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「集団的自衛権」再考の機運 小泉首相から安倍氏へ
政府が憲法解釈上、行使できないとしている集団的自衛権をめぐる論議が自民党総裁選の争点に浮上している。フィンランド訪問中の小泉純一郎首相は9日午後(日本時間同日夜)、記者団との懇談で「よく今後、検討する必要がある。いつの政権でも冷静にやればいい」と述べ、次期政権での論議に期待を示した。総裁選で圧倒的優位に立つ安倍晋三官房長官は、集団的自衛権の範囲を再定義するという現実路線にカジを切る考えで、次期政権で論議が本格化する環境が整いつつある。
小泉首相は懇談で「単に集団的自衛権といっても、個別的なケースがいろいろある。具体的なケースにおいて(結論は)非常に違ってくる。実際のケースを冷静に検討していけばいい」と指摘。「最初からだめだという論評と、認めていいという論評と、思い込みで議論しすぎる」と、現在の論議に疑問を呈した。
集団的自衛権は、ある国が第三国から武力攻撃を受けた場合、同盟国などが自国への攻撃とみなし、第三国に反撃を加えることができる国際法上の権利。しかし、日本では昭和56年、「保有しているが行使できない」とする政府答弁書が閣議決定されている。
歴代政権が聖域としてきた問題に切り込んだのが小泉首相だった。首相は平成13年4月の就任後の記者会見で、「米軍が攻撃を受けた場合、日本が何もしないということが本当にできるのか」と述べ、集団的自衛権行使に関する政府解釈の変更に意欲をにじませた。
しかし、その後は公明党の反発もあり、発言がぶれ続けた。16年2月の衆院予算委員会で「(憲法)改正しないのであれば解釈を変更するのもいい」と解釈変更に踏み込んだが、わずか17日後の参院本会議では「便宜的解釈変更ではなく、憲法改正を議論するのが筋だ」と前言を撤回。これを境に首相から意欲を示す発言は消えた。
こうした中、集団的自衛権をめぐる論議に再び火をつけたのが安倍氏だ。公海上で海上自衛隊の艦船の近くにいる米軍艦船が他国から攻撃を受けたのに、海自が退却しなければならないのは問題ではないか−。安倍氏はこう問題提起する。
集団的自衛権行使の問題は、(1)憲法改正で容認を盛り込む(2)内閣が政府解釈を変更して容認する(解釈改憲)(3)集団的自衛権の行使とみられていたケースを「個別的自衛権」として再定義する−の3つの着地点が想定される。しかし、憲法改正へのハードルは高く、「解釈改憲を宣言すれば公明党の連立離脱や自民党内の混乱を招きかねない」(安倍氏周辺)。
安倍氏は8日、「今の解釈のままでいいか考えないといけない。(政府に)検討の場を設けていい」などと述べ、集団的自衛権の範囲を見直す考えを表明した。これは、集団的自衛権の行使にあたるとして自衛隊に禁じてきた複数のケースを、合憲である個別的自衛権の行使へ再分類することで解禁するという「第3の道」を選択する考えを示したといえる。
具体例の検討を促した小泉首相の発言は、安倍氏の考えを支持したものだ。集団的自衛権の行使に反対する公明党内にも、安倍氏が模索する第3の道は「集団的自衛権の行使容認ではない」(幹部)と共鳴する声が漏れる。
安倍氏周辺が「まずは議論のテーブルに乗せることだ」と語る集団的自衛権問題は、安倍氏が掲げる「戦後レジーム(体制)からの脱却」の試金石となる。
【2006/09/10 東京朝刊から】
(09/10 09:43)
http://www.sankei.co.jp/news/060910/sei001.htm
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