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安倍人脈:次期政権像を探る/5止 「長州」の系譜
◇祖父に学んだ先手必勝
「ここ長州は7人の総理を生み、日本のかじ取りを担ってきた。私も伝統ある長州出身の政治家として、命がけで頑張りたい」。安倍晋三官房長官は先月12日、山口県長門市で開かれた支援集会で総裁選出馬への決意を表明した。
安倍氏の父、晋太郎氏は87年の「ポスト中曽根」選びで竹下登元首相に事実上首相の座を譲り、「次」を待つ戦略を取ったが、病魔におそわれ、91年に67歳で死去した。安倍氏は今回、正式な出馬表明こそ告示直前になったが、いち早く出馬意思を鮮明にすることで、党内の支持を広げた。その先手必勝戦略に、亡父の教訓を指摘する声は多い。82年に神戸製鋼所を退社して以来、安倍氏は8年半にわたり秘書官や秘書として父を取り巻く政治の厳しさを目の当たりにしてきた。
安倍氏の祖父、岸信介元首相の「城代家老」と言われた吹田アキラ・元自治相(79)は今年に入って安倍氏に「親子で首相の座を譲っちゃいけない」と述べ、総裁選への決起を強く促した。
明治維新を主導した流れをくむ「長州人脈」は、伊藤博文、山県有朋、桂太郎、祖父の岸氏、大叔父の佐藤栄作氏ら計7人の首相を生んだ。安倍氏の地元・下関の後援会幹部、冨永洋一さん(46)は「安倍さんは(93年の)初当選前から『自立した国家』が持論。自主憲法を目指す考えは、完全に岸さん譲り」と語り、憲法改正や日米同盟重視などは、祖父、岸元首相の影響を挙げる。
岸氏は戦前、商工省(当時)局長から満州国に転出し、統制経済の立案にあたった。戦時下の東条英機内閣で商工相を務め、敗戦後A級戦犯容疑者として収監された。52年4月に公職追放を解除され翌年衆院議員に当選、57年2月に首相に就任した。
晩年「僕は(公職追放解除後)わずか4、5年で総理になった。しかし、のほほんとして『果報は寝て待て』という姿勢ではなかった。棚からぼた餅が落っこちたわけじゃない」と回顧している。官房副長官就任からわずか6年で首相に就こうとする安倍氏の手法も祖父譲りだ。
岸、安倍両氏に関してはこんなエピソードもある。01年9月11日の米同時多発テロ後、危機管理問題の専門家、佐々淳行元内閣安全保障室長(75)は官房副長官だった安倍氏に憲法前文を根拠とする自衛隊の貢献策を進言した。これを、佐々氏の警察官僚時代の上司にあたる後藤田正晴元副総理(昨年9月、91歳で死去)が強くけん制したというのだ。
「おまえ、(安倍氏に)変なことを吹き込むんじゃないよ。(岸氏の影響を)心配しているんだ。岸信介の恐ろしさが分かっていない」と語ったという。
来年2月には岸政権発足50年を迎える。首相になれば戦後最年少となる51歳の安倍氏は保守政治をどう、変えていくのだろうか。=おわり
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この企画は中川佳昭、中西拓司、犬飼直幸、米村耕一、坂口裕彦が担当しました。
毎日新聞 2006年9月2日 東京朝刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/seitou/news/20060902ddm005010133000c.html
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