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日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本政府への米国政府の年次改革要望書 2001年10月14日
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投稿者 てんさい(い) 日時 2006 年 7 月 26 日 08:51:42: KqrEdYmDwf7cM
 

(回答先: 日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本政府への米国政府の年次改革要望書 2002年10月23日 投稿者 てんさい(い) 日時 2006 年 7 月 26 日 08:49:44)

日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本政府への米国政府の年次改革要望書
2001年10月14日

http://72.14.235.104/search?q=cache:faNuxMqRigoJ:tokyo.usembassy.gov/j/p/tpj-jp0025.html+site:tokyo.usembassy.gov+%E6%94%B9%E9%9D%A9%E8%A6%81%E6%9C%9B%E6%9B%B8+2001&hl=ja&gl=jp&ct=clnk&cd=1

 2001年6月30日、「成長のための日米経済パートナーシップ」(パートナーシップ)の下、ブッシュ大統領と小泉総理大臣によって設置された「規制改革および競争政策イニシアティブ」(改革イニシアティブ)は、経済の規制緩和、競争の促進、日本市場の開放をさらに推進することを目的としている。

 米国は、日本の規制改革に対する継続的な取り組みと、「機敏かつ迅速」に規制改革を実施し、「改革なくして成長なし」の原則を堅持するとの小泉総理の力強い発言に勇気づけられている。米国はまた、2001年3月30日に「規制改革推進3か年計画」が閣議決定され、さらに小泉内閣が2001年9月21日に「改革工程表」を発表したことを歓迎している。

 本要望書の提言は、パートナーシップの包括的目標に沿って、日本経済が持続的成長を取り戻すために重要となる分野や分野横断的な問題に関わる改革措置を盛り込んでいる。さらに米国は、日米2国間の通商・経済関係に、新たな、また建設的な特色をもたらすため、情報技術(IT)、通信、医療、エネルギー、競争政策など、小泉内閣が改革に重要であると位置付けた分野の問題に焦点を当てた。

 提言の概要と詳論に盛り込まれた要望事項は、改革イニシアティブの下に設置された上級会合および作業部会における今後の議論のたたき台となるものであり、また、大統領および総理大臣に提出される年次報告の土台となる。この年次報告は、両国政府が講じた改革措置を含め、改革イニシアティブの下で達成された進展を明記したものである。

 パートナーシップにうたわれている改革イニシアティブの重要な特徴は、両国政府の作業に民間部門が加わることである。米国は、今後数週間のうちに、日本と協力して、このイニシアティブで取り上げられている課題で民間部門の意見が有益となるものを明らかにしていく。米国が関心を寄せる分野には、ITにおけるプライバシー、競争的通信事業者に対する規制要件の削減、エネルギーの自由化と安全供給、クロスボーダーによる株式交換が含まれる。

 米国政府は、日本政府に対し本要望書を提出できることを喜ばしく思うと同時に、米国に対する日本からの改革要望事項を歓迎する。

目次
▼ 提言の概要 ▼
 
●電気通信 ●情報技術(IT) ●エネルギー ●医療機器・医薬品 ● 金融サービス
●競争政策 ●透明性およびその他の政府慣行 ●法制度および法律サービスのインフラ改革 ●商法 ●流通

▼ 詳 論 ▼
 
●電気通信 ●情報技術(IT) ●エネルギー ●医療機器・医薬品 ●金融サービス
●競争政策 ●透明性およびその他の政府慣行 ●法制度および法律サービスのインフラ改革 ●商法 ●流通

提言の概要
電気通信
 日本は、2005年までに世界最高水準の電気通信インフラを構築するという野心的な目標を設定した。経済全体の成長、投資、効率性を刺激するこの分野の「多様な効果」を考えると、これは称賛すべき目標である。しかしながら、先進サービスが独占化されやすいことを考慮すると、競争を維持し拡大させつつ、この目標を達成しようとすることは大きな政策的課題となる。

 「e-Japan戦略」と小泉内閣の改革イニシアティブを基盤として、日本はさらに活力あるIT分野の発展を通じて、経済の成長と投資の拡大に大きく貢献できる政策を実施し始めた。現行の規制改革推進3か年計画の中には、規制方法の合理化や手続きの透明性改善、またIT分野における競争の促進の確保など、電気通信分野にとって特に重要なものが含まれている。

 最近の日本の電気通信政策イニシアティブは、この分野を競争促進志向にすることを目指している。このプロセスは、日本の電気通信やITの環境を改善させてきたが、完全ではない。こうした分野では、最近改革への弾みが見受けられ勇気づけられるが、米国は、日本が競争促進体制の制度化と実施のプロセスを完了するよう求める。

提言の概要

・ 競争的事業者への規制緩和: 競争的事業者、特に卸サービスへの認可や届出要件を廃止する。

・ 規制の独立性: 強力で独立した電気通信規制機関を設立し、サービス提供者の株式の政府保有を廃止する。

・ 支配的事業者規制と競争上の競争確保のための措置: 日本電信電話株式会社(NTT)および NTTドコモが競争を阻害することがないよう、支配的事業者への規制を強化し執行する。

・ 相互接続: 競争的な電気通信市場の構築を阻害する高い接続料を引き下げ、非効率な料金体系を改革する。

・ 線路敷設権および既存施設へのアクセス: 競合事業者が加入者にサービスを提供するために必要なインフラへのアクセスをさらに整備する。

・ 再販/アンバンドリング: 再販義務に係るサービス範囲を拡大し、卸売り割引の設定に際しての透明性を確保する。競合事業者による、特定のコンピューターシステムを含むNTTネットワークの要素へのアクセスを拡大し、NTTに対し、同社が現在拒否している、競合事業者の緊急サービスへのアクセスを義務付ける。

・ ユニバーサル・サービス: ユニバーサル・サービス維持のための補助金プログラムの必要性を厳密に評価し、提案された補助金が競争的で中立であることを確保する。

・ 国際インターネット・サービス政策: 国際的リンクを規制するのではなく国内のボトルネックにおける競争を促進することを通じて、インターネット・サービスのさらなる成長と同サービスへのアクセスの改善を図る方法を検討する。

情報技術(IT)
 情報技術(IT)は、ビジネス、政府、教育、娯楽の在り方に革命をもたらしている。最近のIT関連産業の低迷や、「ドット・コム」企業の整理・合理化にもかかわらず、電子商取引は、経済の確立された重要な構成要素となっている。日米両国は、小泉内閣が改革の優先事項として取り上げた医療や教育など、経済のさまざまな分野に影響を及ぼし、潜在成長力も非常に高いIT産業を今後も継続して育成する必要性を認識している。米国は日本とともに、両国の経済と社会に恩恵をもたらす競争的で革新的なIT分野を整備・促進し、ITの活用に関して世界的な指導力を発揮するために協力していくことを楽しみにしている。

 IT産業が成長し繁栄するには、競争を確保し、革新を促進し、民間主導での規制を制定し、デジタル時代における知的財産権を保護することができる規制の枠組みを設定する必要がある。「e-Japan戦略」や、その後の「e-Japan重点計画」、「e-Japan2002計画」を通じて、日本は、5年以内に「世界で最先端のIT国家になる」という目標との関連で、こうした原則の重要性を認識した。日本は規制改革推進3か年計画の下で、IT分野の重点事項として、こうした原則を再確認しており、小泉首相は9月27日の所信表明演説の中でも、IT改革を加速化することを約束した。米国政府はこうした取り組みを称賛し、日本政府が民間の要望や新たな技術に対し柔軟かつ迅速に対処できるよう、国内外の幅広い関係者との対話を継続するよう求める。

 この要望書の下でのIT分野の中心課題は、経済の他の重要分野の成長を促すために利用できる、IT関連ビジネスや革新的なITの開発を促進する新たな枠組みを設定することである。米国は、この目標の達成に協力するため、以下の提言と要望事項を提出する。

提言の概要

・ 法的枠組み: インターネットと電子商取引の利用を拡大するため、デジタル時代にふさわしい法的枠組みを制定し強化する。

・ プライバシーおよび消費者の保護: 新しいプライバシー法を施行するに当たり透明性を確保し、民間の自主規制イニシアティブによって、オンライン取引に対する消費者の信頼を確保する。

・ 電子商取引: 電子取引に適用される法律が技術的に中立であり、また、インターネットを通じた料金支払いシステムへの日米の取り組みが、オンライン取引を容易にするようにする。

・ 電子政府: ITを利用した、政府、国民および企業間のインターフェイスを促進する。

協調のための要望事項

・ 電子教育: 日本の教育システム全体に、パソコンを使用したインターネットの利用を拡大する「e-Japan計画」を補完するイニシアティブに共同で取り組む。

・ 民間によるITと電子商取引の利用: その規模にかかわらず、すべての企業がITと電子商取引を利用するよう共同で促す。

・ ネットワーク・セキュリティー: インターネットの統合性を保全するための国際的な協力に関する問題で協調をはかる。

エネルギー
 米国政府は、電力とガス市場の自由化に向けて日本政府がすでに取ってきた措置を歓迎する。エネルギー分野において真の競争が確立されれば、電力コストを削減し革新を奨励することで、経済の成長と効率の向上を図るという日本の目標達成が可能となる。また、競争的環境を整備することは、日本政府が計画している天然ガスの使用増加を促し、エネルギー源の多様化にも資するため、エネルギーの安定的供給という日本の目標を推進することになる。しかしながら、日本がこれまで取ってきた措置が、こうした目標達成には不十分であることは明らかである。米国は、エネルギー分野の卸売り・小売り両部門における競争的環境を促進するため、日本政府が、より大胆な措置を取るよう求める。こうした措置には電力託送や配電およびガス・ターミナルとパイプラインに対する公正で透明性のある非差別的なアクセスを確保することが含まれる。

 米国政府が日本政府に求める電力・ガス両分野における改革は、日本がすでに進めている広範な改革を補完するものである。日本のエネルギー分野の自由化は、電力コストを国際的に競争力があるレベルまで削減し、一般消費者用・業務用のコスト削減を可能にすることによって、小泉首相が目指す改革の中心分野の1つである「都市再生」に貢献する。電力コストの削減はまた、日本の産業が競争力を高めるためにも有効である。

 現在の世界が不透明な状況にある中で、経済の成長と安定的なエネルギーの供給を確保するため、米国政府は日本に対し、電力・ガス両分野ですでに進んでいる改革を完全に実施し、以下の提言にあるような、さらなる自由化を促進することを求める。

提言の概要

・ 規制改革のプロセスおよび競争政策: 規制当局の独立性を高めるための具体的な施策を明らかにし、エネルギー分野の改革プロセスのための政策目標を設定し、競争政策のセーフガードを改善し、この分野におけるすべての市場参加者の政策決定プロセスへのアクセスを拡大する。

