で発覚校がひとつもないのは、この時点で熊本県だけ。
「どこでもやっていること」というぼやきが聞こえてくるが、それは正確ではない。公立高校で比べてみると、意外にも、県によってかなりの差があるのだ。
 アエラ編集部では、文科省の発表をもとに、「必修漏れ」公立高校全国マップを作ってみた。
 発覚校は、首都圏では東京で1校、神奈川、千葉、埼玉は0。関西も、大阪、奈良が0、京都は市立1校。大都市圏では少ない。
 多いのは、静岡32校、岩手31校、北海道30校など。公立高校数のうち該当校がどれだけあるか、割合で示すと、ワースト3が、1島根45・2%、2岩手39・2%、3福井37・5%。
 各教委の発表した高校名をみると、その県の著名な進学校や伝統校、それを追い上げる高校の名前が目立った。
 教育評論家の阿部進さんは話す。
「地方で進学校となる旧制高校時代のナンバースクールは、その地域では特権的な階級です。都会の私学に対抗するためには、多少の不合理は許されるという驕りもあったのでしょう。しかし大多数の高校はしっかりとやっていたのですから、救済には違和感を覚えます」

地方は仕方ない?
 なぜ大都市圏は、「必修逃れ」をする公立が少なく、地方に目立つのだろう。
 学校を取り巻く環境が違う、と分析するのは教育県と言われる奈良県教委だ。
「県内の進学校には大阪の予備校に通う生徒が多くいます。東北地方などで必修漏れ校が多いのを見ると、公立校の果たす役割が違うなとは感じます」
 東京都教委はしいて挙げるならとして、学校の数が多く選択肢が豊富な点を指摘する。
「都内は私学も多いし、学区制撤廃によって公立校もすべてが進学対象になる。良い意味で監視の目がしっかり働いているのかもしれません。また都立校は、数年前まで進学実績は良くなかったが故に、受験テクニックに走らないことが徹底されたのかもしれません」
 東で公立「必修漏れ」率1位だった岩手県教委は、
「必修漏れをした理由は、ほとんどの学校が学力向上のため。県内には大手予備校などもなく、都会の高校とは様相が違います」
 ただ、地方の中でも差がある。
 岩手、福島、山形と東北地方で必修漏れが並ぶなかで、秋田はわずか1校。秋田県教委からは自画自賛の言葉が出るかと思いきや、実は過去の苦い教訓のたまものだという。
「秋田県では約30年前に本荘高校で今回と同じような社会の必修漏れがあり、裏カリキュラムとして大問題になったんです。2003年にもメールでの情報提供によって、3校で必修漏れがあったのを確認して指導をしました。それでも今回また1校出たのは残念ではありますが……」(県教委)

島根vs.鳥取のナゾ
 西は、島根が「必修漏れ」率最多。お隣の鳥取は、0。
 島根では、42校中19校と、半数近い公立高校が必修逃れをしていた。県教委はこう弁明する。
「山間部では通学圏に高校が1校しかないような地域も多く、都会のように進学校や就職校といった位置づけが出来にくい。進学実績があまり高くない高校にも国公立大学を目指す生徒がいるため、広く必修漏れが出てしまったのでしょう」
 一方の鳥取。こちらは公立高校が全国最少の24校という規模の小ささに助けられたかっこうだ。
「ウチでは学校から上がってくる時間割りのコマ数をしっかりと計算した上で、高校の教員の人員配置を決めています。先生の顔もほとんど思い浮かぶので、あそこは世界史の先生が少ないとなれば、すぐに不正が分かります」(鳥取県教委)
 なるほど……。必修逃れ率の高い県の、一因はわかるのだが。
 受験目前で知らされて、補習が課せられる3年生はたまらない。
「受験生にとっては一番つらい時期なのに」
 と、河合塾教育研究部の神戸悟チーフは案じる。
「9月から11月は、周りも相当勉強していて、成果が見えず、いら立ちがある。この時期に補習は負担も大きいし、生徒が動揺したダメージも小さくありません」
 大学通信情報編集部の安田賢治部長は、今回の補習が数万人の現役に響く分、大学受験では浪人生が有利になるだろうと話す。
「浪人生は、地方の公立高校よりも東京・大阪など都市部の私立高校出身者が多いため、来春は私立高校の合格者数がのびるのでは」
 一方で安田さんは「必修逃れ」の効果については懐疑的だ。
 大学通信のデータによると、必修科目も教えていた国立高校の合格実績に、大きな変化があるわけではない。東京学芸大附属高校の五十嵐一郎副校長は、「情報」などの必修科目が増えてもあまり影響はないと話す。
「『情報』は必修になる前の99年から授業を実施、現在ではプレゼンテーションや学校コマーシャルの制作などもしています」

