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にっぽんに思う:/1 23歳男性・会社員 きっかけは漫画「戦争論」(毎日)
http://www.asyura2.com/0601/senkyo25/msg/143.html
投稿者 らくだ 日時 2006 年 8 月 01 日 19:44:24: bZcL6nRNDZWPQ
 

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/heiwa/nipponni/news/20060731ddm041040175000c.html

 愛国心教育が論議になったこの年。愛すべき国とは何だろう。若者は、あの戦争を体験した人は、国境に近い離島の人々は……。それぞれの内なる「にっぽん」を探りながら、戦後61年の夏、改めて平和を考えてみたい。

 ◆本やサイトで理論武装

 ◇ネット右翼「国の自信が自分の自信」

 「日本人の心はすさんでいる。子が親を殺し、親が子を殺す。むしろ戦争中の方が、命の大切さを感じる豊かさがあったのではないですか」

 高さ4メートルの街宣車上から、絶叫調の声が響き渡る。今月中旬、名古屋市郊外の駅前。真っ黒な車体が夏の日差しをはね返し、「民族派愛国」をうたう地元団体の街宣車上は40度を超す。濃紺の戦闘服姿の「塾生」たち。マイクを持つ山下大輔さん(23)だけが、黒のシャツに黒ズボン姿だ。30分間の演説。足を止めたのは4人だった。

 昨春、大学を卒業し、印刷会社に就職した。3年前から月1回、街宣車で演説する。「片足は普通の社会に置いておくことで、客観的に見る目を残したい」から、塾生にはならず、距離を保つ。愛国心を論じるサイトを、ネット上で自ら運営。4年半で21万件を超すアクセスがあった。

 中学時代までは、日本が嫌いだった。授業で「原爆は、日本が戦争を起こしたから落とされた」と教わった。恥ずかしい国に生まれたと思った。

 高校生の時に漫画家、小林よしのり氏の「戦争論」を読む。漫画でなければ手に取らなかった。「戦争は『悪』ではない」の主張に衝撃を受け、生まれた国が初めて誇らしく思えた。国に自信を持つことで、自分まで自信が持てるような感覚。図書館で同種の主張の本を探し、読みふけった。

     ◆

 「月刊核武装論」というサイトをネットで運営する福岡市の本山貴春さん(24)は、神戸・小学生連続殺傷事件で逮捕された「酒鬼薔薇聖斗」と同い年だ。事件の起きた中学3年当時、本山さんも、きれいごとばかりの親や教師、「面白いかどうか」でしか判断しない級友に不満がたまり、生きづらさを感じていた。

 社会も不況のただ中。倒産、リストラ、就職難−−。「このまま日本は衰退するのでは」。自分の将来も不安だった。三島由紀夫らの著作に夢中になり、「戦争論」も読んだ。「周りとは違うんだ」。そう感じて、本にのめり込んだ。

 郵政民営化で有力議員を自民党から切り捨て、靖国参拝で中国、韓国を刺激し続ける小泉純一郎首相。敵を明確にするその手法に本山さんは共感も覚えるが、「中国や韓国にものを言った分、アメリカべったりだ」と批判的でもある。「自立した国に」との思いからの日本の核武装論。アクセスは3万件に迫っている。

 大卒後に就職したケーブルテレビ会社で営業に回る日々。「自分も自立したい」。将来、企業や政治家のPR戦略を担う会社を起こすつもりだ。

     ◆

 98年出版の「戦争論」は、3部まで計約180万部売れた。この時代、インターネットの利用者も爆発的に増加。若者たちが、自らの主張を不特定多数の社会に発信する手段を得た。愛国や反中国、反韓国を訴える書き込みが激増し、「ネット右翼」の言葉も生む。社会学者の鈴木謙介さんは「不況で雇用不安の中、若者が不安定な自己を守るために排他性を高め、普及したネットで排外的、愛国的な主張を発信している」と指摘する。

     ◆

 ネットに飽き足らず街宣車に乗った山下さん。通り過ぎるだけの人は、気にならない。たまに手を振ってくれる人がいるだけで、うれしくなる。

 本山さんは、「終戦」ではなく、自主独立を果たすための「停戦」だと主張する。ネットで知り合い、核武装を議論するのは、50代など年配の人がほとんどだ。

 実は2人とも、祖父母に戦争体験を聞こうとしたことがない。本山さんの祖父は戦場で指先を失ったが、「いくら想像しても分からないと思う」から聞かなかった。他人の体験からでなく、本やネット上の議論から、学びたいと思っている。