・ 電力のアクセスと透明性: すべての市場参入者に対して、送電設備と小売りへの平等なアクセスを整備し、情報と会計の透明性を高める。

・ 新規建設: 送電インフラ設備建設に必要なガイドラインを設定し、電力供給地域間の建設を促進する。

・ 競争力のある発電所の新規参入: 新規参入を促進するため電力インフラ設備を拡大し、発電設備の民営化や売却が競争を促進するものであるようにする。

・ ガスのアクセスと透明性: 分割や使用料と情報の透明性向上によって、ガス・LNG市場の競争を促す。

・ 送電輸送インフラ設備の新規建設: パイプラインやLNG設備の必要性を明確にし、同一電力サービス地域内でのガス供給設備とLNG設備間のパイプライン建設を促進するためのガイドラインを設定する。

・ 競争力のあるガス供給者の新規参入: ガス・電力供給者の新規参入を保証するための送電輸送インフラ設備を拡充する。

医療機器・医薬品
 米国政府は、日本が「効率的で質の高い医療」の実現を目指すに当たり、小泉首相が医療分野の改革に焦点を合わせていることをおおむね歓迎する。市場競争原理の導入を通じて、革新性、調和性、透明性、予見可能性そして効率性が改善すれば、日本のそうした目標の達成に資する上、経済成長も刺激される。革新的な医薬品や医療機器を迅速に承認し幅広く入手可能にすることで、医療費全体を大幅に削減しつつ医療の質を向上させることができる。

 改革の過程において、革新的な製品が医療費を押し上げる要因であると誤って認識され、不適切な費用削減の対象とならないようにすることが極めて重要である。日本の医療費を押し上げている制度の非効率性(世界一の平均入院日数、過剰な数の医療施設、IT化の遅れや専門病院の不足など)に取り組み、この分野での規制や貿易障壁を取り除くことは、資源の有効配分につながり、生命力を高める費用対効果にも優れた製品が患者にもより迅速に提供されることになる。目先の措置ではなく、こうしたアプローチが、日本に長期的な利益をもたらす真の改革のカギとなる。米国の医療機器・医薬品業界を含むすべての関係者が、改革の議論に参加する「意味のある機会」を持ち、その場で提出される要望事項が「真剣に検討される」ことが極めて重要である。

提言の概要

・ 医療制度改革: 市場競争原理を導入し、日本の医療制度を改善するために、一般に対する医療情報開示の水準を向上させ、病院や看護施設での民間の役割の拡大等を含む構造改革を推進する。

・ 医療機器・医薬品の価格算定改革: 革新的な医療機器・医薬品が確実に導入されタイムリーに使用されるようにし、「市場の役割を認める価格設定をする」。そのような製品が、革新的な製品の価値を下げる恣意的な価格操作の対象にならないことを保証する。

・ 医療機器・医薬品の薬事制度改革: 医療機器・医薬品、特に日本では導入されていないが他の主要国で入手可能な製品、の承認を促進する措置を引き続き取る。

・ 外国臨床データの受け入れ: 外国臨床データの幅広い利用を促進するために、薬事規制の医薬品規制整合化国際会議(ICH)のプロセスの枠内で引き続き作業を進める。そして、日本の臨床治験制度のさらなる効率的な利用を促進する。

・ 栄養補助食品の自由化: 栄養補助食品の販売規制をさらに緩和する。

金融サービス
 米国政府は、日本が1995年の「金融サービスに関する日米両国政府による諸措置」にうたわれている措置を着実に実施していること、および日本版ビッグバン構想の下で今日までに講じてきた措置を歓迎する。より効率的で競争力のある金融部門は、日本が潜在成長力を完全に取り戻すに当たり、極めて重要な役割を果たすことになる。本年の民間確定拠出型年金制度の導入は、所得の安定、企業統治の向上、より流動性の高い労働市場の発展を促すという観点から、特に歓迎すべき進展である。

提言の概要

・ 確定拠出型年金: 業界に対する明確で統合された規制体系を導入し、確定拠出年金運用プランのプロバイダーに、ひな型(プロトタイプ)となるプランの認可を与えることで、同年金プランの発展と採用を奨励する。

・ 投資信託: 投資信託の安全性や柔軟性と、それに対する理解を高め、この重要な投資商品の提供コストを削減することで、個人投資家や年金資産運用者が株式への投資を増やすよう奨励する。

・ 自主規制機関: 自主規制や投資家保護など公共政策面での役割を有する業界団体について、その運営と意思決定過程の透明性と開放性を拡大する。

・ 郵便金融機関(郵貯ならびに簡保): 郵便金融機関が、国内信託の枠組みを通じて、投資顧問会社サービスを利用できるよう柔軟性を拡大する。郵便金融機関に対する新たな金融サービス事業案はすべて、導入前に完全にパブリック・コメントと検討の対象にすることで、民間部門によるサービス提供を促進し、その透明性も向上させる。

・ 金融機関の報告・通知: 金融機関に対する現行の報告義務を見直しまた簡素化するため、民間の金融サービス事業者と緊密に協議する。金融機関が記録保管を電子的手段で行うことを許可し、可能であれば、報告の交付、申請、通知についても電子的手段で行うことを認める。

競争政策
 米国政府は、総合規制改革会議が表明した、日本経済の回復には新規参入を支援できる環境を整備するなど、日本市場での競争を積極的に促進し維持することが必要不可欠であるとの見解に同意する。こうした課題への取り組みに向けて、日本政府が、公正取引委員会(公取委)に対し、独占禁止法を効果的に執行し、日本経済全体の競争を促進するために必要な手段や資源、そして行政的な独立性を付与することが必要である。

 そのためには、公取委の組織と審査能力の強化そして執行措置の効果を改善させることが求められる。また、政府全体が談合の問題に真剣に取り組むことが必要となる。そうした取り組みが成功すれば、公共事業支出が30%削減され、雇用創出のためのイニシアティブにも資源を振り向けることが可能となり、社会的なセーフティーネットを拡大するという小泉首相の優先課題とも合致する。この目標を達成するため、日本政府は、経済の構造改革と規制改革の推進に当たって競争と市場原理を尊重することが求められる。したがって、米国は日本が以下の措置を講ずることを提言する。

提言の概要

・ 公正取引委員会の独立性と職員数: 独立性を維持するため、公取委の組織的位置付けを変更し、職員数を大幅に増やす。

・ 公正取引委員会の審査能力: 独禁法違反者のうち(協力的な)事業者に対する制裁減免制度を新設し、刑事告発における公取委の権限と手続きを改善し、審査妨害に対して厳しい罰則を定め、情報技術と公益事業分野において公取委が独禁法を執行するために十分な職員を確保する。

・ 独禁法執行の効果: 課徴金支払命令による抑止効果を改善し、排除措置の範囲と私的差止請求訴訟の許容範囲を拡大する。

・ 談合の排除: 官製談合を防止するために有効な法律の制定をするなど、談合を排除するための一連の措置を実施する。

・ 競争と規制改革: 民民規制あるいは反競争的行政指導を防止し、規制改革が進行している産業の競争を促進し、競争を促進する形での特殊法人の民営化を推進する。

透明性およびその他の政府慣行
 米国は、日本政府が、「規制改革推進3か年計画」(2001年3月30日閣議決定)の中で、透明性向上の必要性を分野横断的な課題として取り上げたことを評価する。経済が活力を持つには、規制制度の透明性、公正性、予見可能性、そしてアカウンタビリティー(説明責任)が確保されていることが極めて重要である。国内国外双方の企業が、規制プロセスに参加するための情報と機会に対する完全なアクセスを確保することが重要である。

 3か年計画に盛り込まれた制度改革措置は、日本の規制制度に求められる透明性と説明責任の改善に寄与する。それらの措置には、行政手続法の厳格な施行と同法の適用促進、行政指導に当たっての透明性改善、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(行政機関情報公開法)の完全かつ効果的な施行、「規制の設定又は改廃に係る意見提出手続」(パブリック・コメント手続き)の広範かつ効果的な適用、「ノーアクション・レター」制度の導入、規制プロセスの包括的で客観的な評価、そして新規の規制案の必要性や効果そして費用の検討が含まれる。

 米国は、こうした措置を土台に日本の改革への取り組みを支援し、すべての関係者が政府の情報と意思決定プロセスに同条件でアクセスできるよう、日本政府が規制制度の改善に当たり以下の追加措置を講ずることを提言する。

提言の概要

・ パブリック・コメント手続き: すべての意見募集案件を掲載するセントラル・レジストリー(中央総合登録システム)を構築し、意見募集期間を最低限30日間に設定し、第三者機関によるパブリックコメント手続の実施状況の検討を行う。さらにパブリック・コメント手続きを検証する研究会を設立するなど、パブリック・コメント手続きが有益で効果的な規制メカニズムになるよう当該手続を改正する。

・ 行政指導: 行政指導の行使を制限し、(特別の案件を除き)すべての行政指導を書面で交付することを義務づける。 ・ 市民参加による法案策定: 政府機関が法案を国会に提出する前に、国内外の利害関係者がその法案を検討しコメントすることができるメカニズムを構築する。

・ 司法による行政措置の検証: 政府機関による行政措置を検証するため、裁判所の権限を強化する。

・ 特殊法人: 特殊法人等(認可法人および公益法人を含む)の再編や民営化のプロセスにおける透明性、および民間部門が意見を表明する機会を確保する。

・ 規制インパクト分析: 重要な規制制度の変更に対して適用される規制インパクト分析(RIA)制度を導入する。

・ 郵便金融機関: 郵便事業の公社化を、透明性を持ち、かつ郵便金融機関の取扱商品の拡大を抑制する方向で行う。また、民間の同業者に適用されているのと同一の規制基準が郵便金融機関にも適用されることを確保する。

法制度および法律サービスのインフラ改革
 日本の経済回復と経済構造の再編を促進するには、日本が、国際ビジネスと国際投資に資する、また規制改革や構造改革を支援する法的環境を整備することが極めて重要である。日本の法制度は、商取引を促進し紛争を迅速に解決し、日本における国際的法律サービスの需要に応えられるものでなければならない。こうした課題に対処するため、日本は、法制度が容易に利用でき、また迅速かつ効率的に機能するよう、抜本的な改革を行う必要がある。

 米国政府は、日本がすでに多くの重要な法制度の改革に着手していることを認識している。司法制度改革審議会は、「司法制度改革審議会意見書‐21世紀の日本を支える司法制度」と題する意見書の中で、司法制度の改善に向けて多くの重要な提言を行っている。日本政府にとって重要なことは、効果的な法律案を迅速に準備し成立させることで、こうした提言内容を実行するための断固たる措置を取ることである。米国政府は、日本政府が、この目的のために司法制度改革本部を設置し、司法制度の見直しを規制改革の優先課題の1つとして取り上げることで、そうしたプロセスを開始したことを認識する。

