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自民党総裁選*自衛権の守るべき一線(9月15日)
持っているけれど使えない。集団的自衛権はそう定義されている。
なぜ使えないのか。自国防衛のために憲法九条が認める必要最小限度の自衛権の範囲を超えるからだ。
これは政府の公式見解であり、拡大を続ける自衛隊の活動に一定のたがをはめてきた。
集団的自衛権とは、自国と密接な関係にある国が武力攻撃を受けた時、それを自国への攻撃とみなし共同で実力阻止する権利をいう。その不行使原則は、戦争放棄を掲げる憲法の平和主義を機能させる柱の一つといえよう。
自民党はこれがよほど邪魔とみえる。昨年秋にまとめた新憲法草案では、集団的自衛権の行使を前提とする「自衛軍」の創設を打ち出した。総裁選の各候補も、従来の政府見解を否定する立場だ。
安倍晋三官房長官と麻生太郎外相は、集団的自衛権を使えるよう憲法解釈の再検討を提起している。谷垣禎一財務相は、行使は認める必要があるが憲法改正によるべきだという。ただ「長い間の政府答弁の蓄積がある」として早急な改憲には慎重でもある。
政府はこれまで、国会でたびたび「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」と説明してきた。この見解は多くの国民に支持され、定着し、自衛隊の行動規範にもなってきた。
谷垣氏が指摘する「政府答弁の蓄積」の重みとは、そういうことだろう。
日米両国は安全保障条約などによって軍事同盟の関係を強めている。ただし、日本側には憲法が定める「専守防衛」という国是がある。
政府が集団的自衛権の行使を認めてこなかったのも、自衛隊と米軍が軍事行動を共にすることに厳しい制約があるのも、そのためだ。
自衛隊の海外派遣をめぐってその都度、憲法論議が起きるのも、他国軍との共同行動が集団的自衛権の行使につながりかねないからだ。
米国が旗を振る「テロとの戦い」を後押しするため、日本はインド洋やイラクに自衛隊を送り出してきた。
一緒に行動する他国の艦船や兵員が攻撃を受けても、自衛隊は手を出せない。それで果たしていいのか−。
安倍氏や麻生氏はそう訴える。
しかし、憲法を踏み外すような海外派遣を強行したうえで、今度は憲法が実態に合わないというのは、逆立ちした理屈だ。
集団的自衛権の行使を認めるべきだという主張には、武力にものをいわせた米国の行動に足並みをそろえようという対米追従の姿勢が見え隠れする。その先にあるのは自衛隊の海外での武力行使だろう。
平和憲法の理念に立って譲れない一線。それが集団的自衛権は使うことができないという原則なのだ。
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/backnumber.php3?&d=20060915&j=0032&k=200609151681
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