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2006.9.27(その1)
森田実の言わねばならぬ[382]
日本の危機はつづく――嘘をつきつづけた小泉(前)首相の退陣と極右安倍新首相の登場。露骨な純化路線人事
「歴史は犯罪と災難の記憶に過ぎない」(ヴォルテール)
2006年9月26日、安倍新内閣が発足した。党・内閣人事は露骨な論功行賞とマスコミからいわれるほどのオソマツ人事である。自公連立政権は自滅に向かって進み始めた。
退陣した小泉首相は、第二次大戦後の、最低・最悪の首相だった。
第一に、小泉氏の政治は日本国民に対して「冷酷」だった。本来、政治は国民に対し温かくなければならない。小泉氏のようなヒューマニズムに欠ける、冷酷な人間性の持ち主は、政治家になるべきではなかった。政治は人間愛の上に成り立つべきものだ。小泉氏ほどの冷たい政治は戦後他に例がない。小泉氏の人間性には、人をひんやりさせる冷たさがあった。
第二に、小泉政治は「嘘の政治」だった。嘘が多すぎた。嘘ばかりだと言っても過言ではない。小泉氏は9月25日の首相最後の記者会見においても嘘をついた。
産経新聞(9月26日朝刊3面)によると、小泉氏は「景気回復は小泉が退陣しないと無理だといわれた。だが、改革なくして成長なしだという結論が出た」と語った。小泉改革で景気は良くなった、と言ったのだ。だが、これは事実に反する。「景気が良くなった」というのは政府とマスコミの嘘である。小泉氏が言ったことも嘘である。地方も含む国民経済全体を見れば、景気は少しも良くなっていない。これが現実だ。一部の大企業がもうけているだけのことである。中小零細企業も地方も地域も、景気は悪い。国民の生活水準は下落している。これが現実なのだ。
国際関係についても嘘を言っている。靖国問題と中韓両国の首脳と会談ができないことについて「外国首脳もやはり中韓がおかしいと思っている」と小泉氏は語ったが、そんな外国首脳はどこにいるのか。いるとしてもブッシュ大統領一人ではないか。小泉(前)首相の靖国参拝については、アメリカ議会の中からも非難の声が上がり始めている。小泉首相は自分が世界中から馬鹿にされていることがわからないのか。
「郵政民営化」についても嘘をついた。小泉氏は「非情といわれるが国民全体にとって温情だった。時間がくれば理解してくれると思っている」と語ったが、「国民全体にとって温情だった」というのは真っ赤な嘘である。地方では、冷酷無比の地方切り捨てが行われている。郵便局が縮小されているのだ。
小泉氏は首相時代を通じて、毎日毎日以上の嘘よりも大きな嘘をつきつづけてきた。
第一が「中央から地方へ」の嘘である。実態は、小泉政治5年5カ月の間に、地方は小泉政権の手によって中央から切り捨てられた。地方の荒廃は深刻だ。中山間地域の農村は、次々と廃村に追い込まれている。小泉改革は地方を破壊し、破滅させた。いまや地方は惨憺たる状況にある。これを行ったのが小泉・竹中政治であることは、いまや、大多数の国民が知っている。安倍新内閣は、この小泉前内閣の政策を継承する。
第二は「官から民へ」の嘘である。小泉政治の5年5カ月を経て、「官」はどうなったかを正確に見れば、この大嘘が明らかになる。中央官庁のエリートと接触している、ほとんどすべての民間人は「中央官庁エリートは5年5カ月前より、はるかに強くなり、はるかに傲慢になった」ことを認めている。小泉改革は、強大な中央官庁をさらに強大化させたのだ。
小泉改革は「官庁を弱め、民間を強める」ことを目的としているように国民には見せながら、実際にやったことは「官」を強化し、民間の力を弱めた。民間のなかでうまい汁を吸ったのはごくわずかの中央官庁エリートと癒着している大企業だけだった。中小零細企業は切り捨てられた。
中央官庁の権力は飛躍的に強大化した。気がついてみれば、中央官庁エリートの権限は拡大し、民間人の間に「中央官庁エリートににらまれたら大変」という空気が強まっている。
強力な中央官庁は一体化している。その中で、検察・警察の力が強まり、にらまれたら最後、容赦なく逮捕され起訴されてしまう。これにマスコミが加わり、強大な権力が完成している。日本においては三権分立はない。三権一体だ。これに「第四権力」といわれてきたマスコミが加わっている。マスコミはもはや「第一権力」といわれるほど強大な権力となった。
小泉(前)自公連立政権は、官僚が作成した法律案をどんどん成立させてきた。新しい法律の制定にあたって、国会審議は十分に行われなかった。このために新しい法律の存在を、国民のほとんどが知らないまま法律がつくられた。新しい法律の拘束を受ける関係者、関係団体、関係業界すら知らないまま、新しい法律がどんどんつくられてきた。法律の中身を知っているのは少数の中央官庁エリートだけだった。
しかも、中央官庁エリートは、検察・警察当局と密接に連携して、法律違反者を容赦なく逮捕している。とくに独禁法関係法律違反の場合、法改正がなされたことを知らず、新しい法律についての知識がなく、法律違反の認識すらない人々が逮捕されているのだ。さらに、いったん司法の追及を受けた者は、司法と癒着し一体化したマスコミから徹底的に非難され叩かれる。マスコミは、家族も生きていけないほど、徹底的に叩きのめす。そして社会的に葬ってしまう。中央官庁エリートは、こんなことまでできるほど、強大な権力も手にしたのだ。
小泉首相の「官から民へ」は大嘘だったのである。
安倍新内閣は、この小泉路線を継承する。より純化させる方向へ進もうとしている。安倍新内閣の人事は「小泉在庫一部処理内閣」といいうるほどの小泉路線継承内閣である。
安倍首相は、「小泉政治の見直し」を行わなければならなかったのに、このチャンスを逸した。安倍自公連立政権は、天をもおそれぬ開き直り内閣となった。この先にあるのは自滅であろう。
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C02933.HTML
森田実の時代を斬る:
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/TEST03.HTML
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