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11/2 夕刊
『度重なる職質 なぜ』
警官に暴行、逮捕の女性
「こういう事件は、酒に酔った粗暴者がやるもの。あなたのような人は考えにくいのだが…」
赤いリボンのブラウスに真新しいグレーの上着とスカート。清楚(せいそ)ないでたちで法廷に立ち、丁寧に質問に答える女性(35)に、裁判官も首をかしげた。
今年八月、職務質問をした警察官につかみかかり、公務執行妨害の現行犯で逮捕された。
東京都内の会社で電話のオペレーターをしていた。自宅から約十キロの道を一時間以上かけ、自転車で通っていた。
その日は朝から雨模様だった。夕方からの勤務で、いつものようにペダルを踏んでいると、通りがかりの警察官から職務質問を受けた。亡くなった父親の自転車には固定錠はなく、チェーン錠を使っていた。それが“不審”に思われた。
「なぜ私だけ止められるの」。女性はそれまでも通勤途中に数え切れないほどの職務質問を受けた。夜は五日に一度、警察官に呼び止められた。そのせいで会社に遅刻することも多かった。
付近一帯は自転車の盗難が多く、警察が念入りにパトロールしていたという。
たまっていた不満がとうとう爆発した。「どうして?」と警察官を問いつめた。でも納得のいく説明はない。「カーッと頭に血が上り」、自分よりも体格のいい警察官の胸ぐらをつかんで揺すった。振り回したかばんが警察官に当たり、下唇を切った。
裁判官「警察はなぜ職務質問をすると思う?」
女性「市民の生活を守るためです」
裁判官「防犯で治安が保たれるんでしょ。なんで、よりによって警察官に手を上げたの」
女性「今は、どうしてそんなことをしてしまったんだろうとしか…」
反省と謝罪の言葉を繰り返すばかりだった。
普段から積極的に献血をし、骨髄バンクにも登録していた。交通費節約のため、高校時代も自転車で一時間の距離を通い続けた。
「とても心優しい子。暴れたのにも、娘なりの理由があったのでは」と母親は言う。「固定錠がないから目立つ」と、警察は教えてくれてもよかったのに…とも思う。だが、感情を暴発させた相手が悪すぎた。
先月言い渡された判決は懲役一年、執行猶予三年。六年間正社員としてまじめに通った会社は、事件で退職を余儀なくされた。押収された自転車は最近戻ってきたが、乗る機会はほとんどない。「戒めと受け止め、おとなしく過ごすだけ」(母親)という。 (小嶋麻友美)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20061102/eve_____sya_____002.shtml