提言の概要

・ 提携の自由化: 日本弁護士と外国弁護士間の提携の自由に関するすべての制限を撤廃し、弁護士自身が提携の形態を決定することを可能にする。

・ 外国弁護士に課せられている規制: 外国弁護士による日本弁護士の雇用を認める。また、第三国の法律に関する助言の提供に関して、外国弁護士の処遇を日本弁護士と同様にする。外国弁護士による専門職法人、有限責任パートナーシップ(LLP)、有限責任法人などの設立を許可する。

・ 外国弁護士に係わる規制制度の改善: 外国弁護士に影響を与える規則の制定および実施に関して、外国弁護士がその検討プロセスに参加できる機会を確保する。外国弁護士の登録までの時間を短縮する。

・ 司法制度改革審議会の意見書の実施: 法曹人口の増加、仲裁法の改正、民事訴訟の審理の迅速化と効率化、司法による行政機関の監視、そして、民事訴訟費用の引き下げといった司法制度改革審議会の意見書を迅速に実施する。

・ 日本の司法制度の改善: 司法制度の改善に向けて、証拠収集方法の改善、裁判の審理過程での企業秘密の保護強化、代理人と依頼人の基本的権利の明確化、司法による救済の更なる効率化、司法手続に係る透明性の改善などの追加的措置を講じる。

商法
 米国は、日本が商法と関連する法律等の改正をするという重要な取り組みを開始したことを評価する。商法の包括的な改正は、日本企業と外国企業に対して大きな影響を与える。エクイティ証券に関する規制緩和は、事業の再構築や新規投資に必要な資本の取得を容易にする。特に、企業統治の改善によって、企業の組織、経営、資本構成により柔軟性がもたらされれば、企業経営に関する説明責任が明確になり効率も向上し、その結果として、生産性や競争力も向上する。商法改正はまた、外国企業が日本市場に投資し効率的に業務を行う上でも大きな影響を及ぼすほか、日本経済にとって極めて重要な技術やノウハウをもたらし、雇用を創出する。日本への外国投資を増やすに当たっての大きな障害の1つは、日本企業間では認められているクロスボーダーによる株式交換が、国内企業と外国企業の間では行えないことである。

 以上の理由により、米国は、日本が以下の措置を講じることによって、法制審議会の提言をさらに発展させることを奨励する。

提言の概要

・ クロスボーダーによる株式交換: クロスボーダーによる株式交換を認め、促進する。

・ 資本構成の柔軟性: キャッシュマージャーを認める。現物出資に関する裁判所の監督手続きを改正する。ストックオプションの限度枠、付与対象者に関する規制を撤廃する。新たに付与されたストックオプション、および議決権なき種類の株式の譲渡に関する規制を撤廃する。各クラスの株主に決められた一定数の取締役の選任を認める。

・ 企業統治: 株式公開企業に、監査役制度の代わりに執行委員会および社外取締役制度を採用する選択肢を与える。株式公開企業のみに義務的社外取締役制度を適用する。社外取締役の独立性を確保する。株主に対する経営者の説明責任を損なうことになる株主代表訴訟制度の変更に反対する。電子的手段を使って株主総会手続きを行うことを認める。年金資金を運用する信託受託者の義務を強化する。財務諸表が企業の財政状況を正確に反映することを確保する。

・ 法定代理人: 企業のすべてに責任を負う法定代理人の任命を外国企業に義務づける提案に反対する。 ・ 商法改正プロセスへの一般の参加: 商法改正案の策定に際し、国際ビジネスおよび法曹関係者等に、意見を表明する意味ある機会を与える。

流通
 日本は、規制改革推進3か年計画で、「流通は、生産者と消費者を連結する場であり、消費生活の充実を図り、国民生活の質的向上を進める上で大きな役割を担っている」と述べている。米国政府は、同計画にうたわれている「消費者の利便性の向上や選択肢の拡大に寄与するとともに、流通業の効率化・高度化、一層の創意工夫の発揮が可能となるよう、自由な企業行動を阻害する規制を廃止するなど流通業に係る規制改革を推進する」という目標を称賛する。

 商品を、生産者から消費者に、迅速に安価な料金で配送することは、経済の効率性を測る重要な尺度となるばかりか、情報技術(IT)革命の恩恵を求める経済にとって極めて重要である。財務省は、「簡易申告制度」の序説で、「世界的な情報化の進展に伴う物流の効率化・迅速化を背景として、貿易円滑化を目指した税関手続の簡素化・迅速化についての貿易関係者の関心が高まっている」として、流通分野の改革促進の重要性を認めている。

 米国は日本に対し、簡易申告制度を引き続き近代化することを求める。商品や情報を迅速に配送することが求められてきたことによって、グローバル経済の円滑な発展に必要不可欠と考えられる数々の新規産業が生まれた。そのような産業の1つとして、近年急激な成長を遂げている宅配業が上げられる。宅配業者は、今日、国際的な事業展開や、商品や情報のタイムリーな流通に欠くことのできない手段となっている。米国は、日本がこれらの新規産業がもたらす経済的利益を全面的に享受するには、通関手続を近代化する必要があると確信する。

提言の概要

・ 簡易申告制度: 航空貨物を取り扱う輸入代理業者やインテグレーターが、簡易申告制度を広く利用できるような規制を採用する。

・ 貨物通関情報処理システム(NACCS): 現行の3年間という取り決めが終了した後、公正な料金体系が構築されるよう、Air-NACCSの利用者と引き続き意見交換を行う。

・ 課税最低価格:関税定率法に定められる課税最低価格を1万円から3万円に引き上げる。

 

詳 論
電気通信
I. 競争的事業者への規制緩和

 日本は支配的事業者への規制を改善するための重要な措置を取ったが、競合事業者への規制負担をなくすことは最近ほとんど行っていない。これらの負担は一般にOECD加盟国の中では最も重いものと認識されている。しかしながら、今年の「規制改革推進3か年計画」はこれらの問題にまさに焦点を当てている(つまり、規制の合理化とIT促進に関連する分野)。日本で事業を行うコストに大きく影響し、投資を抑制するこれらの問題に対処するため、米国は競合事業者のために総務省が以下の措置を取るよう提言する。

I-A. 政府の干渉なしに市場あるいは市場の一部における競争が利用者に利益を与えるように、また競争阻害の危険が最小限になるように、遺物的規制の適用を抑制するような政策を策定し、国会よりすべての必要な法的権限を得る。

I-B. 競争的な市場の各部には、第1種、第2種サービスに対し提供者からの申請を必要としない分類免許を設ける。

I-C.  公共に一般に提供されるサービスについては、約款認可義務をインターネット上における告示にし、総務省のすべての事前許可手続きを撤廃する。

I-D. 契約サービスについては、すべての許可、届け出義務を撤廃する。

I-E. 相互接続、委託およびその他の競合事業者間の事業取り決めについては、すべての許可、届け出義務を撤廃する。

I-F. 初期の免許取得については、詳細なコストの理由付け、経理の前提条件やサービスの一般的範囲やネットワークの説明を超えたネットワーク計画情報を提供する義務を撤廃する。

I-G. ネットワークの拡大については、すべての認可手続きを撤廃し、一般的な要約説明を求める届け出義務を制限する。

I-H. 第1種、第2種事業を併せて行っている会社については、統合された会社として境なしに事業を行えるように規制障壁を撤廃する(すなわち、利用者に対して第1種、第2種サービスを統合されたサービスとして提供できるようにすること)。

I-I. 事業者に対して、波長ベースのIRUを含めるIRUを使用できる第1種あるいは第2種事業者として操業できるようにする。

II. 規制の独立性

 ほとんどのOECD加盟国は、独立した規制当局が、電気通信サービスに競争的枠組みを提供し、利用者利益を拡大するために最も有効的な方法であると認識している。この分野における規制当局を総務省の下におくことにより、日本は規制機能が政治的干渉に不当にさらされる環境を作ってしまった。この問題は、総務省が、実施されればこの分野に重要な競争的影響を与えうる大規模な産業政策プログラムを追求するという事実に関連する潜在的な利害衝突により悪化している。電気通信紛争処理委員会の創設は前進ではあるものの、米国は現在の規制改革項目から真に独立した規制機関の創設の検討が除外されたことに失望している。これにかんがみ、米国政府は、日本が規制の独立性を強化するために以下の措置を実施することを提言する。

II-A. 独立した規制機関

II-A-1. 規制決定を不完全に妥協させうるその決定プロセスにおける不当な政治的関与を最小限にするため、その他のOECD加盟国に見られるように規制機能を産業振興を含む総務省のその他の機能から完全に分離させる。

II-A-2. NTT会社の政府保有株を完全に放出できるような法律を導入することにより、支配的事業者の株主と規制監督者という政府の役割の潜在的矛盾を排除し、これらの会社の事業決定におけるすべての直接的政府関与を取り除く。

II-A-3. 総務省への民間部門受け皿に関する安全策を強化することにより、個人の潜在的な利害衝突と総務省による官から民への雇用(天下り)を制限する。

II-B. 紛争処理委員会

II-B-1. 潜在的な違反行為を行っている会社に実質的、独立的に監査命令を出すことのできる権限と財政的措置を与えて、紛争処理委員会の力を強化する。

II-B-2. 差し止め救済措置や罰金刑の決定権限を与えることにより、紛争処理委員会の力を強化する。

II-B-3. 委員が総務省やNTTの影響なしに決定(すなわち、閉鎖的判決)を下せるような組織手続きを設ける。

II-B-4. 委員会の決定やそれらの決定の根拠の公表を義務付ける。

II-C. その他の措置

規制当局の決定を控訴できるような制度を整備する。

III. 支配的事業者規制および競争確保のための措置

 米国は、日本が2001年6月に電気通信事業法を改正し、市場において支配的な地位にある事業者へのより明確なルールと、より具体的な義務を示す強化された非対称規制を採用したことを歓迎する。米国は、総務省がそれらの規制を以下の観点から積極的に執行することを提言する。

III-A. リモート・ターミナルや光ファイバーケーブルなどの先進施設のアンバンドル化

III-B. 電柱、かん路、とう道、線路敷設権への非差別的なアクセス

III-C. 相互接続のためのオペレーション・サポート・システム(OSS)への非差別的なアクセスおよびアンバンドル化されたネットワーク要素へのアクセス

III-D. 支配的な供給者の約款提出義務と価格設定乱用の評価手段(例えばインプテーション・テスト)

