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2006年07月16日
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200607150154.html
失業や病気などで生活できなくなった時、最後の頼みの綱ともいえる生活保護制度で、受給を求める人らからの不服申し立てが05年度まで2年で倍増したことが朝日新聞社の調べでわかった。財政難の中、保護費を削ろうと申請を受け付けず、弱者に厳しくなった自治体の姿が浮かぶ。不当な窓口対応は福祉関係者の間で「水際作戦」と呼ばれる。不服申し立ての件数が全国2位だった大阪府で、生活困窮者が「水際」で追いつめられるケースを見た。
40代前半の女性は今春、大阪府内の市で生活保護を申請した。小中学生4人の子がおり、収入は児童扶養手当など月約7万円だけ。関節リウマチで両手が不自由なため、働く場がなかなか見つからない。医師は「手を使わず働ける職場があればいいが、そんな雇用先があるとは思えない」と診断書に付記した。
だが、市は「『稼働能力』を活用していない」として申請を却下。働けるのに働いていない、という見解だ。女性は不服申し立てに踏み切り、知事の裁決を待っている。支援する弁護士は「生活保護をとにかく認めないため、稼働能力を口実にしている」と憤る。
大阪弁護士会が6月末、生活保護に関する電話相談を実施したところ、申請を断られたという相談は31件あった。理由では、「稼働能力あり」が15件、「親族の扶養で生活を」が9件などだった。小野順子弁護士は「窓口で申請書を渡さず、『相談』扱いにする水際作戦の被害が目立つ」と指摘する。
全国有数で失業率が高い大阪府の保護受給者の割合(保護率、人口千人あたり)は04年度、全国最多の23・2人で、過去9年間の増加率も最も高かった。財政圧迫もそれだけ進み、大阪市の場合、06年度当初予算で生活保護費が6年前の約1・5倍の2291億円に増え、保護世帯への地下鉄・バス代や水道料の減免を打ち切った。
一方、保護率上昇に伴い、府の不服申し立て裁決数も4年間で約3倍の77件(05年度)に増加、保護件数を抑えようとして申請者とのあつれきが多くなっている実態がうかがえる。
大阪市旭区で生活保護担当職員の経験がある松崎喜良・神戸女子大助教授(公的扶助論)は「厳しい財政状況を反映し、自治体が国以上に保護切り捨てに躍起になっている。不服申し立てに至ったのは氷山の一角。特に大阪は保護率の増え方が急で、窓口が厳しさを求められるようになってきている」とみる。