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いま都心の書店で「もはやタブーではない」という帯をつけた「日本核武装の論点」(PHP研究所)が平積みになっている。編著者の中西輝政京大教授は安倍晋三官房長官のブレーンだ。冷戦期に比べて米国が日本を守る必然性は薄れ、最優先で守ってくれるかどうか分からない、中国や北朝鮮の核に対抗する日本核武装は合理的な選択肢であり、積年のタブーを破って議論すべきだと教授は説く。
中曽根康弘元首相も最近発表したリポート「21世紀の日本の国家像について」で核武装問題に触れた。「非・核保有国としての立場を堅持し、NPT(核不拡散条約)体制の強化に努めるとともに、将来における国際社会の大変動に備え、核問題の検討を行っておく」と記している。
まだある。週刊文春が今年3月、麻生太郎外相の「核武装発言」を報じた。昨年12月、ワシントンでチェイニー副大統領やラムズフェルド国防長官に「北朝鮮が核開発を続ければ、日本も核武装しなければならない」と語ったという。外相は記者会見で否定したが、発言は事実と見る向きが少なくない。
並べ立ててくさそうというのではない。核武装論は衝撃的だが、出版も発言も禁じるわけにはいかない。安倍氏は官房副長官当時、こう言っていた。「憲法解釈上は、自衛のための必要最小限度を超えなければ核兵器も保有できるが、非核三原則やNPTにより、核保有という選択肢は全くない」(02年6月10日、衆院武力事態委)。従来の政府見解を踏襲しているが、安保環境激変下の首相就任でどう変わるか、注目点だ。(編集局)
毎日新聞 2006年9月18日 0時31分
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