III-E. 発信サービスの差別的価格設定(例えばテレホーダイ)を排除するガイドライン

III-F. 無線着信料金がコストベースであることを保証する手段

III-G. 付加価値サービスの提供において支配的事業者がその地位を乱用しないことを保証する関係分離要件の導入(例えば、NTT東西がインターネットサービス市場に参入した場合)

III-H. 支配的事業者が、規制を受けていないサービスを補てんするために規制を受けているサービスからの収入を利用することがないよう会計上および報告上の義務付け(例えば、関係会社との分離取り引きルール)

III-I. 報告義務を含め、競争関係実施測定基準および基準不履行への金銭的罰則。このような基準は、競合事業者が必要なすべてのネットワークおよび施設の提供、サービスの質および修理や保守において支配的事業者が自分自身あるいはその関係会社への扱いと競合者への扱いに差別のないようにするためのものである。

IV. 相互接続

 2001年度、米国は日本が「規制緩和と競争政策における強化されたイニシアティブ」の下の第3回共同報告に含まれている措置に沿う形で料金の引き下げを行う相互接続に関する改正省令を履行することを期待する。

IV-A. NTTは、ISDN回線上の発信、着信に課している接続料金の廃止を保証する。

IV-B. 利用ベースの接続料金からノン・トラフィック・センシティブ・コストを取り除く。

IV-C. NTTの地域会社が申し込みの6カ月以内に接続を提供するよう義務付け、そうしない場合は罰金を課すようにする。また、主要なネットワークの修正の必要がない限りは、「割増料金」をとらない。また、改造費の明細を項目別に出して、これを独立して点検できるようにすることを義務付ける。

IV-D. NTTドコモのネットワークへ着信する通話料金について、競合事業者がその契約者への小売料金を設定できる権利を保証する。

IV-E. NTTの地域会社にNTTの顧客が現在利用できるすべてのサービスを相互接続で基本機能としている機能リストに含むことを義務付ける。特に、NTT東西には緊急サービス(110等)を約款料金で競合事業者に提供することを義務付ける。「付加価値」料金が正当であるとNTTが独立機関に証明できるサービスに関しては、これらのサービスを卸売料金で競合事業者に提供することをNTTに義務付ける。

V. 線路敷設権と既存事業者設備へのアクセス

 米国政府は、日本がNTTが保有し管理するすべての電柱、かん路、とう道、屋内配線および線路敷設権をNTTが透明、公平で迅速かつコストベースのアクセスを提供することを義務付ける統一された規則を2001年中に作り、2001年度中に日本政府全体として実施することを提言する。

V-A. NTTに対し、その管理する施設についてのすべての必要な情報を速やかに入手可能にし、他の事業者のそれら施設への立ち入りを許可するよう義務付ける。

V-B. アクセス、工事および利用の料金、条件は、他の事業者とNTT自身のサービスとの間で適正でコスト・ベースの差別的でないものにすることを保証する。総務省は契約が公平であることを保証するために料金の計算方法の公表を義務付けることを検討する。

V-C. 調査や施設改修の回収コストや負担の分担に関する明確なルールを作る。

V-D. 調査、工事、敷設は特定の時間枠の中で公平に行われることを義務付ける。

V-E. 競合事業者がNTTの施設内に競合事業者自身の施設(自身のあるいはリースした光ファイバーケーブルを含む)を敷設し、保守することを許可する。

V-F. これらの要件は迅速な苦情処理手続きを条件とすることを保証する。

V-G. 2001年末までの優先措置として、米国政府は、日本政府が以下の措置を取ることを提言する。 V-G-1. 総務省が課している相互接続の義務を、NTTのネットワークの特定部分(すなわち、交換機から一番近いマンホールまで)からファイバー・ループや利用者の家屋へつながっている、かん路および、とう道を含めたその他のボトルネック施設まで拡大する。 V-G-2. 競合事業者にケーブルのための電柱の有効利用を禁止している「30センチメートル」ルールを廃止する。 V-G-3. 国土交通省の冬から春にかけての道路掘削の禁止を解く。 V-G-4. 特定の道路の掘削に関して、5年から7年の間隔をおかなければならいという義務をなくす。 V-G-5. とう道やトンネルの設置とは別に、ケーブルの埋設も明確に許可する。 V-G-6. 上記AからFの項目を速やかに電力会社、公共事業、鉄道会社および高速道路事業者に適用することを検討する。

VI. 再販・アンバンドリング

 米国政府は2001年度に総務省が以下の措置を取ることを提言する。

VI-A. 独占されているすべての卸売サービス製品(専用線、番号案内等)に関して、NTTに約款ベースの卸売料金で提供することを義務付ける。

VI-B. NTTに長期増分費用方式(LRIC)価格で以下の競争が不十分な部分へのアクセス提供を義務付ける。

VI-B-1. 指定電気通信事業者の保有する高容量回線、構成要素(sub-loops)、ダーク・ファイバおよび屋内配線加入者回線

VI-B-2. ダークファイバを含む中継伝送設備あるいは伝送

VI-B-3. アンバンドルされた回線、多重化装置・集線装置、専用伝送路を組み合わせることを含むエンハンスト・エクステンデッド・リンク(EEL)

VI-B-4. 競合事業者が経済的に実行可能なすべての委任サービス(緊急サービス、番号案内等)

VII. コロケーション

 DSLやその他の高速データサービスのサービス拡大を促進するため、米国政府は総務省がNTTが以下の措置を取るよう保証することを提言する。

VII-A. NTTのグループ会社と同額の料金を競合事業者に課す。

VII-B. 料金の根拠を規制当局およびすべての関係事業者に示す。

VII-C. 申し込みを受けた日から決められた期間内に工事を開始する。

VII-D. 他の事業者にその設備を自ら保守することを認める。

VII-E. コロケーション整備を通じてアクセスできたサービスや施設のオペレーション・サポート・システム(OSS)[発注、供給、保守、修理、費用の請求、アクセス]へのアクセスを事業者に確保する。

VIII. 透明性

 米国は、総務省が規制措置に関する透明度とアクセス度をさらに高めるため、以下の措置を取ることを提言する。

VIII-A. すべての規制決定および情報通信六法の電子版をホームページに載せる。

VIII-B. パブリック・コメントの電子メールでの提出やNTT東西とのすべての事業者の相互接続合意を含め、すべてのコメント、約款、免許およびその他の公的情報に、オンラインでアクセスできるようにする。

VIII-C. 提案された規則に対するコメントの提出には少なくとも30日間、可能であれば最大60日間の期間を与える。

IX. ユニバーサル・サービス

 米国政府は、生じたコストやNTTの受ける絶対的利益に関するさらなる詳細な分析を基に、日本が基本的音声サービスへのユニバーサル・サービス補助金プログラムの必要性を徹底的に検討することを提言する。もし基本的音声サービスへのユニバーサル・サービス補助金プログラムが完全に正当化された場合、米国政府は以下の事項を提言する。

IX-A. 都道府県単位でコストが基本的音声サービスをLRICで算定するものより実質的マージン分を超えた場合のみ補助金を利用可能とする。

IX-B. 既存事業者のコストはその既存性、全国における存在性により優位(営業優位性、また、利益性のあるオプショナルサービスへのプラットホームを管理等)である分を差し引く。

IX-C. NTT東西の6000万もの契約者から徴収されている一回線7万2000円の設置負担金は分析の根拠を形成するネットワークコストから差し引く。

X.ICAIS

 米国政府は、総務省が経済産業省とともに、バックホール・コストおよび地域通信サービスプロバイダーの選択制限などの国内入力情報がユーザーコストを高めている、特に独占的環境における主要なボトルネックを明確にすることで、インターネットの課金整備をいかに国際的な競争強化にゆだねるかの分析を、主導的に進めていくことを提言する。

情報技術(IT)
I. 法的枠組み

 インターネットと電子商取引の使用が、経済成長を促進し、刺激するよう、デジタル時代にふさわしい法的枠組みの設立および強化が必要である。米国は、日本政府が、特に以下の措置を講じることを求める。

I-A. 消費者信用、医療、およびその他の分野における電子取引を可能にするため、対面主義、書面主義日本における店舗設置や、その他、電子商取引を妨げる要件を課す現在の法律や規制を引き続き見直し、修正を加える。

I-B. インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)、ウェブ・ホスティング会社, 権利保有者および消費者の利益のバランスを適切に配慮したサービス・プロバイダーの法的責任に関する明確なルールを制定し、施行する。これらのルールは、事業者が知り得る、また制御し得る範囲外の活動に関しては責任を負わされないように保護しなければならない。同時にこのルールは、奨励制度や義務付けを活用し、サービス・プロバイダーが迅速に著作権侵害などの違法な活動内容を取り除き、権利保有者を十分に保護し、さらに、権利侵害に対する適切な救済方法を規定するものでなくてはならない。

I-C. 日本の法律下で一時的複製がなされないよう明確な保護を確実にし、そのために必要な措置を講じ世界知的所有権機関(WIPO)実演・レコード条約を早急に批准し、また来るべきデジタル時代の難題に立ち向かえるよう、改正する必要のある他の知的財産権に関する法律を見直すことにより、インターネット上の知的財産権の保護を強化する。

I-D. 新しいITに基づいたビジネスモデルが確立され、順調に運用されるよう、国内外の民間企業と合同で必要に応じて法的・規制的な枠組みの見直しと調整を行う。

I-E. 現在、日本の公正取引委員会によって検討されている、ソフトウエア認可に関する「特許・ノウハウライセンス契約に関する独占禁止法上の指針」を国内外の関係組織が見直し、意見を述べる機会が与えられるよう保証する。

II. プライバシーおよび消費者の保護

II-A. プライバシー 日本の国会が現在、プライバシーに関する法律を審議していることを承知した上で新法によって求められる、施行のための法令やその他の施策を打ち出すために、米国政府は、日本政府がパブリック・コメント手続きを十分に生かし、最短で30日、可能であれば最大60日間、コメント募集期間を設けることを求める。また米国は、日本がプライバシーに関する自主規制的枠組みを支持するための方策を実施し、民間企業が、個人のプライバシーを不当に侵害しないような認証システムの開発を促進するよう提案する。

II-B. 消費者の保護 オンライン取引において高水準の消費者の信用を維持するため、日本政府が、民間企業による消費者保護と、消費者の論争を解決するための自主規制的制度(裁判外紛争解決などのさらになる利用を含む)の開発を促進する手段を取るよう、米国政府は提案する。

