★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK26 > 586.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
【天木直人 ニッポン外交の迷走】 2006年9月11日 掲載
改革と対決に疲れた小泉ファンが安倍を潰す
やがて誕生する安倍晋三自民党総裁が、「集団的自衛権は認められるべきだ」とか、「教育基本法の改正は最優先課題だ」などとやたらに訴えている。それを見て護憲勢力や平和主義者は「小泉よりも危険なタカ派だ」と気色ばむ。
しかし、その懸念には及ばないだろう。ズル賢い小泉首相と違って、バカ正直で政局に未熟な安倍氏は、愛国的「信念」を訴えれば訴えるほど行き詰まり、小沢民主党に政権を奪われることになる。安倍新政権の成否のカギは、小沢民主党に先駆けて小泉政治を否定することができるかにかかっている。
小泉政権の末期にきてこの5年半は一体何を残したのかと語られるようになった。確かに今でも高支持率を保っている。それにもかかわらず、小泉政権の政策の評価をめぐる世論調査では点数が辛い。このことは、小泉首相の支持者が、必ずしも小泉首相の政策を理解し、評価して、支持したわけではないことを示している。
対決をことさらに煽り、抵抗されても屈しないという「改革者」を演じ続けたパフォーマンスが小泉ファンをつくったのだ。小泉首相の懐刀である飯島勲秘書官がこの点を誇らしげに吹聴しているらしい。「日本の新聞が全部批判しようとも、30%は小泉個人の固定ファンである」と(9月8日付、毎日新聞)。政治に無知、無関心な若者や、生活に困らないミーハーのマダムたち、そして権力に追従して恩恵にあずかろうとする現実主義者たち、彼らこそが30%の「固定ファン」なのだ。「代わりになる首相がいない」などという消極的な理由から小泉首相を支持した国民がそれに加わって5割前後の支持票を維持し続けた、それが小泉政権の正体である。
しかし、そういう「固定ファン」の多くは、小泉首相の降板とともにあっさりと小泉政治を忘れてしまう。その一方で多くの国民は5年半の小泉劇場にうんざりし始めている。世論の大勢は、もはや国論を二分する小泉的論争に疲れ、暮らしを楽にしてくれる、平和な政治を急速に求めているのだ。
この流れの変化に気づかずに、一部の保守、愛国者におだて上げられて事大主義的な外交を進めようとしたら、間違いなく小沢民主党に国民の支持を奪われる。安保闘争を乗り越えた祖父・岸信介のDNAを受け継ぎたいとか、総理を目前にして病気に倒れた父・安倍晋太郎の悲願を果たしたいなどというこだわりにとらわれるようでは、政権を長続きさせることは難しいだろう。
▼天木直人(あまき・なおと) 元レバノン大使。1947年生まれ、京大法学部中退で外務省入省。イラク戦争に反対する公電を送り、小泉首相の対米追従外交を批判して「勇退」を迫られる。著書に「さらば外務省!」「ウラ読みニッポン」(講談社)など。
http://gendai.net/?m=view&g=syakai&c=020&no=28300
▼「天木直人 ニッポン外交の迷走」記事一覧へ
http://gendai.net/?m=list&g=syakai&c=020&s=81
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK26掲示板