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2006.8.23(その2)
森田実の言わねばならぬ[292]
自民党は国会議員の大多数がポピュリストの堕落政党である ――『フォーサイト』9月号[深層レポート日本の政治162《「八月十五日」以前に雪崩を打ったポピュリストたち》]を読んで
「疾風の草木(そうもく)を靡(なび)かす」(『曽我物語』)
[はげしく吹く風が草木をなびかせるように、人々が勢力者、権力者に一様に服従するさまをいう。『曽我物語』の「東八ヵ国の武士共の随ひつくこと、疾風の草木を靡かすよりも甚だし」(『故事・俗信 ことわざ大辞典』小学館、昭和57(1982)刊より引用)
この言葉と正反対の言葉がある。 「疾風に勁草(けいそう)を知る」(『後漢書―王覇伝』)[はげしい風の吹くことによってはじめて風にも折れぬ強い草を見分けることができる。困難・苦難のなかでこそ、弱い人間と強固な意志・節操をもった人間を見分けることができる。]
現在の日本政界においては「勁草」派の代表は小沢民主党代表である。
いまの政界を見渡すと、自民党・公明党では「靡く」派ばかりが目立つ。自民党内の「勁草」派はごく少数である。いまのところ目立つのは、加藤紘一元幹事長、谷垣禎一財務相、山崎拓元幹事長、野田毅元自治相の4人だけである。自民党の国会議員は約400名だ。「勁草」派はわずか1%しかいない。99%が「靡く」派すなわちポピュリストである。
政治にとってこれほど危険なことはない。ほとんどすべての政治家がポヒュリストだということほど、国民にとって危ないことはない。自民党国会議員の99%が、森喜朗、小泉純一郎、安倍晋三、中川秀直ら権力者の顔色を窺いながら時流に乗ろうという「風にそよぐ葦」のような政治家だとすると、もはや自民党は政治家の集団とはいえない。政治家とは少なくとも自分自身の意志を持つリーダーのことだ。極言すれば、自民党には真の政治家は1%程度しかないということになる。
国民はまだこのことを知らず、マスコミの自民党へのゴマスリにだまされているが、真実を知れば、心ある国民は自民党を見放すであろう。ちなみに、民放テレビの報道記者と新聞記者のことを「ゴマスラー」というそうだ。
『フォーサイト』9月号は伝えている。中川秀直政調会長は、記者団の「これ(古賀誠元幹事長、二階俊博経産相の安倍支持表明)で、他のグループも雪崩を打って安倍支持に回るのではないか」との質問に対し、「『雪崩がどうしたって? 真夏に雪崩もないもんだろう』と上機嫌で、…硬い表情を作ろうとしても頬が緩んで作れない、そんな風情だった」。なんとも情けない話である。
『フォーサイト』は、中川氏の説明として、次のように伝えている――「安倍氏サイドと中国側で水面下の調整が始まっている。靖国神社参拝問題について、新内閣発足までに双方のメンツが立つ妥協案をまとめ、長く途絶えていた両国首脳の相互訪問を早期に再開できるようにしたい。暗黙の了解の下、在任中に一度だけ靖国を参拝する案が検討されているようだ」。
これが真実だとすると、まさに「二兎を追う者は一兎をも得ず」に等しい愚かな態度である。本当だとすると、安倍氏周辺はひどい姑息なことを考えていることになる。
日本は人口1億2700万人の大国である。大国の指導者が考えることにしては、姑息すぎる。小さすぎる。「靖国には行きたい。しかし中国、韓国と首脳会談もしたい」という態度は、いかにも子供っぽい。安倍内閣は海外からコドモ内閣と見られるおそれ大である(小泉内閣は「異常・狂信的内閣」と見られている)。
日本国民は、もうそろそろ目を覚まし、気づかなければならない。自民党には真の政治家がいないことを。もはや日本を担うだけ力のない究極のオールポピュリスト政党であることを。今後、日本国民は、選挙において自民党候補には投票してはならないことを自覚すべきである。
もう一つ大事なことがある。
山形県鶴岡市の自宅と事務所を放火された加藤紘一元幹事長に対する小泉首相、安倍内閣官房長官、武部幹事長らの“冷ややかさ”は何を意味するのだろうか。状況証拠でしかないとはいえ、これが右翼による政治テロであることは、ほとんど明らかである。政党なら、それくらいの判断能力はあるはずだ。
加藤紘一氏への政治テロは、われわれに戦前の政治テロを思い起こさせる。五・一五事件(1932年)、二・二六事件(1936年)などの政治テロ事件が、日本を戦争という地獄に導いた。 われわれは政治テロを断じて許してはならない。政治テロに少しでも“甘い態度”をとれば、その瞬間から民主主義は失われる。言論の自由は封殺され、民主主義は破壊され、平和は脅かされる。戦争が起こる。
政府・自民党が加藤紘一氏への政治テロに甘い態度をとることは、民主政治の自殺というに等しい行為である。
この事件が、小泉首相の8月15日靖国神社参拝という異常で狂信的な愚行と無関係でないことは明らかである。小泉・安倍主導の政治には、“平和を軽視し戦争をおそれない”異常さがある。“小泉・安倍政治”に草木が靡くがごとく殺到する自民党国会議員の浅ましきポピュリズムをとめなければ、日本の平和主義・民主主義は危ない。日本は平和主義を放棄してはならない。
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C02843.HTML
森田実の時代を斬る:
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/TEST03.HTML
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