III. 電子商取引の促進

III-A. 電子署名 米国政府は、日本政府が電子署名および認証業務に関する法律を実施するにあたり、新法およびその実施内容が技術的に中立であり、政府による認証機関の認可を必要としないことを明確にするための手段を取ることを要望する。米国政府は、日本政府が以下の措置を講じることを強く求める。

III-A-1. 取引の当事者によるあらゆる形態の電子署名の使用が認められ、それらが日本の法廷において証拠として提出できるよう保証する。 III-A-2. B to B(事業者間) の取り引きを行う当事者は、民間の協定に基づいて、認証に最適な技術・ビジネスモデルを選択する自由があり、それらの契約が法的に効力を持つことを承認する。

III-B. インターネット経由の支払いシステム 日米両国政府が、各自の対処方法がオンライン取り引きにおける支払いを妨害するのではなく、促進するものであることを確実にするために、インターネット経由の支払いシステムに関して、標準、規制、透明性、国境を越えた支払い、詐欺やその他の問題に対処するための協力について対話することを、米国政府は提案する。

IV. 電子政府

 米国は、日本のITに基づいた政府、国民および企業間の相互伝達手段を促進しようとする計画を歓迎し、電子政府が以下の項目を確実にするために、日本が必要な手段を取るよう要望する。

IV-A. 教育目的のIT関連商品やサービスを含むIT調達において、中央政府レベルのみならず、県や地方自治体などでも開放的で透明度の高い競争を促進する。

IV-B. 公共事業を含む調達の過程において、入札者と調達機関の活動がオンラインで行なわれることを促進する。

IV-C. 知的財産権を尊重し、ソフトウェア資産管理システムを構築することにより、アジア太平洋経済協力会議(APEC)においてリーダーシップを発揮する。

協調のための要望事項

V. 電子教育

 米国は、日本の教育システム全体にパソコンを利用したインターネットの使用を導入し拡大しようとするe-Japan計画を補完することになる「電子学習」体制を日米両政府が対話し、まとめることを提案する。

VI. 民間におけるITと電子商取引の利用の促進

 企業の大きさにかかわらず、能率と収益性の向上、および地球規模の市場に参加するための手段として、企業がITや電子商取引を利用することを、日米両政府が共同で十分に支持するよう、米国は提案する。オンライン取引をするために必要な基本的な設備を確保し、ビジネスにおける機会の増加を促進するために、日本政府が民間部門、特に起業会社や中小企業と共に協力することを、米国は要望する。

VII. ネットワーク・セキュリティー

 電子商取引の成長にとって極めて重要な、インターネットの統合性を保護するための国際協力について、米国は日本との協力を求める。例えば日本と米国は、1992年の経済協力開発機構(OECD)の情報システムのセキュリティーに関するガイドラインの見直しを、共同で行うことができる。米国はまた、法律の執行や国家安全保障にとって重要な手段である欧州評議会「サイバー犯罪条約」を日本が支持することを強く要望する。

エネルギー
I. 独立した規制機関の設置

 米政府はこれまで、日本の電気・ガス業界に関する経済産業省の独立した規制権限を強化するための明確な規定を持つことを提言してきた。日本政府は、「関連する重要条項」を設定して、経済産業省の電気市場整備課とガス市場整備課がエネルギー分野の規制に関して(十分な職員を配置することなどを含み)独立した規制権限を持つことを確実にしようと決意をしている。これを支持するため、米国政府は、独立性を確保し高めるために現行および経済産業省が将来策定する規定を、経済産業省が明確にし、公表することを奨励する。

II. 規制改革プロセスと競争政策

II-A. 明確な政策目標設定 米国政府は日本政府に対して、エネルギー分野の規制改革プロセスの目標を設定し、日本の電力・ガス分野で採用する予定の市場構造形式(例えば、プール制、独立システム・オペレーター制など)を明確に定義するよう提言する。米国政府は、さらに以下の点も日本政府に提言する。

II-A-1. こうした目標達成と計画どおりの市場の確立のための、さらなる政策実施に明確な期限を設定する。

II-A-2. 日本政府が予定した電力・ガス市場自由化のプロセスを、明確で具体的な評価基準、検討に至るまでの監視経過の予定表とともに検討する。

II-B. 競争政策のセーフガード エネルギー分野の自由化が、独占禁止法(独禁法)や関連ガイドラインの厳しい適用を含め、自由競争の促進に沿って進むことを確実にするため、米国政府は以下を提言する。

II-B-1. 経済産業省と公正取引委員会(公取委)は、「電力の適正取引に関する通産省・公取委の共同政策」と「ガスの適正取引に関する通産省・公取委の共同政策」の解釈を明らかにし、すべての市場参加者に対し明白な規制情報を提供するために協力する。

II-B-2. 公取委は、新しく設立されたIT・公益事業タスクフォースが電力・ガス分野における業務行為を積極的に監視、調査し、反競争的な行為に対しては適切な措置を取ることを確実にする。

II-B-3. 経済産業省と公取委は、独禁法適用に関する助言要請に対する回答を速やかに公表する。

II-C. 審議会との交流  市場の予測性を高め、投資環境の安定を促すため、米国政府は経済産業省に、現在そして将来の市場参加者すべてが、日本のエネルギー自由化プロセスを検討している種々の審議会の審議へ、公式な参加あるいは非公式の方法で、情報や意見を提供できる機会を確実に設けることを求める。さらにに、米国政府は、そのような審議会による推薦案の内容はすべて公表し、パブリック・コメント用に開示することを提言する。

II-D. ルール作りのプロセス エネルギー分野に関わる政策やその他の方策の決定に、関係者が参加する機会を最大限にするため、米国政府は日本政府に対して、以下の提言をする。

II-D-1. すべてのパブリック・コメントの募集は、官報など通じて発表する。

II-D-2 パブリック・コメントは最短でも30日、できる限り最長60日の募集期間とする。ただし、緊急の場合は2週間もありうる。

III. 電力分野

 電力の競争市場は、日本が目指している効率の向上と電気コスト削減を促進する。この目的の達成のためには、法律・規制の枠組みを改革して、託送・配電網へのオープンで非差別的なアクセスを強化し、価格と情報に関する透明性を高め、電力インフラ設備の拡充と市場参入を促すことが必要である。

III-A. アクセスと透明性 新規参入者からの託送サービス要請の透明で公正な取り扱いを促進するために経済産業省が取った最初の措置は有用であったが、送電網へのアクセスと新規参入者への情報を促進するという面では十分ではなかった。米国政府は、経済産業省に対して、以下の事項の実施を含む、競争的電力市場の基礎的要素づくりに向け必要な次の段階の措置を取ることを提言する。

III-A-1. 関係するすべての発電事業者が、託送サービスに平等にアクセスできることを確実にするための追加措置を取ることで、つまり日本の電力会社が最も安価な電力供給者から発電サービスを購入できるような経済的インセンティブを与えることで、発電事業をを託送・配電、その他の事業から分離する。

III-A-2. 競争関係にある電力小売業者すべてが、必要なサービスに平等にアクセスできることを確実にするためのさらなる措置を取ることで、つまり日本の消費者が最も安価な電力供給者から発電サービスを購入できるようにすることで、小売サービス事業を託送・配電、その他の事業から分離する。

III-A-3. すべての市場参加者に、透明性のある託送設備への接続料金体系を提供する。

III-A-4. リアルタイムで電力ネットワークの使用状況に関する情報を公開するためのガイドラインを設定し実施する。

III-A-5. ロードバランスやロードフォローなどのような託送補助ネットワークサービス(例えばアンシラリー・サービスなど)の価格設定と規定に関するガイドラインを設定し実施する。

III-A-6. 電力ネットワークの実質使用状況(供給契約制限の見直し独占サービスと競争的サービスの差別を含む)を反映するために、託送サービスの契約条件を明確にし、さらなる柔軟性を持たせる。このことは、システムへの信頼性向上につながる。

III-A-7. 託送サービスの価格と使用可能状況に関する情報を公開するためのガイドラインを設定し実施する。 III-A-8. (競争性を損なわない範囲で)会計の透明性を向上させるような方策を実施する。

III-B. 送電インフラ設備の新規建設 電力インフラ設備の拡充は、既存設備への信頼性を高め、新規参入を促すために必要である。従って、米国政府は経済産業省に対して以下を提言する。

III-B-1. 送電設備の新規建設の必要性を必ずモニターすることとし、その必要性を決定するためのガイドラインを設定する。

III-B-2. こうしたガイドラインに基き、経済産業省の管轄内で、電力サービス地域間の新規送電線の建設を促進するインセンティブをつくり出す。

III-C. 競争力のある発電所の新規建設 経済産業省によるこれまでの新規参入促進の努力が大きな成果をあげていないことから、電力市場への新しい参入を促進するため、米国政府は経済産業省が以下のような措置を取るよう提言する。

III-C-1. 2001年度末までに、新規の発電設備および送電線サイト建設に関する現行の規制要件を、公開されているこれら要件のアセスメントとともに検討し、経済産業省の管轄内で簡略化の可能性を検討するための人員を補充する。

III-C-2. 2002年度中に予定されている電源開発株式会社の売却と民営化に関しては、電力分野での競争を促進し、すべての市場参加者に電源開発株式会社の資産を購入する平等な機会が与えられるよう具体的計画を設定し、期限を設ける。

IV. 天然ガス分野

 日本政府は、環境にもたらす恩恵とエネルギー保障上の恩恵という観点から、電力源としての天然ガスの割合を増加させる計画を発表している。経済産業省は、天然ガス供給の規制改革こそ、これらの恩恵に浴し、電力供給の規制改革の成功のために不可欠のものであることを承知している。最近の不安定な国際情勢を考えると、日本自身のエネルギー保障はガス輸送やLNGターミナルや時宜を得たインフラ設備拡充に当然関連する。従って米国政府は、日本がLNGターミナル施設やガス・パイプラインへの開かれた非差別的なアクセス、ガス輸送サービスに関する透明性の高い価格設定、そして需要の増加に応じて新たなパイプラインやターミナル施設を建設するためのインセンティブを促進することを提言する。さらに、日本がエネルギー源の多様化のために天然ガスの使用量を増やすという目標を達成し、それに伴う効率の向上と価格の低下という恩恵を受けることを確実にするため、米国政府は日本政府に対して、電気分野の規制改革と平行して、しかも電気分野の規制改革を妨害しないように、天然ガス分野の規制改革を確実に進めるための手段を講じることを提言する。

IV-A. アクセスと透明性 経済産業省によるガス分野での輸送価格設定やアクセスの公正さと透明性の向上努力は、電気分野ほど効果的であったとはいえない。従って、米国政府は、経済産業省が競争力のあるガスとLNG市場を推進するため、以下の措置を講じることを提言する。

