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根 室 通 信;北方領土問題ノート「北方領土返還後の根室特別地域」
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投稿者 Kotetu 日時 2006 年 8 月 21 日 18:54:11: yWKbgBUfNLcrc
 

北方領土返還後の根室特別地域

1.現状認識と前提条件

 (1)1991年以降の日露交渉

・1991年4月、ゴルバチョフソ連大統領が来日して、その結果ゴルバチョフと海部首相による「日ソ共同声明」が発表された。ソ連はこれによりこれまで「日ソ間に領土問題は存在しない」とした従来の路線を180度転換し、北方四島について領土問題が存在することを初めて認めた。

・日ソ間の長期に亘る交渉の結果、ソ連側は一定の譲歩を余儀なくされ、領土問題の存在を認めざるを得なくなった。

・この成果は改めて1993年にエリツィンと細川首相との「東京宣言」として正式にロシア連邦共和国に継承され、クラスノヤルスク合意に至る。

・クラスノヤルスク合意は達成されなかったが、日露交渉は今後も継続されるだろう。

・今後日露両国がどのような着地点を見出すのか予測できないが、日露両国はいずれ何らかの形で着地点を見出すことが求められている。

 (2)最終目標はあくまでも四島返還

・「四島一括返還」の「一括」という言葉に「即時」というニュアンスを帯びる場合もあるが、91年に政府がロシア側に示した「北方四島に居住するロシア国民の人権、利益及び希望は返還後も十分に尊重していくこと、また、北方四島への日本の主権が確認されれば、実際の返還の時期、態様および条件については柔軟に対応する」という方針(外務省広報課発行「われらの北方領土」)2000年版20頁)や川奈会談でロシア側に施政権の返還について柔軟に対応する方針を示したとされることから、四島一括即時返還を絶対的な条件とする考え方はもはや成り立たない。しかし、2島のみで良いという考え方に対しては、「一括」という言葉は意味を失わない。要するに、日本側の最終目標が北方四島における主権の回復にあるということである。

・したがって、現時点では日露共同統治やロシアへの租借あるいは歯舞・色丹2島の返還のみでの決着方法を排除し、段階的であれ(日本の主権が確認された後、日本側に引き渡されるまで間、暫定的にロシア側の施政権を容認することを含む。)、いずれ何らかの形で日本の施政権が北方四島に及ぶという前提で考えてみたい。

 (3)ロシア人による自治は望ましいか

・北方領土問題解決後のあり方を考える時、そこに住む人間が幸せに生活できるにはどうすればよいか、という視点をもつことが必要である。

・日本人元島民の権利と在住ロシア人の人権は尊重されなければならない。

・日本人元島民やその後継者はもちろんのこと、北方四島のロシア住民の人権はもちろん、その意向についてもできるだけ尊重されることが望ましい。

・北方四島の住民は北方領土の日本への返還問題に関してどのように考えているのだろうか。最近までいくつかのアンケート調査が実施されているが、これらのアンケート調査の結果を見る限り四島住民の中には少しずつ条件次第では北方四島の日本への返還について受け入れようとしているのではないか。

・北方四島在住ロシア人の希望を最大限応えるために、当分の間彼等による「自治」を認めるという方法が無くはないが、ロシア人の居住を一定の地区に限れば、彼らの人権に関わる問題にもなり、前面的に自治を認めれば、元島民など日本人がロシア人に従属して生活することにもなる。

・日本政府が世論の支持を得て経済的に自立できない北方四島に大胆な投資や整備を行うためにも、ロシア人による自治方式を排し、できるだけ速く日本の施政権下に置かれ、日本人・ロシア人双方に配慮した措置が取られることが望ましい。

2.日本に返還された場合、主にどんな問題や課題があるか。

・北方領土が日本側に引き渡される前に、主に次のような問題や課題に対して答えが求められると思う。

(1)行政システムをどうするのか。国が直接治めるのか。道が治めるのか。

  それとも、根室市が治めるのか。

(2)日本人元居住者(後継者含む)の帰還をどう支援するのか、またはそれに代わる措置はあるのか。

(3)ロシア連邦国籍の現居住者を日本国の中でどう位置付けるのか。

  (法的地位の問題)また、彼等の生活の改善・向上をどう図るのか。

(4)北方四島の遅れた生活や産業など社会基盤の整備をどう図るのか。

  もちろん金は全額国・道で負担することが前提である。

(5)どんな産業をどう育成するのか。基幹産業の育成の問題。

(5)恵まれた自然の保護をどう行うのか。また、その利用とどう調整するの

  か。

(6)北方領土の整備・開発・振興と連動して隣接地域の振興をどう図っていくのか。

以下これらの問題や課題に対処する方針について現時点での私なりの考えを述べてみたい。

3.特別地域の指定

・北方領土の各地域がソ連邦に占拠されたため元居住者の生活基盤は根底から破壊され、泊村など6村及び歯舞群島(旧歯舞村の一部、現在根室市の一部)においては行政機能が完全に停止した。また、根室市など隣接地域も大きな影響を受け、発展を阻害されている。