 両親と同居する2人だが、パソコンの作業は個室の中。会社に休まず通う息子たちの別の姿を、親たちは全く知らないという。

 ネット上を無数に飛び交う愛国的、排外的な言葉が、きょうも増殖を続けている。個人の発信に、万単位の人が触れていく。

【木村光則】=つづく

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/heiwa/nipponni/news/20060801ddm041040144000c.html

にっぽんに思う:/2 日本版「オーマイニュース」 匿名の中傷に危機感

 ◇嫌韓流に苦悩の船出

 「朝鮮メディアが反日活動を国内でやろうとしている」「日本に『朝鮮のアカニュース』は要りません」

 7月になり、こんな書き込みが次々と寄せられている。今月28日創刊のインターネット新聞「オーマイニュース」の「開店準備中ブログ」だ。韓国で00年に創刊した「オーマイニュース」の日本版。「市民記者」として登録すれば誰でも記事が書け、読者も意見を書き込める新媒体だ。

 市民記者を増やす目的で6月に開設したブログ。韓国生まれのメディアのためか、記事と無縁の韓国攻撃も目立つ。書き込みは誰でも読める状態のままだ。

 編集局内で議論が続く。氏名など事前登録した人だけが意見を書き込める「登録制」導入時期の議論だ。市民記者は約330人。「根拠のない中傷が飛び交っては、誰も市民記者にならない」と危機感も強い。1日から、書き込める権限を登録済みの市民記者に限り、創刊後は読者である「準市民記者」を含め事前登録した人に限ることとした。

 編集長の鳥越俊太郎さん(66)は「戦争を知らない若い世代が、経済発展した韓国に違和感を覚え、過去にあった差別意識を再生産した。ネットという匿名の場に、ネガティブな感情が噴出している。書き込み可能な読者の登録制は、当初からの予定通り」と語る。

     ◆

 昨夏出版の「マンガ嫌韓流」。「嫌韓流2」と合わせ67万部売れた。日本人大学生が「韓国人自身も日韓併合を望んだ」などと、在日韓国人らを論破する。戦後補償や外国人参政権、竹島領有などの問題で、韓国側の主張を否定する。

 作者の山野車輪氏は、文書で答えた。「自分も参加していた一部のインターネット世論が反映されたもので、嫌韓流に描かれてあることが、彼らが考える歴史認識や問題意識であると思う」。出版元「晋遊舎」の担当編集者も「ネット上で、マスコミの韓国や北朝鮮報道への不満を書き込んでいる若い層が買ってくれた」と分析する。

 ネットが支える「嫌韓」。在日コリアンの人権・教育保障に取り組む「コリアNGOセンター」の金光敏(キムグァンミン)事務局長(34)が7月、大阪府内の公立校教師対象の研修で、在日コリアンの生徒が差別を受けた状況を説明した際、若い男性教師が言った。「韓国も反日運動をしてるじゃないか」。金さんは「実際にあった差別の話をしているのに、すぐに国の論理に飛躍させる。『嫌韓流』などの影響では」と感じる。最近、同様の発言をぶつけられる機会が多い。

     ◆

 豊原富栄さん(23)は今春、大学を卒業し、オーマイニュースのスタッフになった。戦争の問題を掘り下げたいと思う。豊原さんがブログに書いた大阪市内の陸軍墓地の記事を読んだ岡山県の男性(68)が、市民記者になり、戦争体験を書くようになった。その記事にも批判が寄せられる。男性は「私が実名で書いたものに、匿名でこんな批判が寄せられるとは思わなかった。ただ戦争体験を伝えたいだけなのに」と話す。

 サッカー・ワールドカップ共催、韓流ブーム、そして嫌韓流。21世紀、隣国との関係は大きく揺さぶられてきた。

 豊原さんは7月26日、ブログに書く。「オーマイニュース日本版が、新しい一歩を踏み出すための“何か”を生み出す場であるように」。匿名のネット上の媒体で、「予定通り」とはいえ反響を寄せる読者は登録制。悩ましい船出となる。

【樋口岳大、木村光則】=つづく

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