★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK26 > 430.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
http://www.nnn.co.jp/rondan/tisin/060907.html から転載。
温故知新 −ビル・トッテン−
「米のため」の自民の戦略
2006/09/07の紙面より
自民党総裁選挙では靖国神社参拝が争点になっているが、今年の夏は太平洋戦争について書かれた記事や本を読みふけった。
言葉を堕落させる
八月六日、広島で平和記念式典が行われた。海外視察に忙しい小泉首相は昨年同様、「被爆者代表から要望を聞く会」には被爆者からの参加依頼にもかかわらず今年もまた欠席し、式典のみ参加、「唯一の被爆国としてその経験を国際社会に語り継いでいく責任がある」という原稿を読み上げた。
小泉首相の言葉とは裏腹に、日本の自衛隊は核兵器である劣化ウラン弾をイラクで使用している米軍を支援している。さらには原子力空母を日本に配備させ、米国の出撃拠点にさせようとしている。それにもかかわらず小泉首相が述べた「平和条項を順守し、非核三原則を堅持し、核兵器の廃絶と恒久平和の実現に向けて、国際社会の先頭に立ち続けることを誓います」という言葉は、ジョージ・オーウェルのいう、言葉を堕落させている政治家の最たる例である。
被爆された方々や家族にとって苦しみは続いている。だからこそ核兵器廃絶を求めているのだ。核兵器の恐ろしさは爆風だけでなく原爆が投下された後でその爆心地に入った人も、残留放射能で被爆することである。米国政府は日本に原爆を投下する以前にその事実を知っていた。マンハッタン計画の責任者として核兵器開発を指揮していた陸軍少将に宛てて一九四三年に科学者がそれを報告していたからである(この事実は情報公開法に基づく要求により開示されている)。
米国は原爆使用の理由を、本土決戦で予想される米国と日本の犠牲者を救うために日本を早期降伏に導くためだったとしてきた。太平洋戦争末期、ヨーロッパでの戦争が終わり、大空襲や経済封鎖ですでに壊滅状態でありながら、日本は孤立無援の戦いを続けていた。その日本に対して米国はいくつかの選択肢があった。
東京裁判は合法か
一九四五年七月、日本が戦争を終わらせるための助けをソ連に求めたことを米国は傍受により知っていた。また天皇制維持が言及されていないとして日本が黙殺した同年七月二十六日のポツダム宣言だが、結局は天皇制は残された。武力ではなく対話という外交的な方法で米国が戦争を早く終わらそうという意思があったのであれば、七月の時点で不可能ではなかった。しかし、究極の手段である核兵器を米国は使用した。
八月十五日、小泉首相は靖国神社を参拝した。私の知る限り、アジア諸国が参拝を批判したのはA級戦犯が合祀された一九七八年以降である。A級戦犯とは敗戦後、連合国によって行われた東京裁判によって「戦争犯罪人」として起訴された政府・軍部首脳の戦争指導者のことだ。
太平洋戦争で日本軍がアジア諸国で行った蛮行はさておき、原爆や空襲など米国が日本に対して行った行為を考えると、東京裁判は真の正義ではなく「勝戦国の正義」であり、処刑は勝者によるリンチにも等しかった。問題は日本政府がこの裁判結果を合法だと認めていることである。国として裁判結果を合法と認めたのなら、戦犯がまつられる場所へは首相を含め政府の人間として働いている間は参拝するべきではないと私は思う。
しかし、もし日本政府が東京裁判を合法と思っていないのであればそれを世界に伝えるべきであり、その後で首相は靖国参拝をすべきである。問題は日本が東京裁判を認めていないのにもかかわらず、それを国際社会に言う度胸がないこと、だからこそ小泉首相のように居直りともいえる言い訳をしながら参拝するという、安っぽい手段をとるのではないだろうか。
米CIAの手先に
靖国参拝で日本がアジアののけ者になることは米国の望むところだ。アジア諸国がEUに匹敵するようなアジア連合を組み、団結して米国に抵抗するようなことがないようにすることが米国の国益だからだ。そのためには小泉首相の政策を踏襲する政権ほど米国に都合のよいことはない。
A級戦犯を処刑した米国は、その後共産主義との闘いに忙しくなり、安倍晋三の祖父である岸信介などの戦争犯罪人を釈放した。今日の自民党は米国の手により政界に戻った彼らが築いた。当時から自民党がCIAの手先として働いていたことは米ニューヨークタイムズ紙にも書かれている。自民党が戦後一貫して米国のための政策をとってきたことは、これからも明らかであり、東京裁判を合法ではないと米国に反論することができない理由もここにあると私はみている。(アシスト代表取締役)
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK26掲示板