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□もう1つの老人問題―ゲートボールといじめ [JANJAN]
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もう1つの老人問題―ゲートボールといじめ 2006/10/26
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最近、子供のいじめが社会問題化し、その解消のため、今週は、いじめ問題相談強化週間になってしまったほどである。いじめ問題は、子供にとどまらず、老人のほうも深刻である。たとえば、ゲートボール(※)である。
ゲートボールでのお年寄りのはつらつプレーは、見ていて気持ちがよく、ゲートボールが、お年寄りにとって、生きがいとなるのはよいことだ。しかし、その裏で、老人特有の集団競技ならではの陰湿ないじめが発生している。
ゲートボールのいじめについて、ある市の助役経験者は、「福島県では、ゲートボールがさかんだが、老人の集団競技は、いじめにつながりやすい。実際、負けたのは、おまえのせいだということで、トラブルになり、その結果、ノイローゼや痴呆症につながるケースもある。また、助成金絡みで、地元の有力者が協会をつくり、理事長にいすわるなど問題がある」と指摘している。
横浜市の町内会長は、「ゲートボールは、ルール自体にいじめを生みだす構図がある。ゲートボールは、いかに得点するかというより、相手に対していかに妨害できるかに重点がおかれており、打つ順番などをめぐりトラブルになりやすい。老人になると、精神的にタフではなくなり、我慢できなくなる。老人がゲートボールをするのなら、勝負にこだわらないほうがよい。また、排他的で、新しい人がはいりにくい環境になっており、最近は1人で行えるグランドゴルフをする人が多くなっている」と話す。
ゲートボールを巡るトラブルでは、1999年10月、鹿児島県で、殺人事件がおきた。70歳の男性がゲートボール仲間の69歳の女性に腕前をなじられたことなどの理由から、女性のせいで仲間外れにされたと思い込んで、女性の自宅を訪れ、包丁で刺し殺した。また、1998年11月、長崎市で、ゲートボールの試合でプレーの順番をとばされたことに腹をたて、89歳の男性が87歳の男性を刺傷するという事件があった。
高年齢者事件に詳しい専門家は、「高齢者は、人の意見を聞かなくなり、幼稚化もはじまり、自我をおさえることが難しい。このため、団体競技の喜びをかみしめることができず、恨みのほうが先にきてしまい、トラブル、事件に発展してしまう」と分析している。
一方、ゲートボールの助成金については、1983年以降、財団法人日本財団が実施し、2006年度、財団法人日本ゲートボール連合に対して7500万円が、ゲートボールの普及振興のため、ゲートボール大会や教室に対して使途を限定して助成している。また、地方公共団体がゲートボール協会などに助成をしている。
東京都内のある区では、区内のゲートボール協会事務局に対して、年間42万5000円の助成をしており、区内には35のゲートボールチームがあるが、競技人口は減少しているという。
別の区では、集団競技のゲートボールより個人競技のグランドゴルフに人気が集まっており、グランドゴルフの開催は、週1回であったが、最近、週2回に増やした。集団競技より、1人で気楽にできるスポーツを求めている人が多いという。ちなみに、グランドゴルフの説明についての宣伝チラシにも、「グランドゴルフはチームプレーではなく個人で行うものです」と記載されている。
財団法人日本ゲートボール連合によると、日本のゲートボール人口は、推定190万人(15年前に比べて3分の1に減少)。世界では、現在約20の国・地域に普及しており、ゲートボール人口は1000万人を超えるとしている。
別の助役経験者は、「ゲートボールには、正直、あまり助成金を与えたくなかった。子供同士のいじめもすごいが、老人のいじめのほうが陰湿だ。老人は、集団競技ではなく、個人競技のゴルフなどのほうがよい」と感想を述べた。
(井上理)
◇
※ゲートボールは、我が国発祥のスポーツ、5人1組で、2チーム対抗で行われる。集団競技である。ゲートボールといえば、お年寄りが行うイメージが強いが、元来は、子供の遊びとして誕生した。
(10月30日・記事の一部を修正しました:編集部)