IV-A-1. 競争関係にあるすべての供給者がパイプラインとLNGターミナルの価格と使用可能状況に関する情報に平等にアクセスできることを確実にする、さらなる措置を講じることで、ガス輸送事業をマーケティングやその他の事業から分離する。

IV-A-2. 2001年1月に経済産業省が設立したガス市場の自由化プロセス評価のための「ガス市場整備基本問題研究会」に対し、話し合われた内容、結果、ガス市場自由化のための提言を含む最新の研究結果を、2001年度末までに公開するよう指示する。

IV-A-3. ガス市場参加者すべてに対して、透明性のあるパイプラインやLNG設備の使用料金体系を提供する。

IV-A-4. パイプライン・ネットワークやLNGターミナルやの使用状況に関する情報を公開するためのガイドラインを設定し実施する。

IV-B. 輸送インフラ設備の新規建設 天然ガス利用の拡大という日本政府の目標を達成するため、米国政府は経済産業省に以下の提言をする。

IV-B-1. 新規のパイプラインとLNG設備の建設の必要性決定に関するガイドラインを設定する。

IV-B-2. これらのガイドラインに基づいて、経済産業省管轄の範囲内において、国内の主要なガス供給者のサービス地域間の新規パイプラインと、電力サービス地域間内の新規LNG設備の建設を促進するインセンティブをつくり出す。

IV-C. 競争力のあるガス供給者の新規参入 電力・ガス供給者の日本市場への新規参入を確実にするためには輸送設備のインフラ拡充が必要である。新規のパイプライン、LNG設備のサイトに関する主要な規制要件リストが発表されたことを受け、米国政府は経済産業省に対し、2001年度末までに、このリストを使い、これらの要件と経済産業省の管轄範囲での施策の簡素化への可能性のアセスメントを行い公開することを提言する。

医療機器・医薬品
I. 医療制度改革

 米国政府は日本が医療制度を改善するための手段として市場競争原理の導入と構造改革の遂行に焦点を定めていることを歓迎する。そのようなアプローチは、質の高い医療の提供と革新的で費用効率の高い医薬品・医療機器の開発を促すために重要である。米国政府は、特に、総合規制改革会議の以下の提案を支持する。 I-A. 一般への医療情報開示の水準を向上させる。これに、医療機関による広告のさらなる自由化と医薬品・医療機器に関する消費者への直接広告を含めることを提案する。

I-B. 例えば、電子決済などのITの利用拡大を含む、レセプト審査や支払い事務の効率を向させる。

I-C. 医療機関経営の規制改革等を含む医療機関の効率性を近代化し改善する。

I-D. 民間企業による看護施設の設立と運営を促進する。

II. 医療機器・医薬品の価格算定改革

 総合規制改革会議が特に留意している「医療資機材の内外価格差問題の解消」については多大な懸念が生じる。このような提案は差別的な政策の採用(例えば、海外製品の価格をし意的に下げる外国価格参照調整)を意味する。医療機器・医薬品は医療費を押し上げている要因ではない。実際に,革新的な医療機器・医薬品の入手可能を早めて幅広く使用することは、医療の質と効率を向上させ、総合的な医療費を大幅に抑制することになる。そのような製品の導入が促進され、時宜を得た「適切な価格」が受けられることが確保されるために米国政府は、日本に対し以下の措置を取ることを求める。

II-A. 新医療用具が2年に1回以上の頻度で患者に提供されるように、新医療用具(C1、C2)の迅速な審査と償還区分や償還価格の設立を規定する透明な書面によるルール作りを推し進める。

II-B. 医療機器が革新的な製品の価値を下げる恣意的な価格調整の方法(例えば、外国価格参照調整)の対象とならないことを保証する。

II-C. 薬価算定ルール(例えば、原価計算方法など)が革新的な医薬品の価値を下げる目的で変更されないことを保証する。

II-D. 薬価算定ルール(例えば、類似薬効比較方式、オリンピックルール、補正加算や再算定等)を改革し革新性を適正に評価するために「市場の役割を認める」大胆な方策を策定する。

II-E. この分野での価格改革を行っている政府機関や審議会に対して意見を発表する「意味のある機会」が米国の医薬品・医療機器業界に対してさらに与えられ、その意見が「真剣に検討」されることを確保する。

III. 医療機器・医薬品の薬事規制改革

 この数年、厚生労働省は、医療機器・医薬品の薬事承認を迅速化するための重要な措置を取っており、また今後も取り続けていくであろう。それでもなお、いくつかの重要な製品は、いまだに日本に導入されていない。薬事規制改革と国際調和のさらなる促進が日本の患者に新たな医療を提供することとなる。また、それは日本の臨床治験制度における資源を開放し、他の主要国で現在開発が進められている革新的な治療の開発への日本の参加を促す。

III-A. 米国政府は、医療機器・医薬品の承認過程の一貫性と迅速性を改善するために日本に対して以下の措置を取ることを求める。

III-A-1. 現在の新薬承認制度の中に、「レガシープロダクト」(日本では承認されていないが、地域的にまた、多様な人種に幅広く使用され、他の主要国で使われている医薬品)審査に対する特例を設ける。

III-A-2. 優先審査過程の基準をより明確にし、医薬品の迅速な開発のための手順を設ける。

III-A-3. 治験を行う治験調査員に金銭の受領を認める。

III-A-4. 「実質的同等性」の概念を念頭において医療機器の申請区分(同一医療用具の定義を含む)を明確にする。

III-B. 薬事法改定、特に製造工程・品質管理の要件に関する改定が製造業者の提出負担を招かないようにまた、技術的・非技術的な貿易障壁とならないようにし、規制の具体的改善となることを確保する。米国政府は、そのような改定が一般的な国際基準に沿ったものであり、すべての関係者が提案された改定に対して意見を述べたり、新たな代替案の提案をする「意味のある機会」が与えられ、それらが「真剣に検討」されることを強く求める(例えば、品質管理の要件が査察により、独自の基準でなくISO13485の基準を満たしていれば現在のGMPIの要件を免除する)。

IV. 外国の臨床試験データの受け入れ

 薬事承認への外国臨床試験データの幅広い受け入れが、革新的な医薬品をより早く日本の患者が利用するための鍵である。そして、それは日本の臨床治験制度の資源を開放し、他の主要国で現在開発が進められている革新的な治療の開発への日本の参加を促す。

IV-A. 米国政府は、厚生労働省にICH-E5ガイドライン遂行に係わる事項を解決するため引き続きICHのプロセスの枠内で以下の事項を含む誠実な努力を続けることを促す。

IV-A-1. 民族感受性評価に最適な3つの人種グループは、アジア人、黒人、白人であることを確認し、一方的な人種区別をなくす。

IV-A-2. 民族感受性評価はデータの臨床適切性であることを保証する。

IV-A-3. ブリッジングスタディーの要求の透明性や一貫性を保証するためにブリッジング正当性概念の導入を検討する。

IV-B. 米国政府は、厚生労働省に以下の措置を取ることを求める。

IV-B-1. 医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構(OPSR)が業界と相談を行う際に国際的な科学基準の使用を拡大することを促す。

IV-B-2. 相談により取り決められた事項について、OPSRと医薬品医療機器審査センターの間で完全な調整がなされていることを保証する。

V. 栄養補助食品自由化

 米国政府は、日本に栄養補助食品販売の規制緩和を続け、ハーブを含め適切なラベル表示のできる製品群を増やすことを求める。

金融サービス
I. 個別措置

 米国は、以下の分野における規制撤廃・緩和が可能な限り早期に実施されることを歓迎する。

I-A. 郵便金融機関(郵貯ならびに簡保)による投資顧問会社サービスの利用を解禁し、 運用機関の変更時に運用資産を現金化する義務のない国内信託の枠組み(特定信託)を導入する。

I-B. 事業主が、当局への通知のみで、さらなる審査・認可を経ることなく確定拠出年金運用プランを採用できるよう、同年金運用プランのプロバイダーが、審査・認可のために、ひな型(プロトタイプ)となるプランを提出することを認める。

I-C. 私募利付き債、ならびに証券投資信託の現物証券の発行を必要とする規制を撤廃する。

I-D. 証券投資信託の設計において、 柔軟性と効率性を高めるため、 証券投資信託における非均等受益権(マルチクラス・シェア)を解禁する。

I-E. 投資家保護のため、すべての証券投資信託の完全な時価評価を義務付ける。

I-F. 貸金業規制法の対象となる貸金業者も、 同意した顧客に対しては、書面の交付を電子的手段で行えるようIT書面一括法を改正する。

I-G. 金融機関に対する現行の報告・書類保管義務を見直すため、民間の金融サービス事業者と緊密に協議し、重複または類似する開示・報告義務を修正・撤廃する。 金融機関が記録保管を電子的手段で行うことを許可し、可能であれば、報告の交付・申請も電子的手段で行うことを認める。

II. 透明性

 金融分野での規制・監督慣行の透明性を改善するため、米国は以下の措置が可能な限り早期に実施されることを歓迎する。

II-A. 米国は、新たに誕生した確定拠出型年金業界が大きく発展することを支援するため以下のことを要望する。 II-A-1. 日本政府が、厚生労働省と金融庁との間で、両者の責任分担を機能別に明確にし、統合された規制体系を導入する。

II-B. 特殊法人等の事業を詳細に見直し、 民間企業との競合を回避するという公表された目標に整合するよう、 米国は、郵便金融機関(郵貯ならびに簡保)に対する新たな金融サービス事業案はすべて、導入前に完全に公示されパブリック・コメントおよび検討の対象となるよう要望する。

II-C. 自主規制、投資家保護、その他の公共政策面での役割を有する業界団体の運営と意思決定は、透明でかつ開かれた方法で行われるべきである。具体的には、米国は、以下の提言を行う。

II-C-1. 業界団体の規則制定案にパブリック・コメント手続きを取り入れるべきである。業界団体の会員に関する規則の最終的な取りまとめに際しては、一般から受け取ったコメントは真剣に検討されるべきである。

II-C-2. 規則、監督基準等のガイダンス、 運営規則・手続き、市場調査、 その他の統計表を含む文書類は、 適正な制作・複製費用で一般に入手可能にすべきである。

II-D. 自主規制機関を補うため、米国は、日本の金融当局が、個別企業の見解や専門性を代表する民間の金融業界団体と協力することを要望する。

競争政策
I.公取委の独立性と職員数

 公正取引委員会(公取委)が、効果的な官庁、つまり、基本的な任務を遂行しうる能力を持つためには、表面的だけではなく、実質的に真の独立性を確保しなければならない。 独禁法の執行のためにも、経済全体における競争の促進のためにも、公取委は十分な人的資源を持たなければならない。 米国は日本に対し以下のことを提言する。

