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いじめ問題に「什の掟」問い合わせ続々
北海道と福岡の児童・生徒がいじめを苦に自殺するなど、学校でのいじめが社会問題化する中、江戸時代の「什の掟(じゅうのおきて)」が教育関係者の注目を集めている。会津藩が藩校「日新館」入学前の子供たちに唱えさせたおきてで「弱い者をいじめてはなりませぬ」など7項目と「ならぬことはならぬものです」の結びの1文で構成される。現在は博物館となっている日新館には、全国の学校から問い合わせが連日届いている。
什の掟は、会津の子供たちがたたき込まれた武士の心得だ。5代目会津藩主松平容頌(かたのぶ)の家老田中玄宰(はるなか)が「会津藩の興隆は人材の育成にあり」として藩校「日新館」を開学した1804年ごろできたといわれる。当時、日新館入学前の6〜9歳の子供は、遊びの集団「什」をつくって遊び、夕方には反省会で「什の掟」を毎日唱えたという。
現在は博物館となっている会津藩校日新館には、全国の教育関係者から問い合わせが相次いでいる。同館によると「九州、四国を含め、全国の小学校の校長先生から『現代風に変えて子供たちに教えたい』という声が多い」という。
什の掟は昨年、藤原正彦氏のベストセラー「国家の品格」(新潮新書)でも紹介され、今年は歴史雑誌などで特集も組まれた。会津が地元で「黄門さま」と注目を浴びた民主党の渡部恒三前国対委員長(74)も度々引用するなど、全国的にも知られるようになった。警察庁が調べた昨年1年間の全国のいじめ関連の暴行などの事件は、最近の10年間で2番目の165件で、いじめた理由は「力が弱い、無抵抗だから」が1位(27・3%)。こんな現状が、什の掟の「ならぬことはならぬ」の精神の再評価につながったようだ。
日新館には座禅や弓道などの武道体験による精神修行の場もあり、修学旅行に訪れる学校も多い。これまでは近県の小中学校が主体だったが、最近は高校も増え、中国地方の高校から「海外旅行を会津旅行に変え、侍の文化を教えたい」と下見に来た教員もいる。見学校は年間300〜400校。国外からの問い合わせも増え、今年は台湾からの修学旅行があった。
教育をめぐる問題では、受験対策のための必修単位の未履修問題などの不祥事も発生している。日新館では「教育は今日明日に結果が出ない100年の計だが、子供の模範たるべき大人がまず再認識する必要がある」としている。【清水優】
[2006年10月29日7時52分 紙面から]