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アメリカのブッシュはほんもののバカだ
それにシッポを振って５年間もこの国の政治を曲げてきた小泉対米隷属政権の後遺症は余りに大きい
世界中に戦争を仕掛けているブッシュのネオコン政治も国内では支持を失い、国外では解決不能のドロ沼に陥っている
アフガンにはタリバンが復活、イラクは内戦状態、今イスラエルに暴走をやらせ、北朝鮮には打つ手なし。ブッシュと一心同体のこの国は一体どこへ行くのか
レバノン危機への対応をめぐり、米ブッシュ政権に非難の声が高まっている。
ブッシュ大統領は、イスラエル軍のレバノン攻撃を〝テロとの戦い〟と位置付け、「根本的な原因はヒズボラにある」とイスラエル擁護を鮮明にしている。レバノン南部カナの空爆で民間人５７人が死亡したときは、「米国は罪のない市民の死を悼む」とコメントした。それでもイスラエルを非難する安保理議長声明では、「意図的な攻撃」「非難」といった表現を変えるよう要求。攻撃容認の姿勢を崩していない。
こんなブッシュ政権には、新米アラブ諸国もさすがに呆れている。ヨルダンのアブドラ国王は、「米国は戦争が過激主義を増幅させるだけと認識すべきだ」と非難し、サウジアラビアのファイサル外相も「イスラエルに供給している米国の武器が、レバノンの民間人に使用されないようにする責務がある」と不満を漏らした。
国外だけではない。国内でも中東政策の支持率は前月の６０％から３７％に急落している。
国際問題評論家の角間隆氏が言う。
「ブッシュ大統領が事態収拾を図ることなど、初めから不可能。期待するだけムダです。イスラエルと一体の米国内のユダヤ系住民は、伝統的に民主党支持です。地域的にもニュ―ヨ―ク、ボストン、ワシントンといった東部が多い。米国南部出身でユダヤ系住民とのパイプがないブッシュが、イスラエルとレバノンの調整役を務められるわけがありません。この事態は、米国にとっては制御不能。先が読めなくなっています」
もともとブッシュは、出身のテキサス以外のことには驚くほど無知だ。世界地図がアタマに入っているかどうかも怪しい。朝鮮半島を「北朝鮮半島」と呼び、訪米中のブラジル大統領には「ブラジルにも黒人はいるの？」と質問し笑われている。
★注目はセクハラだけ
こんな人物が世界のリ―ダ―然としているのだから、世界情勢は混沌として当然かもしれない。
実際、フセイン追放で民主国家になるはずだったイラクでは、連日のようにテロが発生。グチャグチャの内戦状態になってしまった。商店や事業所が攻撃され、従業員や客が拉致されたり殺害される事件も多発しているというから、対イラク戦争を主導したネオコン連中の目算は完全に狂った格好だ。
アフガニスタンでは旧政権タリバンの残存勢力が、米軍主導の多国籍軍への戦争を激化させている。先日はＮＡＴＯ軍への自爆テロも起きた。
ブッシュは、ミサイルで挑発し２国間協議を求める北朝鮮には断固拒否の姿勢を貫いているが、不安定が続く東アジアの現状をがらりと変える政策があるわけではない。
最近、ブッシュが国際舞台で注目を集めたことといえば、いきなり独メルケル首相の肩をもんだ〝セクハラ疑惑〟くらい。こんな人物が、複雑怪奇な国際情勢を仕切れるワケがないだろう。
★ブッシュべったりの小泉５年で日本はメタメタ
こんなアホにシッポを振り、絶えず仲良くやってきたのが、わが首相だ。この５年間、小泉政治の外交方針は、対米隷属の一本ヤリ。米国から「ショ―・ザ・フラッグ」「ブ―ツ・オン・ザ・グラウンド」とハッパをかけられると「アイアイサ―」とばかりに、インド洋やイラクへホイホイと自衛隊を派遣してきた。そのご褒美が、憧れのプレスリ―邸訪問だからむなしくなってくる。
ブッシュの横で舞い上がる「裸の王様」小泉を写真家の藤原新也氏は、「今もアメリカの半植民地として位置付けられている一国の長」の「米国の有名芸能人の猿まね」と朝日新聞（７月１７日付）で看破していたが、当然だろう。こんなノー天気首相が政権を取った５年間で日本はおかしなことになっている。
「９・１１テロ以降のブッシュ米国の戦争政策に盲従し、憲法で禁じられた自衛隊の戦地派遣に道を開いてしまった。それまでの自民党の憲法解釈すら、大きく踏み外したのです。もはや、憲法は風前のともしび。先制攻撃論を公言する現職閣僚が何人も現れる始末です。核武装も辞さない安倍官房長官が次の総理に納まれば、一体この国はどうなってしまうのか。恐ろしくなってきます」（立正大教授・金子勝氏＝憲法）
★レバノン危機でもラクダに乗って大ハシャギ
中東との関係もボロボロだ。日本はこれまで独自の外交で中東諸国の信頼を得てきたが、小泉５年ですっかりパ―である。東北文化学園大総合政策学部長の小山茂樹氏（中東問題）が言う。
「今のレバノン危機はヒズボラをシリアが支援しその背後にイランがいる構図です。かつて外相時代の安倍晋太郎氏が築いたイランとの関係を生かせば、紛争解決の糸口にもなるはず。ところが、そんな独自外交は何もナシ。息子の晋三氏をはじめ、小泉内閣はひたすら米国に同調し、イラン制裁に踏み切ろうとしている。このままでは、経産省傘下の企業が６割を握るアザデガン油田の権利も失いかねません。本当にデタラメな話です」
先月、イスラエル、パレスチナ、ヨルダンと中東諸国を訪れた小泉は物見遊山気分でラクダに乗ってハシャいでいた。紛争解決に汗をかく気など、みじんもない様子だった。
定率減税カット、年金保険料増、医療窓口負担増、酒、たばこ増税・・・・・・。
この５年間で庶民に１３兆円もの負担増を押し付ける一方、米軍再編にポ―ンと３兆円の税金を出す。誰のために政治をやっているのか。このままでは、日本は世界から嫌われる米国と心中するしかなくなってしまう。
ブッシュべったりでやってきた後遺症はあまりにも重い。
日刊ゲンダイ ２００６年８月７日
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