I-A. 公取委の組織としての位置付けを総務省の外局から内閣府に属する独立した官庁へ移管する。さらに、

I-B. 2002年度に69人増員するという公取委の要求の承認を含め、今後5年間において、公取委の職員数を大幅かつ着実に増やすことに努める。

II. 公取委の審査能力

 日本の経済と消費者に被害をもたらすような違法行為の摘発に成功するためには、公取委の審査・調査手段を最新の国際水準まで向上させる必要がある。特に、米国は日本に対して 以下の点を要請する。

II-A. 協力者に対する制裁減免措置

II-A-1. 違法行為を公取委に報告し、公取委の審査に全面的に協力する企業を、勧告や課徴金支払命令そして、あるいは刑事告発から除外する制裁減免制度を採用する意図があることを公取委は公表する。さらに、

II-A-2. 協力的企業を課徴金支払命令の対象から除外できるよう、公取委に権限を与える。

II-B. 刑事手続き

II-B-1. 国税庁に与えられているものと同様の、独禁法の刑事違反行為に対する捜査・調査権限を、公取委に与える。さらに、

II-B-2. 政府機関の他の犯罪に対する告発と同じ手続きになるように、独禁法の違反行為に対する刑事告発手続きを適正化する。

II-C. 審査の妨害 公取委の審査の妨害または不承諾に対する罰則を大幅に強化し、そのような行為に対して積極的に告発をするという新しい政策を公表する。

II-D. 情報技術と公益事業分野

II-D-1. 公取委に新設されたIT・公益事業タスクフォースが情報技術と公益事業分野での業務行為を積極的に監視し、精力的に審査するため、また反競争的と思われるような行為に対して執行するため、適切な職員の数と専門知識を確保する。さらに、

II-D-2. 積極的に産業界や学界などから外部の専門家を、IT・公益事業タスクフォースに期間を限定して採用することを真剣に検討する。

III. 独禁法執行行為の効果

 反競争的行為を排除し防止するには、独禁法に違反したと思われる企業に対し、厳しい経済的結果を課す必要がある。また、違反者が、そうした行為を終了させるだけではなく、繰り返すことがないように必要な行為を取らせるために、公取委と裁判所には柔軟で広範な権限が与えられる必要がある。その達成のため、米国は日本に対し以下の事項を提言する。

III-A. 課徴金支払命令

III-A-1. 下記の方法によって課徴金支払命令の違法行為における抑止効果を増大する。

III-A-1-a. 課徴金の対象となる事業活動の当該期間3年の上限を撤廃する。

III-A-1-b. 課徴金が、反競争的行為によって得られた利益をすべて吐き出させるためのものであることを確保するため、中小企業に適用される課徴金率を変更する。

III-A-1-c. 結果として厳しい困難がもたらされる場合には、課徴金の全額支払賦課を免れるように、公取委に権限を与える。(もし、上述の変更の実施に必要と判断されるなら)

III-A-2. 商品もしくは役務の対価に影響を及ぼすような行為である購買カルテル、私的独占、補足的入札なども含まれるよう 課徴金支払命令の範囲の拡大を図る。

III-B. 反競争的行為の排除 反競争的行為を排除し再発を防ぐための公取委の機能の強化を図るため、独禁法に基づき排除措置命令や他の排除措置の範囲と有効性を拡大する。特に、米国は以下の事項を日本へ提言する。

III-B-1. 公取委が違反行為の停止後1年以内に排除措置命令を下さなければならないという制限期間を大幅に延長する。

III-B-2. 国際的協定または国際的契約の禁止に関する規定(独禁法第6条)、または事業者団体の禁止行為に関する規定(独禁法第8条)等の独禁法の規定の違反となるすべての行為に対し、たとえすでに終了した違法行為であっても、排除措置命令を下す。

III-C. 民事的救済制度 公取委は、差止請求権制度が不当な取引制限(独禁法第3条)または事業者団体による違反行為(独禁法第8条)のすべてを含むように拡大されることをめざし、この制度を見直す。

IV.  談合の排除

 日本の政府機関による調達における談合のまん延は、資源を浪費する。特に、官僚自身が実際に談合行為を手助けしている場合は、日本政府は、競争原理を真に重要である思っているだろう国民一般の信頼を傷つける。この談合を排除するため、米国は日本に対し以下のことを提言する。

IV-A. 官製談合 政府の調達担当官による談合活動での共謀という問題を適切に処理するための法案を国会に提出する。それは、以下の措置を含む。

IV-A-1. 談合を手助けするような行為を止めさせ、そのような手助けならびに共謀行為の再発を防ぐ特定の措置を講ずるため、中央ならびに地方政府の調達機関に対し正式な勧告を出す権限を公取委に与える。

IV-A-2. 官製談合と思われる行為の審査を行い、談合を手助けする行為をした当該職員に対し、厳格な懲戒処分を調達機関に要求する。

IV-A-3. その任に適した職員に 官製談合の証拠を独立して審査し、懲戒処分の勧告などを行う監査人のような職権を与える。

IV-A-4. すべての特殊法人(認可法人・公益法人を含む)を公取委の勧告措置の対象とすると同時に、談合を手助けした職員に対する調査の義務や懲戒処分を課す義務の対象とする。

IV-B. 談合の防止と抑止

IV-B-1. 「公共工事の入札および契約の適正化の促進に関する法律」ならびに運用指針の特に談合を排除するという目的を実現するために、国土交通省は(財務省および総務省と共同で、または単独に)談合行為の防止と抑止のため、次のような措置を講じる。

IV-B-1-a. 2001年度末までに以下の内容が含まれる、ひな型マニュアルを作成し、発表する。

IV-B-1-a-i 談合行為の可能性を示す事実を公取委や地元の警察または検察に報告する調達機関の担当官が従うべき手続き。適切な情報を調達担当官から入手し、談合行為に関連する事実を公取委へ知らせる権利を有する1人または複数の職員の任命を含む。

IV-B-1-a-ii. 談合の疑いが持たれる事実をいかに見極めるかについての情報。

IV-B-1-a-iii. 調達機関がその職員の談合行為への関与を禁じる政策、ならびにそのような行為が発覚した場合、職員に対して取られる懲戒処分を明確にした文書。 IV-B-1-a-iv. 談合に関与したと疑われる企業の「指定停止」の実施の手続き。

IV-B-1-a-v. 談合により生じた過剰請求をした企業、ならびに個人に対する調達機関の損害賠償請求手続き。

IV-B-1-b. 違法な談合行為を防止し、談合の疑いが持たれる事実を公取委、地元の警察、または検察へ報告する手続き方法に関して、調達担当者を対象にした 定期的な教育と訓練のプログラムを設ける。

IV-B-1-c. すべての中央政府、準政府機関、地方政府が入札および契約の適正化の法律と運用指針に沿って取られた詳細な措置、および談合の処理における有効性の評価に関する年次報告書を作成することを確保する。

IV-B-2 中央政府、地方政府、準政府機関の公共事業の入札に対するすべての参加者について、入札価格についての話し合い、あるいは他の参加者と入札に関して情報交換をしていないことを示す証書の提出を義務付けるための談合禁止行政プログラムを導入する。虚偽の証書に対する適切な法的処罰あるいは行政処罰(指定の停止等)の制定は、このプログラムをより一層有効なものとする。

V. 競争と規制改革

 もしも日本の規制改革の達成に向ける努力がその経済の再活性化の成功のためであるなら、日本は非公式な行政指導や民間の規制強化により阻害されることのない 真の競争の促進を優先させなければならない。真に規制改革の成功を促進するため、米国は日本に以下の事項を提言する。

V-A. 反競争的行政指導と民間の規制強化の防止 公取委の追加的人的資源を最近、規制が撤廃・緩和された分野の監視に当て、政府の規制が反競争的行政指導や「民民規制」による民間規制強化によって取って代わられることがないようにする。

V-B. 規制産業における競争の促進

V-B-1 電力・ガスの分野に有効な競争を導入し、維持するため、公取委は経済産業省との共同作業をさらに進める。

V-B-2. 電気通信分野に有効な競争を導入し、維持するため、公取委と総務省との間のさらなる協力を奨励する。

V-B-3. 運輸交通の分野に有効な競争を導入し、維持するため、公取委と国土交通省の間の共同作業を促進する。

V-C. 規制改革 日本市場における規制の削減と競争の促進のために必要な措置を明確にするため、公取委と総合規制改革会議の共同作業を促進する。

V-D. 特殊法人の民営化 特殊法人(認可法人ならびに公益法人を含む)の構造改革と民営化が、競争を阻害することなく、むしろ強化するような方法で、達成されることを確保する。それには、公取委がそのような民営化や再編成の計画について、競争政策の観点から、取り組みを見直し助言を提供することをも含める。

V-E. 製造業者と流通業者の株式持ち合い 「高度寡占産業」における、製造業者と流通業者の間の財政的関係の範囲と形態について、公取委による審査を開始する。それには、株式の持ち合い、貸し付けの規定、他の資金源、社員、施設そして設備の共有も含まれることとする。

透明性およびその他の政府慣行
I. パブリック・コメント手続き

 1999年に日本が採用したパブリック・コメント手続きは、規制草案が最終決定され施行される前に、すべての利害関係者に、その草案を検討し意見を提出する機会を提供することによって、日本の規制制度の重大な欠陥を正すことを可能にした。しかしながら、パブリック・コメント制度の施行から2年が過ぎ、この制度の有効性に対して深刻な懸念が生じている。パブリック・コメント手続きの施行以後行われてきた総務省とその前身である総務庁のパブリック・コメントの実施状況調査は、この手続きの欠陥を指摘している。実施されたパブリック・コメントの大半が、意見募集期間を30日以下に設定していた。また、提出された意見は、規制の最終案にほとんど影響を与えていない。2000年度の調査によれば、提出された意見を反映して規制の最終案に修正が加えられたのは、パブリック・コメントの実施対象案件の20%以下にすぎなかった。しかし、これらの案件においても、加えられた修正は意味のあるものではなかった。この調査結果は、パブリック・コメント手続きが、本来の目的を果たしていないという広がりつつある見解を支持するものであり、(この手続きが導入される以前の慣行同様)政府機関は、規制草案を公表する前に、特定利益団体とその草案を策定していることを示唆している。これらの懸念に対処し、パブリック・コメント手続きを有益かつ効果的な規制メカニズムにするため、米国は、日本政府が以下の措置を講じることを要請する。

I-A. パブリック・コメント手続きの適用対象いかんにかかわらず、官報等にすべての意見募集案件をリストして掲載するセントラル・レジストリ(中央総合登録システム)を設立する。このセントラル・レジストリは、現在、政府機関によって採用されている意見募集の公告媒体に加えるものであり、審議会、研究会、勉強会およびその他の検討会による意見募集案件も掲載する。

