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(回答先: 首都・阪神高速、ETC義務化を本格検討・2008年度メド(NIKKEI NET)〜選択の自由を無くすとはどういう事だ 投稿者 ウソ捏造工場 日時 2006 年 5 月 20 日 09:44:09)
http://www.natureinterface.com/j/ni01/P066-069/より抜粋
ETCの問題
現在設置されているETCゲートでは、前方に遮断バーがあり、ETCで料金を支払ったことが確認されてバーが上がるようになっている。このため、高速度でETCゲートを通過することができない。遮断機が必要なのは、ETC車上装置を装着していない車がETCレーンを通り抜けることを防止するためである。高速度でゲートを通過できるようになると、ロード・プライシングなどをきめ細かくできるようになるが、現状では難しい。全ての車にETCがつけば、遮断バーは不必要になるであろうが、義務化には抵抗感が付きまとう。
ETCが利用者にどのように受け入れられるかは大きな問題である。カーナビの場合は装着するかどうかはクルマの所有者の自由意志であるが、ETCの車上装置の場合には、ETCが未装着だと利用できない道路や地域が増えてくると、実質的な義務化になってしまう。この場合、3〜4万円という車上装置を利用者が負担することへの抵抗感が生じるであろう。特に高速道路の利用率が低い車の場合、負担感はかなり大きなものとなろう。
新車の場合には、カーナビと一体化されて標準装備されることになるであろうが、これも車両価格に転嫁されるので、利用者が負担することになる。日本で現在登録されている自動車数は二輪車を含めて7500万台なので、これにETC車上装置をつけることになると2〜3兆円という額になる。ETC車上装置を市販する電気メーカーや自動車メーカーにとっては、非常に大きなビジネスではあり、経済の活性化に効果が期待されているが、利用者にとっての負担は小さくない。
ETC自体の問題ではないが、ロード・プライシングなどの実施により、通行料金が上がることが考えられる。現状での不公平さは解消されるが、この一方、今までこれで得をしていた利用者にとっては値上げとなる。地域ロード・プライシングの場合には、今まで無料が原則であった一般道路までが有料化されるわけであるから、抵抗感は少なくないであろう。
もう一つの大きな問題はセキュリティーである。ETCでは、クレジットカードの利用が基本となるが、電波でクレジットカードの情報が飛び交うことになり、悪用される可能性もある。電波の盗聴による悪用については、暗号化することで防げるとされているが、カードの盗難や偽造という可能性もある。また、 ETCが普及すると、道路利用履歴がわかってしまうのでプライバシーの侵害になるという意見もある。カナダでは、このためにETCの採用が見送られたこともあった。日本では、すでにナンバープレートを自動認識するNシステムが普及しているので、いまさらプライバシーの侵害ということはナンセンスかもしれない。
ETCによって、ロード・プライシングが始まり、それで道路渋滞解消や環境の改善が実現できれば、効果があがったことになる。しかし、道路が空いた分、利用者が増加し、交通渋滞は変わらずに、利用コストだけ増えるということになると意味がない。ロード・プライシングが効果あるものにするためには、ピーク時と非ピーク時、あるいは低公害車とそうでない車との間で料金差をかなりつけないといけないが、こうすると不満がでてくることになる。したがって、公共財としての道路のあり方、料金の取り方に関して国民的な合意形成が必要である。
これができないと、単に「平成の関所」ができ、利用者は車上装置とICカードという手形を買わなくてはいけないことになってしまう