受験に効果は本当か
 アエラ編集部で、大学通信のデータをもとに、完全学校5日制実施前の2002年春の入試結果と、今春の入試結果を比べてみた。各教委が「必修漏れ」だと発表した公立高校のうち30校について、東大、京大、早大と、地元で進学者の多い大学の計4大学の合格者数を、調べた。完全学校5日制のカリキュラムのきつさが、必修逃れが広まった一因だと指摘されているからだ。
 これだけで「必修逃れ」の効果が判定できるわけではないのだが、合格者数が伸びた高校もあれば、減った高校もある。盛岡一、長野、松本深志、静岡、彦根東、大分上野丘などはかなり伸びていた。
 札幌では札幌東などの4校、通称「東西南北」がトップ校と言われる。「東西」が必修漏れ、「南北」はきちんとやっていた。
 この4校の合格者数の変化を比べると、微妙だ。必修漏れの「東」は4大学合計で36人増加。「西」は9人増。
 一方、「南」は18人減。「北」は合計で53人も増えていた。
 実は、この問題は前からある話だ。
「なぜ今ごろ大問題に……」
 教育関係者からは疑問の声もあがる。
 今回の発端は、富山県立高岡南高校。地元紙の北日本新聞が、必修漏れで3年生の卒業が危うくなっていることを10月24日に報じた。全国ニュースとなり「うちは大丈夫?」と不安が広がった。
 だが前にも、たとえば、1999年には熊本県で2校、長崎県で6校、2001年には広島県で14校の県立高校で必修漏れが見つかった。

バレたのは3回目
 兵庫県では、今回が3回目の発覚だ。まず、2001年度に県立長田高校での必修漏れが判明。このときは「レアなケースだと思ったので、同校への指導だけで終わった」(兵庫県教委)。
 ところが翌年度、別の高校についての投書を受け取った県教委が調査したところ、県立高校の3分の1以上の59校で世界史や化学など必修科目の一部を受験科目に振り替えていた。
 そして今回。発覚したうち6校は過去の調査で必修漏れがわかって、県教委が指導した高校だった。兵庫県教委高校教育課の担当者はこう話す。
「02年度以降、各校からカリキュラム内容に加えて、教師用の時間割り表と生徒用の時間割り表を提出させ、3重のチェックをしていました。今回はさすがにないと思っていたのですが、残念です」
 書類では見抜けなかった。今回は高校生から「(時間割りと違う科目をやっているが)無事卒業できるだろうか」と心配する匿名メールが届いたのだという。
 なぜ繰り返されるのだろうか。
 私立高校での教員経験もある、関西外国語大学の村井淳助教授はこう説明する。
「学習指導要領に違反する科目設定は、進学校を中心に日常茶飯事です。県教委が公立高校に進学率のプレッシャーをかけ、校長がカリキュラムを改ざんし、県教委が黙認していたというのが構図でしょう」
 愛知県のある県立高校の教員も同じ意見だ。
「生徒・保護者のため、という錦の御旗の下に、外部模試の点数で教科ごとの教師が比べられ、他校とは有名大学合格者数の競争をさせられる。そういう実績を上げた教員が学年主任になり、県教委に入り、教頭や校長になって戻ってくる図式です。うちの高校だけ受験から降りて、部活も行事もしっかりやりましょうなどと理想論を語ったら、化石のように思われてしまいます」
 代々木ゼミナール入試情報センターの坂口幸世本部長は、こう語る。
「学校5日制や、中学で教えていた内容が高校に移ってきて、高校にゆとりはない。一方で進学実績が求められる。少子化で統廃合の可能性がある高校なら、なおさらです」

なんで世界史を?
 必修漏れでは、94年度から必修となった世界史をほかの受験科目に替える例が目立つ。
「出題範囲が広く、日本史に比べてなじみの少ない世界史は理系、文系両方の生徒から避けられがちです」(代ゼミ・坂口さん)
 その結果、大学にしわ寄せがくる。前出の村井助教授は国際政治の分野も教えている。
「他大学の教員からも聞くのですが、最近はベトナム戦争さえ知らない学生がほとんどで、朝鮮半島や台湾が日本の植民地だったことも知らないことが多い。大学で一から高校の世界史を教えなくてはならない」
 これまで根本的な議論がされてこなかったから、繰り返されてきた。「だが、今回はパンドラの箱を開けてしまった」と村井助教授は言う。
 そもそも、世界史必修も、学校5日制も、決めたのは、約20年前の1987年の文部省(当時)の教育課程審議会だ。中曽根首相の諮問機関「臨時教育審議会」が方向性を打ち出し、課程審が、それを追うように走った。とりわけ、戦後に民主化教育の花形として生まれた社会科を、「解体」して、高校は地歴科と公民科に分け、国際化のかけ声の下で、世界史を必修にしたことが、最大の仕事だった。
 当時参院議員だった林健太郎東大名誉教授(西洋史)が国会で、説いていた。
「戦後日本でなおざりにされたのは、歴史教育。社会科が、道徳、歴史、地理教育を希薄にした。総理も愛国心とか、世界のなかの日本人とおっしゃいましたが……」
 教育現場では、世界史の履修率が落ちて、世界史の基本を知らない学生が増えていることを憂える声があがっていた。
 答申するとき「新しい教育課程で学ぶ子どもが社会の中核になる21世紀初頭を見通してまとめた」と談話を出した課程審の会長は、ノーベル賞受賞者の福井謙一氏。
 その21世紀初めに、必修漏れ問題は大ブレイクした。
編集部 有吉由香、加藤勇介 ライター 石渡嶺司

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