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5年間の言動に加える最後の愚行・蛮行にアキレる巷の声
一体、小泉政権とは国と国民生活のためにプラスだったのかマイナスだったのか、やるべきことはやらず余計なことばかりやってきたのではなかったか
外交は全失敗、内政は借金と格差の膨張、すべて後は野となれ山となれのメチャクチャ、後継の安部政治になったらもっと悪くなりそう
小泉は今朝7時45分、靖国神社の本殿を参拝した。モ―ニング姿で一礼、「内閣総理大臣・小泉純一郎」と記帳した。85年の中曽根参拝以来、21年ぶりの8月15日参拝だ。
小泉は参拝前から「(15日参拝の)公約は生きている」と強調、前夜からテレビカメラを待機させて、実況中継の中、狂気の参拝を断行した。
「これで公約を果たした」「歴史に名を残した」「中韓の反発に屈しなかった」と本人は得意満面だったが、メチャクチャな話だ。
もとはといえば、総裁選の党員票欲しさの公約だったのが真相だ。それが、中国、韓国が猛反発したことで、ぶち切れ、ムキになったのである。財界筋も参拝に反発したことから、余計にかたくなになり、15日参拝に踏み切ったのだ。
まるでガキじゃないか。評論家の佐高信氏も呆れ果てて、こう言っている。
「小泉に信念、哲学があるわけではない。靖国の歴史とか、何も勉強していないのですからね。ただ、みんなが反対するから行ったのでしょう。これは政治的パフォ―マンスですよ。反対されても参拝することで、『自分はぶれない』とアピ―ルしたかった。どうせ任期はわずかだし、格好をつけたかった。もうジャリタレの感覚です」
鼻くそみたいな小泉のメンツのために、アジア外交は大きな音を立てて崩れようとしている。狂気首相の言動には、改めて、言葉を失うのだ。
★ケンカを売ってパフォ―マンスの繰り返し
しかし、小泉政治とは、こういう愚行、蛮行の繰り返しではなかったか。
郵政民営化がいい例だが、周囲が反対すると喜々として突っ走る。派手なパフォ―マンスでケンカを売り、自身の孤軍奮闘に酔っている。国民のためになることならイザ知らず、靖国にしたって、郵政だって、「やめてくれ!」というものだ。そんなものに血道を上げて、「改革だ」「成果だ」と騒いでいる。
小泉は国会で「敵あまたなりとも、我は勇みて行かん」というラ・マンチャの男のセリフをそらんじたことがあるが、周囲は「頭がいかれているのか」と驚いていた。
こんな調子で、どうでもいいような改悪≠ェ次々とゴリ押しされてきたのである。
後世の歴史家は小泉政権の5年間をどう評価するのか。最低最悪の烙印が押されるのは確実ではないか。
★日本を「違う国」にした小泉5年間の外交停止
恐らく、10年後、20年後の日本は、ギョッとするほど様変わりしている。
中東では米国との戦争が泥沼化しているだろうし、たとえ戦争に至らなくてもテロは激化、世界中がきな臭くなっている。そんななか、米国と運命共同体の日本は、必然的に当事者として国際紛争の渦に巻き込まれていく。
平和憲法を掲げていた日本は、どこで変わってしまったのか。後世の歴史家は「小泉政権が転機だった」と口をそろえるはずだ。
「外交とは、ひと言で言えば、攻め込まれる可能性のある隣国との関係をどうするかです。小泉は一番大事なことをないがしろにして、米国ベッタリに舵を切り、自衛隊のイラク派兵を強行した。先に日米両政府が合意した在日米軍再編でも、普天間基地の代わりに新基地建設を約束し、海兵隊のグアム移転費用の約6割(61億ドル)を負担するなど、完全に米軍と一心同体になっています。このツケは回ってくる。米国の仕掛ける戦争に巻き込まれていくし、英国のテロ未遂事件は他人事じゃなくなりますよ」
元レバノン大使で、中東問題に精通している天木直人氏はこう言っていた。首相の靖国参拝で首脳外交がピタリと途絶えている中国、韓国との関係悪化は、単に企業や経済に悪影響を及ぼしているだけではない。両国を使って北朝鮮を懐柔するという外交カ―ドも失い、結果的に危ない国を追い込んでいる。自ら一触触発の危機を招いておいて、マッチポンプよろしく、安全保障、危機管理とかいって憲法無視の軍事力強化を急いでいる。外交が機能停止した小泉政治の5年間で、日本は全く違う国になってしまったのである。
★何から何までトチ狂って来た世の中
内政を振り返っても、この5年間で日本の社会は大きく変わった。
医療費の窓口負担を増やし、雇用保険や年金、介護保険は軒並みカット。小泉政権は社会福祉がまるで悪であるかのように切り捨て、弱者を追い詰めている。国と地方の社会保障費は1兆6000億円も削られ、今後5年間でさらに同額がカットされる。
規制緩和とか言って、金融、証券市場を開放=Bおかげでホリエモン、村上世彰のような守銭奴がバッコし、「稼ぐが勝ち」の拝金主義が当たり前になってしまった。ほんのひと握りの勝ち組だけがチヤホヤされる競争社会が加速し、企業のリストラが評価されるご時世だ。世の中、どう考えたって狂っている。
「すさまじい競争社会にこそセ―フティネットが必要なのに、小泉政権はそれも外した。『這い上がれないものは自己責任』のひと言で片ずけてしまう。恐ろしい政権です。政府はやみくもに小さければいいってもんじゃないのです。3割以上が非正社員で、20代の5人に1人が年収150未満というグロテスクな格差拡大をつくったのは誰なのか。小泉構造改革の失敗ですよ」(帝京大教授・降旗節雄氏=経済学)
地方に目を転じれば、北海道夕張市のように「自治体の大量倒産時代」が現実味を帯びている。
しかも、その間にも国と地方の借金は減るどころか、1000兆円を超えて膨らみ続け、その穴埋めのために大増税が進行中だ。こうしたデタラメ政治の最後っ屁が靖国参拝なのである。
★小泉、安部政権が続けば悪夢のような時代になる
こうやって振り返ると、小泉政治というのは、やるべきことをやらず、どうでもいいことや庶民イジメだけに邁進してきたことがよく分かる。
抜本的な少子化対策には手を付けず、場当たりの年金負担増でゴマカし、看板スゲ替えだけの特殊法人改革や民業圧迫の郵政民営化に血道を上げてきたのだから、どうかしている。中曽根も「本論に手を付けず、各論に熱中した内政」とケチョンケチョンだ。そのうえ、靖国参拝でアジア外交をメチャクチャにしておいて、「あとは野となれ山となれ」で辞めてしまう。こんな無責任な男は見たことがない。
「小泉は、入り口に入るとすぐ出口のような薄っぺらなパフォ―マンス政治で、説明責任も果たさず、問答無用でムチャクチャな政策を断行した。怖いのは、このやり方を安倍晋三も踏襲しそうなことです。日本の政治はとんでもない方向に向かって加速度を増しているような気がします」(佐高信氏=前出)
悪夢のような時代が確実に近ずいているし、きょうの靖国参拝は歴史の分岐点になりそうだ。
日刊ゲンダイ 2006年8月16日
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