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2006.8.3
森田実の言わねばならぬ[256]
政治家・安倍晋三氏批判第2部【9】
「景気回復の大合唱」の危うさ
「保守主義は本来、人間の限界の正しい認識に基づくもので、自己讃美的な論理の精神にあっては主張できないものである」(ルイス・ネイミエ、1888-1960、英国の歴史家〈ポーランド生まれ〉)
東京では、政治家、役人、経済人の誰に会っても「景気は回復した」という。「景気回復」はほとんど挨拶がわりの言葉になっている。すべてのマスコミが、政府の「景気は回復した」との発表を鵜呑みにして、「景気は良くなった、良くなった」の大合唱を繰り返している。東京で私が「地方の実情をよく見てくれ。景気が良くないところのほうが多い」などといえば、爪弾きされる有様である。
本当に「日本全体で景気は良くなった」のだろうか。私は、そうではないと思う。
7月初めから末まで私は多くの地方都市に講演に行き、地方経済界や地方自治体の指導層と懇談したが、「景気が回復した」と言った人はほとんどいなかった。
7月に私が旅したのは、山梨県、群馬県、宮城県、広島県、奈良県(2回)、岡山県、埼玉県、神奈川県、大阪府(2回)、静岡県、北海道、愛知県、京都府の各地域だった。
マスコミでは、愛知県は東京に次ぐ好景気の地域といわれているが、私が会った中小零細企業者や医療関係者の話は暗いものだった。愛知県で会った就業員100人の会社の経営者は、「この5年間、いつ自殺するかということばかり考えてきました」と私に語った。私は、「苦しい状況はわかります。しかし、どんなことがあっても生きなければなりません。自殺なんて考えてはいけません」と、その社長が「自殺しません」と言うまで何回の繰り返した。
地方と中小零細企業は、どこも、苦しいのである。大企業経営が良くなっていることはたしかである。しかし、「光が強ければ影もまた濃い」(ゲーテ)のである。大企業の繁栄の陰で、地方経済と中小零細企業は泣いているのだ。
「ワーキングプア」(NHKスペシャル番組のタイトル。いくら働いても生活苦はつづく)は全国に広がっている。
「好景気」を謳歌しているのは東京、名古屋など一部大都市の大企業だけである。良いのはうわべだけであり、地方と中小零細企業は依然として苦しんでいるのである。
小泉政権は「景気は回復した」と叫びつづけている。全マスコミがこれに同調している。安倍氏も、中央マスコミの景気回復論に乗って、楽観論を振りまいている。
だが、全国を見渡せば、日本経済の実態は暗い。良くないのだ。この対策を真剣に議論しなければならないときである。
それなのに、安倍晋三氏をはじめとして自民党総裁選の候補者たちは、国民の苦しみには目もくれず、「再チャレンジ」などと浮かれた話をしている。国民のために真に役立つ経済政策を、なんら議論しようともしない。
これでいいのか。自民党はこんなことでいいと思っているのだろうか。目を覚ませ、といいたい。「景気は回復した」などという大嘘に浮かれているときではないのである。
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C02807.HTML
森田実の時代を斬る:
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/TEST03.HTML
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