★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK26 > 308.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
牧太郎の大きな声では言えないが…
オリンピックの愚
2016年に2回目の東京オリンピック? 無理だと思う。ごく普通に考えても08年が中国で、8年後が同じアジアというのには無理がある。
第一、日本にとって、東京オリンピックは必要なのか。甚だ、疑問である。国土のバランスある成長を考えれば、西日本の雄・福岡市を国内候補都市にする方がまだ意味があった。もちろん国際競争で福岡が簡単に勝てるとも思わないが、国内候補地になっただけで名古屋、大阪にはそれなりの経済波及効果を生んだ「別の実績」もある。
東京ロマンは分かる。が、はたから見れば、東京オリンピックは、そろそろ人気下降線の石原慎太郎都知事3選の道具。大きな声では言えないが「このお方をどなたと心得る。天下のオリンピック誘致の石原都知事であられるぞ! 頭が高い」。黄門さまの印籠(いんろう)のような「五輪の紋所」。確かに半端な対立候補では太刀打ち出来ない。
石原さんは政府に掛け合って五輪誘致担当相に大物を担ぎ出し(一部では日本体育協会会長・森喜朗前首相という説あり)折に触れ、オリンピックムードを演出する。
しかし、その結果、沈静化された東京の地価は再び上がり、ニョキニョキと東京中心部に超高額・超高層のマンションが建ち並ぶ。東京一極集中はさらに加速される。
昔ながらの東京人は複雑な気分だ。僕の実家も200年以上、東京に住んでいるが、僕の友達はほとんど東京を離れた。高度成長、東京オリンピック、一極集中、そしてバブル経済……地価高騰で相続税が払えず、東京を離れた。泣く泣く手放した土地の多くは今、バブル崩壊で外資のものになっている。
その一方で、地方のちょう落は目を覆うばかりだ。地方債の残高は推定200兆円。住民1人あたり120万円の借金を抱える町もある。「地方分権21世紀ビジョン懇談会」は清算型の財政再建団体制度に代わって、再生型の自治体破綻(はたん)法制を検討している。地方債の発行を自由化する代わりに破綻した場合は増税などで、住民に責任を問うことが出来る。破綻責任を国から住民に移そうとする陰謀? 人々は「貧乏な故郷」を捨てざるを得ない。
オリンピックのころ、少子高齢化の日本では、所得・資産・地域の3大格差で劇的な人口移動が始まるだろう。日本人は浮流する。
イベントに酔う時代では断じてない。(専門編集委員)
毎日新聞 2006年9月5日 東京夕刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/maki200604/
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK26掲示板