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http://amesei.exblog.jp/d2006-09-22
ジャパン・ハンドラーズと国際金融情報
「市場化テスト」で公共サービスの質の低下は確実−イギリスの経験から
http://www.orix.co.jp/grp/ir_j/management/profiles1/img/t_miyauchi.jpg
Good-bye, Mr.Deregulation
竹中平蔵に続いて、規制“撤廃”会議の宮内義彦・オリックス会長も逃亡。アメリカ型の利権社会に日本も変貌しつつあるのか。
(貼り付け開始)
<規制改革会議>宮内氏が議長辞任 小泉首相退陣に合わせ
政府の規制改革・民間開放推進会議議長の宮内義彦オリックス会長は21日、首相官邸に小泉純一郎首相を尋ね、議長を辞任する意向を伝え、首相も了承した。宮内氏はオリックスの村上ファンドへの出資問題などに批判がくすぶっており、首相退陣に合わせて退く意向を固めたとみられる。
(毎日新聞) - 9月21日21時8分更新
(貼り付け終わり)
宮内義彦の最大の“功績”は、役所のサービスを民間に委託するという「市場化テスト法」の成立を政府に働きかけて、実現させたことにあるだろう。この改革利権は外資ももちろんであるが、オリックスなど民間会社の参入利権にもなっている。安倍政権になっても、市場化テスト法はなくなるわけではない。
市場化テストについては認知度は低いようである。
(貼り付け開始)
市場化テスト「知らない」が96%=公共サービス「満足」は減少−内閣府調査
内閣府は21日、「公共サービス改革」に関する世論調査結果を発表した。公共サービスの担い手を競争入札によって決める「市場化テスト」について、知らないと答えた人が96.4%に上り、同制度が国民に浸透していないことが明らかになった。
調査は8月10日から20日まで、全国の成年男女3000人を対象に面接方式で実施。有効回答率は61.6%。
(時事通信) - 9月21日19時1分更新
(貼り付け終わり)
この市場化テスト法、一見にして、非常によい法律のようにも見える。「非効率・高コスト体質な官業」を「民間会社の市場原理に基づく競争」にゆだねる。何も問題が無いように見える。
しかし、イギリス・ガーディアン紙のポリー・トインビー記者の書いた『ハードワーク』(原題:Hard Work,2003)によるとサッチャー政権によって導入されたイギリス版市場化テスト(「外部発注」outsourcing )は大きな問題を生んでいると書いている。
最大の問題は、この市場化テスト法が、イギリスでは実際には巨大な多国籍企業による民間利権の独占につながり、中小企業が締め出される結果になっているということである。中小企業はコスト削減が無理でも大企業であれば多少の“無理”(=ダンピング)は実現できる。要するに労働コストを極限にまで切り詰めればいいのだから。切り詰めたコストは他の低賃金国で補えばいい。国際的なパレート最適といえば聞こえはいいが実態はコストのバックパッシング(他者への責任転嫁)である。国家独占であれば、コストは国民の税金に上乗せされる。セーフティネットの考えからすれば、累進的税制を導入するのがもっとも正しい。(欧州でもてはやされている、フラットタックスについては、マレー・ロスバード系の経済学者が批判している。私はこの税制はいわゆる「10分の1税」ならぬ「4分の1税」ではないかと思う)
トインビー女史は、鎌田慧の『自動車絶望工場』(講談社)よろしく、自らが「高級ジャーナリスト」としての身分を偽って、国家医療サービス(NHS)の病院で、民間委託を受けたエージェンシーの派遣職員として働いた経験を元に、公的サービスの民間委託は大企業を儲けさせるだけの構造になっており、働く側は雑巾を絞るように賃金を最低レベルにまで(場合によっては最低賃金を下回る)落とされている、とのこと。。イギリスでも国際金融資本の陽動作戦として誕生したブレア政権の「ニュー・レイバー」路線で「格差社会」が固定化している現状が告発されている。
これは一種の「FT」紙や「ロンドン・エコノミスト」の自由主義経済思想(新古典派経済学)のセオリーにそった解決策であるが、実際はcorporate interestのための思想である。金持ちロスチャイルドのための思想だろう。
セーフティネットがあってこその自由主義経済なのだがどうもセーフティネットはお留守になっている。アメリカでも最近カリフォルニア州が「最低賃金法」を可決したことが話題になり、連邦レベルでのminimum wage act の制定が取りざたされているが、逆に言えば、それだけ今の経済思想に問題があるということだろう。
私は累進税制+社会民主主義的な経済思想がベストだと考えているのだが、スウェーデンでも最近、リベラルな自由主義的政権が誕生している点を見ると、社民主義政権の既得権構造にも問題があるようには思える。
市場化テスト法(競争の導入による公共サービスの改革に関する法律)は、以下の通り。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g16405034.htm
市場化テストで公的サービスを民間委託することで、お役所としては、そこで働く人の労働賃金について、直接心配する必要が無くなる。何しろ責任は民間のエージェンシーにあるのだから、なんとも楽な話である。民間のエージェンシーに委託することによって、契約した以上のサービスを提供することは法律違反になるという問題がある。先のトインビー女史の本によれば、病院の荷物運びの派遣職員がたまたま遭遇した患者の介助をすることは契約違反になる。民間委託前には普通にできていたことができなくなってしまい、むしろ現場の混乱と非効率化を招いているという指摘がなされている。
要するに、「民間委託に適した仕事」と「そうではない仕事」が明らかに存在するということだ。私の考えでは、ガス・水道・電力・郵政など基幹サービスは国家の資本を入れた上で地域独占か全国寡占にするのがもっとも効果的(効率的ではないが)だろう。国が運営している以上は、あまり無理なコスト削減ができないからである。稼ぎたい民間会社は何もこのようなユーティリティー産業ではなく、他の十分に開放された分野で競争をすればいいだけの話である。
http://www.kisei-kaikaku.go.jp/market/img/market_image.gif
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