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http://blog.e-otegami.net/butch/archives/2006/09/post_117.html
今日の札幌は朝から快晴で、どこまでも青い空が広がっている。空が高い。5年前のニューヨークもそうだった。青い空に聳え立つ双子の超高層ビルの片方から鮮やかなオレンジの炎が噴出していた。しばらくすると、もう片方のビルに旅客機が突っ込み、ビルの反対側に巨大な炎が噴出した。鮮やかな青い空と鮮やかなオレンジの炎、それがあの事件のイメージだ。
双子のビルの崩壊により、当たりは灰色に包まれた。砂嵐のような噴煙と逃げ惑う人々。鮮やかな青とオレンジのイメージが一瞬の後に色彩のないモノクロの世界に変貌した。次の日のニュース番組で、「世界が変わった」
(あるいは「後世、この日を境に世界が変わったと言われるようになるだろう」だったか)と言ったのは筑紫哲也だったと記憶している。世界の何がどう変わったのか。おそらく今夜のニュース番組は、そのような視点で特集を組むだろう。
「世界はどう変わったのか」。もとよりButchの技量を超える仕事だが、心あるメディア、ジャーナリストは、是非とも怠りなく検証してもらいたい。
一つの視点として、「9.11」後のアフガニスタン、イラクでの戦争によって誰が利益を得たか、ということがある。すぐに思い浮かぶのは軍産複合体で、クリントン政権で黒字化したアメリカ連邦財政が史上最高額の借金を抱えることになるほど戦費を注ぎ込んだ。その金の大半は、軍産複合体に流れ込んだ。新しい武器・平気が開発され、戦場で試され、新しい武器ビジネスの市場が開かれた。
次に石油メジャーがある。ピークオイルや中国その他のエネルギー需要の増大を背景として、イラクの油田やアフガンのパイプラインをアメリカが押さえることによって、今次の原油高騰において石油メジャーは巨万の利益を上げた。イラク油田からの石油出荷量は戦争前のレベルには程遠く、油田から得られる利益を当てにしていたイラク復興は遅々として進んでいない。ある意味で、原油高騰を招き、それによって石油メジャーが空前の利益を上げたことで、戦争目的の一端は達せられたのかもしれない。
日本においては、集団的自衛権行使に道を開いた。インド洋やイラクへの自衛隊派遣(派兵)は、明らかに集団的自衛権の行使であり、従来の憲法解釈からすれば違憲である。副産物として、「どこが非戦闘地域なのか、私にわかるわけがない」「自衛隊が活動するところが非戦闘地域」といういい加減な答弁がまかり通り、国会論議全体が軽佻浮薄化した。大量破壊兵器もテロ支援の形跡も見つからなかったイラク戦争を、いち早く支持したコイズミの責任もまったく問われていない。
アメリカではイラク戦争に反対する、あるいはイラクからの撤退を主張する市民運動が活発化しているという。日本の反戦運動は、ほとんどなきに等しいが、アメリカでは「9.11」テロ犠牲者の遺族や、イラク戦争で戦死した兵士の遺族が中心となった活動が続いている。だが、その主旨は、「これ以上、アメリカの若者を死なせるな」という点にあり、そこには、アフガニスタンやイラクで米軍に殺された人々の姿はない。
もっとも大きく変わったのは、言論の自由度ではないかと思っている。「安全」が最重要課題となって、テロ対策や防犯のためなら権力の自由度が上がり、その結果、言論の自由度が下がる。巨額のミサイル防衛予算が計上され、福祉が切り捨てられる。アメリカに追従する評論家がメディアに長時間露出し、政権を批判する評論家は干される。反戦ビラを配った市民活動家が逮捕され、あろうことか有罪判決が下される。以前なら、明らかに権力の行き過ぎに非難が集中したはずだが、今ではビラを配って逮捕されても、それがさも当然のような言説さえ見られる。
これらは必ずしも「9.11」のせいとは言えないかもしれないが、人々の不安が「安全」を希求させ、「安全」の確保を口実として権力が次々とフリーハンドを得る状況は、やはり異常だ。この傾向が強まればいつか自由にモノが言えない雰囲気が充満する。警戒しなくてはいけない。
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