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とうとう小泉純一郎が8月15日に靖国参拝した。その理由は、いつ参拝しても批判されるなら、最も批判される8月15日の終戦記念日が「適切」だと考えたという。ああなんて、おバカな。
だが、笑い話ではすまない。首相の靖国参拝に反対だった加藤紘一代議士の事務所が放火にあって焼失した。多くの財界人は、首相の靖国参拝は「個人の問題」と腰砕けの発言をするようになった。首相の8・15参拝が、日本国内に影響を与えたのは確かだ。戦後民主主義は消えかけている。
最近、筆者は「戦後の終わり」という本をあえて出した。いまや大恐慌から戦争直後にかけて形成されてきた枠組みが、音を立てて崩れているからである。
国内的には、銀行中心の企業集団が崩れ、「終身雇用」や平等神話も崩壊した。出生率低下が続き、年金や医療・介護などを中心にして戦後福祉国家は根底から揺らいでいる。
国際的に見れば、米国の単独行動主義によるイラク戦争を契機に、国連安保理が機能不全に陥っている。上海協力機構の台頭で、国際通貨や資源エネルギ―をめぐって世界の亀裂はますます深まっている。
問題は、こうした状況の下で政治が方向性を完全に見失っていることにある。
最大のねじれ≠ヘ、「保守」と「革新」が入れ替わってしまったことだろう。
たとえば、革新派はしばしば「規制緩和反対」「憲法9条を守れ」といったスロ―ガンを口にするが、よく考えると、それは現状を変えるなという「保守」のスロ―ガンである。
これに対して、小泉政権は「新自由主義」による「規制緩和」や「民営化」によって、いまの秩序を壊そうとしている。たとえそれが間違っていても、人々の目には「革新者」として映る。
人々は道に迷ってしまった。戦後60年が過ぎ去った。一から出直すために、新しい時代認識をつくる必要がある。「戦後の終わり」は、そのための本である。
日刊ゲンダイ 2006年8月23日 金子勝の天下の逆襲
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