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絶望した人間を作り出してしまえば、死刑は何らの犯罪抑止力ももたない。
絶望した人間を作り出さない社会を作ることが、必要なのだ。
厳罰主義が作り出す社会は、ますます、人びとを絶望的な状況に追い込んでいくだろう。
小林被告の場合は、学校での非寛容な状況が絶望を産みだしたように見える。(朝日の記事を参照)
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http://www.sankei.co.jp/news/060926/sha019.htm
死刑にガッツポーズ 小林被告にんまり 奈良女児誘拐殺人
口ひげをたくわえた男は、これまでの公判と同じように、無表情でふてぶてしい態度に終始した。奈良小1女児誘拐殺人事件で奈良地裁は26日、小林薫被告(37)に死刑判決を言い渡した。「主文は後回しにします」。厳刑をうかがわせた奥田哲也裁判長の冒頭の言葉には、ガッツポーズをするように右手の拳を小さく数回振り、にんまりと笑みまで浮かべた。一方、被害者の有山楓ちゃん=当時(7)=の両親は、楓ちゃんの遺影を持って傍聴。かけがえのない娘の命を奪った被告をにらみつけ、泣き崩れた。
◇
「主文、被告人を死刑に処する」。開廷から約1時間半後、死刑判決が言い渡された。その瞬間、小林被告は手を組んで、けだるそうに首を左右に2回揺すった。奥田裁判長に「判決は分かりましたか」と尋ねられると、1回だけ小さくうなずいた。
「自分の犯した罪の重大性をもっと真剣に受け止めるようにしてください」。判決が言い渡された後の裁判長の説諭も、じっと立ったまま聞くだけだった。
小林被告はこの日、午前10時前、グレーのポロシャツにスウェット姿で、ゆっくりと入廷。無精ひげのような口ひげの生えた顔をうつむき加減にし、憮然(ぶぜん)とした態度で被告席に着席した。
奥田裁判長から、主文の後回しを告げられた瞬間は、まるでガッツポーズをとるように右手の拳を小さく数回振った。さらに勝ち誇ったように、にんまりと笑みまで浮かべた。
これまで再三にわたり、死刑を望む発言を繰り返してきた小林被告。入廷時のなげやりな態度とは一転したそぶりだった。改めて自らを誇示するようなその態度には、小林被告の「異様さ」が凝縮されていた。
奥田裁判長が判決を読み上げる間も、みけんにしわをよせたまま口を固く閉じ、無表情のまま。全国各地で子供を狙う犯罪が相次ぎ、判決に注目が集まるのをよそに、これまで通り無気力な様子で大きく足を広げ、深く被告席に腰掛けていた。
半面、いらつくのか、首筋のあたりをかくなど、落ち着きのないしぐさもみせた。
これまでの公判でも、小林被告の口からは明確な謝罪の言葉は聞かれなかった。6月の最後の公判では、最終意見陳述の際、奥田裁判長に「何もありません」。だが、結審後には、奥田裁判長あてに、死刑を望んでいることを強調する手紙を2回も出していた。
弁護人などによると、手紙では「更生する自信がない」などとする一方、仮に無期懲役の判決が出た場合は、恨みのある2人に対し、服役後の仮出所時に復讐(ふくしゅう)することをほのめかし、「必ず実行する」と書かれていたという。
ふてぶてしい態度を取り続け、最後まで「死刑」にこだわり続けた小林被告。事件を真摯(しんし)に受け止める態度は、ついに一度も見せなかった。
◇
■両親、遺影を抱き涙
「楓とともに判決を聞きたい」。傍聴席には、楓ちゃんの父、茂樹さん(32)と母、江利さん(30)の姿があった。「決して許さない」と訴え続けてきた茂樹さんは、死刑判決が言い渡された瞬間、深々と息をはき、江利さんは両手に抱えた楓ちゃんの遺影をぎゅっとにぎりしめた。
茂樹さんは黒のスーツ姿、江利さんは黒のワンピースにグレーのジャケット姿。江利さんは楓ちゃんの遺影をピンクのハンカチに包んで、11回に及んだ公判で初めて法廷に持ち込み、判決の瞬間を待った。
小林被告が入廷すると、茂樹さんはやや緊張した面持ちで正面をみつめ、江利さんもうつむいていた顔をあげ、小林被告をにらみつけた。
両親は奥田裁判長が読み上げる判決理由を、目を閉じたり、両手を前にくむなどして静かに聞いていた。読み上げが楓ちゃんの殺害状況に及ぶと、茂樹さんは祈るような姿勢をとり、江利さんも悲しみをこらえきれず、ハンカチで目頭を押さえてすすり泣いた。両親はこれまで欠かさず公判を傍聴し、小林被告の態度に「反省の様子が見えない」とし、愛娘(まなむすめ)を奪われた悔しさをあらわにしてきた。
小林被告の「死刑」を聞き終えた後、付き添いの職員が、泣き崩れた江利さんの手をさすり続けたが、江利さんは長い間、立ち上がることができなかった。
◇
■「結論ありき」 弁護側が批判
判決公判終了後、小林被告の弁護団は弁護士会館で記者会見。判決を「まず(死刑という)結論ありきで、極めて遺憾」と批判した。
会見で、主任弁護人の高野嘉雄弁護士は「事件の背景や被告の人格形成について、極めて表面的な判断だった。何のために情状鑑定をやったのか」と主張。さらに、「事件について社会に考えてもらうのが裁判所の役割。小林(被告)を抹殺するだけでは、第二、第三の小林が出てくる」と述べた。
◇
■小林被告の供述
法廷で投げやりな態度を見せてきた小林被告。これまでの供述を拾った。
「(殺害して)自分のものにしたという満足感を持った。悪いことをしたと思うが、心からわびる気持ちはない。第二の宮崎勤(死刑囚)か、宅間守(元死刑囚)として世間に名が残ればいい。小林薫の名を知らしめて満足している」(平成17年4月の初公判で朗読された逮捕後の供述)
「(いじめられた小学校時代は)この世に存在していない無のような感じ。みじめったらしい過去だからあまり思い出したくない」(同年5月9日第2回公判)
「(過去のわいせつ事件で服役中は)一種の社会勉強と思った。うわべだけの反省だった」(同月23日第3回公判)
「(「次は妹だ」とメール送信した理由は)報道が下火になり、面白くないと思った」(同年6月13日第4回公判)
「(女児に対し)おわびの言葉しかない。就寝前に毎日手を合わせている」「(事件が報道され満足した気持ちは)変わらない」(同年7月4日第5回公判)
「早く茶番を終わらせ、死刑を言い渡してほしい。生きていても面白くない」(18年3月27日第6回公判)
「逮捕され楽になった」(5月25日第8回公判)
「(裁判長から意見陳述を促され)いえ、何もありません」(6月26日の結審で)