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横須賀市 しゅんせつ調査に同意
米海軍横須賀基地への原子力空母配備問題で、神奈川県横須賀市は三十一日、横浜防衛施設局が求める停泊岸壁周辺の海底しゅんせつを行うための事前調査の実施に同意した。
防衛施設庁は、調査に続いて来年度予算の概算要求で「思いやり予算」として、しゅんせつ工事費約六十四億円を盛り込んだ。しゅんせつへの事実上のゴーサインが出たことで、二〇〇八年夏に原子力空母「ジョージ・ワシントン」を配備する計画がスタートした。
米海軍は安全上の理由から、船底から原子炉冷却用の海水を取り込む原子力空母が停泊する岸壁や航路帯の水深を一五メートル以上と定めている。現在は一三・七メートルしかなく、母港化には二メートルほど掘り下げなくてはならない。
しゅんせつには、工事計画を作成するための事前のボーリング調査が不可欠だが、港湾管理権を持つ同市と港湾法に基づく「水域占用協議」をして同意を得る必要があった。
東京都心から南に約四十キロの米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)。原子力空母「ジョージ・ワシントン」を迎えるための港湾しゅんせつ工事に三十一日、事実上のゴーサインが出て、二年後の母港化に向けて動きだした。米軍の原子力艦が本国以外の基地に常駐するのは、世界に例がないが、安全対策は四十年前から続く一時寄港からさしたる前進はない。原発の規制法令も及ばず、“安全保証”は米軍頼み。市民の不安は消えない。 (横須賀支局・斎藤裕仁)
■原発並み出力
「原子力災害の安全対策の一つは、原子炉を人口密集地から遠ざけること。政府は原子力発電所にはそうした厳しい規制を課しているのに、空母の原子炉の安全性を全く問わないのは理不尽だ」
商業用原子力発電機器の設計を担当する技術者だった岡本旦夫さん(63)はこう憤る。三年前に退職して住む横須賀市の自宅は、原子力空母や潜水艦が停泊する基地の専用岸壁からわずか五キロほどの距離だ。
二基で計百二十万キロワット(熱出力)の原子炉を積む原子力空母。本来なら原子力災害対策特別措置法などで安全規制をかけるべき対象なのだが、「外国の軍艦が国内の基地に入っても国際法上の慣習から日本の法令は及ばない」(外務省日米地位協定室)。
原子力空母の安全性について、麻生太郎外相は「ほぼ百パーセントであると言って差し支えない」と強調するが、その根拠は米政府が安全性を説明した「ファクトシート」だけ。「戦闘の衝撃にも耐えられる頑丈な構造と多重の防護壁で守られ、事故は想定し難い」と力説するが、検証に不可欠な原子炉の技術情報は軍事機密を盾に閉ざしたまま。いわば米側の一方的な“安全宣言”でしかない。
■高まるリスク
原潜などの一時寄港が本格化した一九六〇年代。国民の核への懸念に対し、米政府は本国と同じ対策を約束する声明や覚書(エードメモワール)で、安全だと説明してきた。内容の骨格部分は、ファクトシートと驚くほど似通っている。
しかし、一時寄港が一週間程度なのに比べ、保守点検や修理で半年は基地にとどまるのが母港化だ。原子力災害のリスクは格段に高まる。それでも、日米地位協定室は「基地滞在が長いか、短いかで政府の対応に違いはない。原子力艦も港に入れば原子炉を止めますから」と覚書などの見直しはないことを強調する。
■測定強化のみ
国際法が専門の本間浩・法政大学教授は「原子力艦の常駐化という事態には、一時寄港で認めさせたルールでは対応できない。地域住民への新たな安全対策が必要だ。住民の不安をどれだけ取り除けるかは、陸上の原発と同じ対応策を軍艦にどこまで適用できるかにかかってくる」と指摘する。
国際法に加え、基地内への立ち入りを認めない日米地位協定が壁になっている。打開策の先例として本間教授は、ドイツ駐留NATO軍地位補足協定(ボン協定)を挙げる。冷戦崩壊を受けた九三年の改定で、ドイツが米軍基地内への立ち入りを認めさせたケースだ。
本間教授は「安全保障上、米軍の駐留が今後も必要ならば、政府は米国との協議で住民の安全をどう確保するのかを明示し、説明しなければならない。そのためには、日本の公的機関によるチェックや検査の機会を米側に求めていくことが大切だが、外務省や防衛庁の姿勢にはその意欲がみえてこない」と批判する。
市民の安全に直接の責任を持つ横須賀市は、万一の事態に備え、在日米海軍と防災協定づくりの協議に入る。原子力災害を想定した条項の明文化を目指すが、過去の協議では原子炉事故は起こり得ないとする米側の反発で頓挫した経緯がある。米国内にもない“原子力災害協定”が成立すれば、米国だけでなく、原子力艦が寄港する各国に波及する恐れがあり、今回も難航は必至だ。
日本側ができる自主的な対策は、測定機器による放射能漏れのモニタリングだけ。安全強化策が測定機器の増設程度にとどまるなら、原子力災害への不安は、地元だけでなく、首都圏全体に広がりかねない。
(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20060901/mng_____kakushin000.shtml
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