・これら地域の復興(原状回復)を図るためには、現在の水準で、社会基盤の整備など必要な措置を早急に実施しなければならない。しかし、ロシア人の存在や長期間ソ連およびロシア連邦の支配下に置かれて来たため整備が極端に遅れている地域であるため、日本側の管理下に置かれるにしても直ちに本土と同様の管理方法は適用できないことは明らかである。

・国は日本の管理下に置かれる北方四島を、上記のような特別な措置を講ずる必要がある地域として指定して、国内法を適用する際には様々な分野に渡って特例措置が講ぜられることが必要な地域として、以下名称を仮に「根室特別地域」としたい。

4.特別地域総合事務所の設置

・根室特別地域の国レベルにおける管理と整備のために国の関係出先機関で構成する北海道開発庁に似た根室特別地域総合事務所を、北方四島との経済的、社会的、地理的関係やこれまでの北方領土問題との係りなどから、政策的に根室市内に置くものとする。

5.根室地域6村全部事務組合および職務執行者

  ・ 戦前、北方四島には7つの行政区画に区分され、それぞれ行政組織が機能していた。すなわち、歯舞群島には根室半島部とともに歯舞村が、色丹島には全島をもって色丹村が、国後島には泊村と留夜村が、択捉島には留別村、紗那村、蘂取村が設置されていた。これらの村は自治体としては存在していたが、ソ連邦の支配下に置かれた時以来、機能が停止した状態であり、北方四島復帰後も現実的には直ちに再興できない。

・昭和58年以来根室地域6村の長の権限に属する事務は、北特法第11条に基づき当分の間、北海道知事が指名する根室管内1市4町の長が行うことになっており、現在北方四島の6村の戸籍に関する事務は根室市長が管掌している。(歯舞群島については戦後も歯舞村に続き、根室市において管掌している。)

・しかし、北方領土が日本の施政権下に置かれた後は、効率的な管理と均整のとれた施策を展開する必要を認め、

(1)当分の間,特別地域6村のうち施政権下に置かれた地域は全部事務組合方式により1地域として管理するものとする。

(2)当分の間,上記地域の長の職務は北海道知事が任命する北海道根室支庁長又は根室市長が執行するものとする。

  なお、歯舞群島は、かつては根室半島歯舞地区に村役場を置く歯舞村の一部であったが、昭和34年根室市に編入され、現在根室市の一部であり、歯舞群島の施政権が復活した場合には、根室市の行政権が及ぶは当然である。

6. 元居住者等に対する補償と復帰への援護

・当時17291人の元島民は、現在9009人に減少し、平均年齢も69才と高齢化している。(平成12年3月31日現在)したがって、彼等が故郷への帰還が許された場合でも、現実的には生活環境の整っていない島で生活を営むことは困難な状況になっている。当面は彼等の故郷訪問をできるだけ援助することが主要な支援となるだろう。

・北方領土返還後は日本人であれば、誰でも自由に北方四島に渡航し、生活を営むことができることは言うまでもないが、現在約26000人いる元島民の後継者中で、北方四島での生活を希望する者に対しては資金の貸付等の支援を行う必要がある。

・元島民等は土地、家屋等の残置財産の不行使に対する補償と旧漁業権に対する補償を求めている。国は昭和36年に北方協会に交付した10億円(現在、北方領土問題対策協会に引き継がれている。)を元に、元島民や旧漁業権者等に対しては主に生活や営業のための資金を融資することを通じて援護措置が取ってきたが、必ずしも元島民等の満足は得られてはいない。

・これら元島民等の要求が根本的に満たされるためには、北方領土復帰後において次のような措置が取られる必要がある。

(1)国は元居住者等の土地の所有権等については,ロシア国籍住民及び関係機関に占有され,財産権の行使が困難な箇所および整備計画の対象となった箇所または元居住者等において買い上げを希望する箇所を買収し,国有財産とすべきである。

(2)国は元居住者等の漁業権等については補償を行い,消滅を確定するものとする。

(3)国は元居住者等の財産権を買い上げ及び補償を行うため,国債を発行できるものとする。

(4)国はロシア側の占有する箇所が存することにより元居住者等が財産権を行使できない間は,引き続き公的資金の融資等により援護しなければならない。

(5)国は元居住者等(後継者含む)が復帰する際には資金の貸付等必要な支援措置を取らなければならない。

7.ロシア人住民の法的地位の保護と生活の向上

 北方四島が日本の施政権下に置かれた時には、ロシア人が日本国籍を取得しない限り、在日外国人として位置付けられ、その法的地位

は在日韓国・朝鮮人と類似したものとなると思われる。

(1)ロシア連邦国籍住民は,その国籍を維持したまま,特別な永住権が付与される。

(2)ロシア連邦国籍住民は,公民権等については、特別な永住権を持つ外国人に与えられているのと同様の権利・義務が認められる。

  ※在日外国人に対する参政権の付与の問題はとても大きな問題である。

(3)ロシア連邦国籍住民が所有・管理する建物等のため法定賃借権が認められるものとする。

(4)ロシア連邦国籍住民には一定期間団結権が認められる。

(5)国はロシア連邦国籍住民の生活の向上を図るため最大限配慮するものとする。

(6)ロシア連邦国籍住民の他の日本国内への移動は認められ,国はその通過地点として根室港などを指定する。

8.自然保護区域と整備区域の指定

・北方四島は豊かな自然を保有する類い稀な地域であり、その自然環境がロシア側の努力によって保護されていることは評価して良いと思う。その成果を北方四島が日本の施政権下に置かれた後も継承し、一層の努力を払う必要がある。したがって、

