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□<いじめ自殺>教委に理由「不明」と報告した元校長の苦悩 [毎日新聞]
http://news.www.infoseek.co.jp/topics/society/bullying_3/story/12mainichiF1112m149/
<いじめ自殺>教委に理由「不明」と報告した元校長の苦悩 (毎日新聞)
女子生徒がいじめを示唆するメモを残し命を絶った苦い経験を持つ元校長(61)が、一連のいじめ報道を受けて取材に応じた。生徒の死はいじめと関係があると遺族に説明したが、教育委員会には自殺の理由を「その他(不明)」と報告した。「(報告は)あれでよかったのか。彼女はなぜ死に急いだのか。いろんな思いが今も頭から離れません」。退職した後も、心穏やかに過ごせないという。【井上英介】
東日本の公立中学校に校長として勤務していた時のことだ。初夏のある日、教え子の女子生徒が自宅で亡くなった。自室にあったノートに「死にたい」と書かれ、級友たちから害虫呼ばわりされたことなどを苦にする記述があった。
遺族からノートを見せられ、級友への聞き取り調査で生徒が不快なあだ名で呼ばれていた事実を確認した。「いじめはあった。自殺と関係があると認識している」と遺族に説明し、保護者会でも報告した。
「お母さんは泣き崩れ、私も泣きました。あだ名で呼ばれたのは短期間だが、ささいなことでも本人が嫌だと思えばいじめです」
教職員とともに誠意をもって対応し、いじめた子も親とともに謝罪、月命日のたびに焼香に訪れたこともあって、遺族の一定の納得は得られた。半年以上かかって学校は落ち着いたが、一人でいる時にぼんやりと生徒のことを考え、はっと我に返るようなことがしばらく続いた。
いじめ問題への文部科学省の取り組みに、疑問を感じないではない。「いじめかどうかを判断する認定基準が厳しすぎる。『いじめがいじめではない』という極めて奇妙な結果を導き、現場を誤らせかねない」
文科省は「自分より弱い者に対して一方的に、身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じている」という認定基準を定めている。だが、基準とは別に「いじめか否かは、子どもの立場に立って判断せよ」と何度も現場に呼びかけ、教育現場に混乱を招いている。
「教員はみな基準を頭に刻みつけている。なぜ実態に即したものに変えないのか。いじめの芽を見逃しかねない」。現役時代、日ごろから教員たちに「いじめの小さな前兆を見逃すな」と言ってきた。それでも前兆を察知し、防ぐことができなかった。
教え子の死から半年以上たち、教委にいじめがあったことを報告した。しかし、自殺については「主たる理由を一つ挙げよ」との指示に基づいて「その他」とした。「いじめは理由の一つだとは思うが、主たる原因だったのかどうか……学校は警察ではない。真相究明は難しい」。対応が正しかったのかどうか、答えは出ていない。
[毎日新聞11月12日]
[2006年11月12日3時00分]