(1)国は根室特別地域の土地と水域の必要な部分を自然保護区域として指定し ,的確な調査の下適切な保護策を講ずるものとする。

(2)国は根室特別地域のうち,整備すべき区域の指定を行い,整備計画の対象 とするものとする。

9.新市街地の建設

・北方四島のうち主な市街地としては、色丹島に斜古丹、穴澗、国後島に古釜布、択捉島に紗那などがあるが、いずれも整備が著しく立ち遅れており、既存の施設は老朽化が激しく、住宅環境も劣悪な状態である。

・これら市街地は、部分的な手直しでは整備に限界があり、抜本的に再整備されなければならないと思う。

・返還後、北方四島において市街地として整備されるべき地区は十分な調査と検討のうえ選定されるべきである。

・市街地の整備には多額の資金を要すると思われるので、集中的に国家予算が投入される必要がある。

・市街地の整備においては、ロシア人の住居・財産に関する権利及び希望と日本人元島民などの権利・希望が同時一体的に調整されるべきである。

・市街地の整備の手法としては各種の都市計画事業の方法が参考となると思われる。

・ロシア住民と元島民関係者のために公営住宅の整備は特に重要である。

・整備される市街地は、これまでの技術や発想の粋を結集した理想的なものとすべきである。

10.根室特別地域の水産資源の管理と分配

 ・ 北方四島周辺水域の水産資源は、北方四島住民の主要な生活の糧であり、資源を維持するためには乱獲を戒め、資源の適正な管理が求められる。

(1)北方四島の水産資源の管理は道が行うものとし、詳細な資源調査の下、適切な漁業権の設定を行うものとする。

(2)歯舞群島周辺水域における水産資源に関する漁業権は根室市内の漁業者が行使する。

(3)歯舞群島を除く水域の水産資源の漁業権は当分の間,道,根室地域1市4町及び根室管内8漁協の出資により設立する管理法人が保有するものとする。

(4)管理法人はロシア人漁業者および根室地域の漁業者に漁業権の行使を許可し,各漁業者は水揚げ額に応じて一定の金額を納入するものとする。

11.根室特別地域の整備計画の策定と実行

・長期間に亘り、ソ連邦およびロシア共和国の管理下に置かれていた北方四島が日本の施政権下に置かれ、直接の管理者たる自治体が再機能したとしても、直ちに社会資本の整備を行うだけの能力を持たないことは言うまでもない。本土並みの基盤ができるまで当分の間国と道の責任において生活及び産業に関する社会資本の整備を行う必要がある。したがって、

(1)根室特別地域の整備計画の策定は総理大臣において行うものとする。

(2)根室特別地域の整備は国及び道において実施する。

(3)根室特別地域の整備に必要な財源は国及び道において措置する。

12. 根室特別地域の整備計画の原案作成

(1)根室特別地域6村の整備計画の原案は歯舞群島を除き、6村の首長が行うべきであるが、6村が自治体として自立できるまで北海道知事が任命する村長職務執行者が作成するものとする。

(2)歯舞群島の整備計画の原案は根室市長が作成するものとする。

(3)根室特別地域6村の整備計画の原案作成に当たっては千島歯舞諸島居住者連盟及びロシア連邦国籍住民並びに根室地域1市4町の長の意見を聴かなければならない。

13.根室特別地域隣接地域の振興を図るための施策

・長期間ソ連邦およびロシア連邦の統治下にあったことによりそれに隣接する地域も多大な損失を受けた。1市4町のうちとりわけ地域経済圏がその規模を大きく縮減されたことにより,根室市が受けた影響は大きかった。このため、これまで「北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律」(北特法)に基づく北方領土隣接地域振興等基金の設置など一定の支援措置が取られているが隣接地域が満足できるものとなっていない。

・したがって、北特法を改正して当分の間、北方領土復帰後においても,根室市など北方領土隣接地域は,根室特別地域を含む根室市を中心とした経済圏の復興と振興を目的として重点的に整備されなければならない。

14.追記

 現在、北海道は道内14支庁の統廃合を推進しようとしているが、北方四島は根室支庁管内の一部であり、その区域は海域を含めると実質的には北海道14支庁の中でも最も広大であることを考えれば、北方四島の返還を見据えた場合、早計であり、現実的ではないと判断する。

 

      平成13年4月1日       西村 快     


http://www.d3.dion.ne.jp/~kaibo/henkango.htm#_top

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