I-B. 緊急を要する案件は意見募集期間を14日間とし、それ以外の案件は意見募集期間を30日間と義務付けまた、可能な限り60日間の募集期間を設定するよう奨励する。

I-C. 規制草案がパブリック・コメントにかけられる前に、政府機関が民間関係者と(審議会のプロセスの外で)その草案の問題点について非公式に相談することを禁止し、さもなくば、選択肢として、上記のようなコンタクトに関するすべての情報を政府機関が公開することを義務付ける。

I-D. 特定の案件に対するパブリック・コメント手続きの適用の有無に関する苦情を検証し、必要に応じて政府機関に対し改善措置を講じることを指示できる権限を裁判所あるいは独立監察機関に与える。

I-E. 特殊法人・認可法人・公益法人が規制措置を採用する際にも、パブリック・コメント手続きの適用(規制の設定または改廃にかかわる意見提出手続きの第1項 注釈7)が義務付けられるようパブリック・コメント手続きの適用対象範囲を拡大する。

I-F. パブリック・コメント手続きの有効性を検討し適切な提言を行う、日本および外国の民間部門の代表を含む研究会を設置する。

I-G. すべての事業者団体および法律に基づき設立されたその他の自主規制機関に対し、パブリック・コメント手続きの導入を義務付ける。

II. 行政指導

 行政手続法の透明性に関する規定があるにもかかわらず、行政指導が書面にて交付されるケースはほんのわずかである。米国は、日本政府に対し、日本の規制制度の透明性と予見可能性を改善するために、日米構造協議報告書に沿って以下の必要な措置を講ずることを提言する。

II-A. 行政指導の使用を削減する。

II-B. 狭義に定義された例外を除き、すべての行政指導の書面による交付を義務付ける。

III. 市民参加による法案策定

 一般に政府機関は、利害関係者に対して、彼らが審議会の委員であるか特別なアクセスを持つ場合を除き、法案の作成に関する意見を提出する機会を設けていない。米国は、日本政府に対し、政府機関が法案を国会に提出する前に、国内外のすべての利害関係者がその法案を検討し、コメントすることを可能にするメカニズムを構築することを提言する。

IV. 司法による行政措置の検証

 日本の裁判所が検証することのできる行政措置は狭義に定義されている。米国は、日本政府が、裁判所の検証対象となる行政措置の範囲、ならびに行政措置に対して司法検証を請求できる対象者の範囲を拡大して、司法の行政監視機能を強化することを提言する。

V. 特殊法人

 米国は、日本の特殊法人を民営化および再編するという小泉首相の意欲に注目している。米国もまた、この改革が積極的に推し進められれば、競争と効率の向上が促され、また資源のより生産的な活用をもたらすような重要な影響を日本経済に与えることになると考える。特殊法人改革にあたり、米国は、日本政府に対し、以下の措置を要請する。

V-A. 特殊法人の民営化および再編を透明な形で行う。

V-B. 特殊法人改革によって影響を受ける、あるいは影響を受ける可能性のある国内外の民間機関に対し、パブリック・コメント手続きの適用などを通して、意見を提出する機会を確保する。

VI. 規制インパクト分析

 日本の「規制改革推進3か年計画」と政策評価制度にかんがみ、米国は、日本政府に対し、以下の措置を盛り込んだ、政府全体を対象とする規制インパクト分析(RIA)制度を導入することを提案する。

VI-A. 経済的影響が大きいと考えられる規制変更案に対し、費用・便益分析(数量分析・非数量分析の双方)を実施する。

VI-B. 規制案を検討する際に、その時点において入手可能な最善の科学技術的・経済的データを使用する。

VI-C. 利害関係者や一般市民に、費用・便益分析やその分析の前提条件と方法論の妥当性について意見を述べる機会を与える。

VII. 郵便金融機関

 米国政府は、郵便金融機関(郵便貯金「郵貯」と簡易保険「簡保」)が日本の金融市場における事業の効率に与える影響に関して経団連やその他の組織が表明している懸念を共有する。郵政事業庁の郵政3事業(郵便、郵便貯金、簡易保険)が、2003年に郵政公社に移行することは、日本政府がこれら事業関連でカギとなる透明性と競争性について具体的なステップを取る重要な機会になる。

VII-A. 透明性 米国政府は、総務省が2003年に郵政3事業を郵政事業庁から郵政公社へ移行させる準備の一環として、「郵政事業の公社化に関する研究会」に民間の外資系企業の2名の代表者を含む等、透明性向上に向けて取っている措置を歓迎する。しかし、移行プロセスや移行に伴う民間部門への影響については依然として不明確である。この状況の改善措置として、米国政府は、総務省に対し、郵政公社移行におけるあらゆる面において、関連分野の民間(外国保険会社も含む)からのインプットを取り入れ、民間への情報提供を十分に行うことを要請する。これには、国内外の保険業界や民間金融サービス業者に、情報を提供し、コメントの機会を与え、また以下の事項には総務省の郵政職員と意見交換のできる意味ある機会を持つことも含まれる。

VII-A-1. 国会上程前の総務省の行政案や法案。 VII-A-2. 実施段階前のガイドライン案や他の規制措置に関して、パブリック・コメント手続きの最大限の活用。

VII-B. 拡大抑制 米国政府は日本に対し、2003年の郵政事業庁から郵政公社への移行の際、郵便金融機関(簡保と郵貯)による新規のいかなる保険商品の引き受けも、また元金無保証型商品の元売りも禁止することを提言する。

VII-C. 同一の規制基準 米国政府は、日本が2003年の郵政事業庁から郵政公社への移行の際、郵便金融機関と民間競争者との間での公正な競争環境の構築のため、郵便金融機関も民間と同一の規制基準を順守するようにする。

VII-D. 民営化 米国政府は、小泉首相が、民営化も含む郵政事業(金融サービス業も含む)の将来のあり方について提言を受けるために、首相の私的懇談会である「郵政3事業の在り方について考える会」を設立したことに注目している。現行制度のいかなる修正も、広い範囲で日本の保険業界での競争環境や効率的ビジネスに影響を与えるため、あらゆる決定や施行についてはこれをオープンで透明性のあるものにすることが重要である。これには、上記VII- Aに述べられている措置が含まれる。

法制度および法律サービスのインフラ改革
I. 法律サービス

I-A. 弁護士と外弁間の提携の自由化 日本の国際法律サービス分野における最も重大な構造的欠陥は、日本弁護士(弁護士)と外国法事務弁護士(外弁)の提携関係に課せられた厳格な制限である。米国は、日本政府に対して、弁護士と外弁間の提携の自由化に対するすべての禁止事項を撤廃するために必要なすべての措置を取ること、また対等の法務専門職として、弁護士と外弁が提携の形態を彼ら自身が決定することを認めることを強く要望する。改革の根幹をなす原則は、弁護士・外弁間および外弁相互による制限を設けない提携の自由化である。これは、他の先進国ではすでに認められている。さらに、米国が日本政府に対して要望するのは、追加的な変更が施された特定共同事業(合弁企業)制度のもとで試行錯誤することではなく、上記の要望にある完全な規制の撤廃である。特定共同事業制度は、創設されて以来6年が経過した現在においても、弁護士と外弁間の効果的なチーム・ワークに必要な枠組みを提供していない。

I-B. 外弁に課せられている規制の撤廃

I-B-1. 米国は日本政府に対して、外弁に課せられた差別的な規制を撤廃し、外弁と弁護士に対等の処遇を与えることを要望する。特に、米国が日本政府に対して検討を要望する規制条項は以下である。

I-B-1-a. 日本の弁護士による外国弁護士の雇用が認められているように、外弁による弁護士の雇用も認める。

I-B-1-b. 第三国法(日本あるいは当該外弁の登録国以外の国の法律)に関する法律的助言の提供に関して、外弁に課せられている差別的取り扱いを撤廃する。

I-B-2. 米国は日本政府に対して、外弁として登録するために必要な職務経験要件について、現行認められている1年のみではなく、外弁が日本で行った原資格国の法律に関する業務のすべての期間の算入を認めることを要望する。

I-B-3. 米国は日本政府に対して、弁護士と同様に外弁についても、彼らがいわゆる外弁法の規則を順守している限りにおいて、専門職法人、有限責任パートナー・シップ(LLP)および有限責任法人(LLC)を設立することを認める。

I-C. 外弁に係わる規制制度の改善

I-C-1. 米国は日本政府に対して、外弁に影響を与えるすべての法律および規則の制定とその実施に関して、日本弁護士連合会(日弁連)および委任地方弁護士会が、その検討プロセスに外弁が参加できるように効果的な機会の提供確保を提案する。

I-C-2. 米国は日本政府に対して、外弁資格に対する報告プロセスを迅速化、合理化することにより、外弁申請者が外弁として登録されるまでに要する時間を、不服申し立てに要する時間も含めて短縮することを提案する。

II. 法制度改革

II-A. 司法制度改革審議会による意見書の実施

II-A-1. 法曹人口の拡大 同審議会による最も重要な要望の1つは、日本における法曹人口の大幅な増加の必要性に関するものである。米国は日本政府に対して、早急に司法試験合格者を最低でも年に1500人に増加させること、また、合格者を年に3000人に増加させるための計画を策定することを強く要望する。

II-A-2. 仲裁法の改革 米国は法務省に対して、司法制度改革審議会の意見書に基づき、日本の仲裁法である「公示催告手続及ビ仲裁手続ニ関スル法律」の改革のための要望を策定する諮問委員会を設置することを強く要望する。

II-A-3. 民事訴訟の迅速化と効率化の拡大 米国は日本政府に対して、以下の司法制度改革審議会の意見書を速やかに実施することを要望する。

II-A-3-a. 民事訴訟の審理期間を半減する。

II-A-3-b. 裁判官、裁判所職員ならびに弁護士数を大幅に増加する。

II-A-3-c. 訴訟のための公判および提訴前の証拠収集手続きを簡素化する。

II-A-3-d. 東京・大阪両地方裁判所における知的財産権部の強化、そして、証人、代弁者、裁判所調査官のような専門家導入を通じて、知的財産権関係訴訟手続きを改善する。

II-A-4. 司法の行政機関に対する監視機能の強化 行政の法的説明責任義務の拡大は、行政活動における公平性や行政に対する信頼度を高める。米国は日本政府に対し、司法制度改革審議会の意見書に従い、行政事件訴訟法の見直しを含む、裁判所を通した行政機関の説明責任の促進のための方策に関する完全な見直しに着手することを要望する。

II-A-5. 民事訴訟における裁判費用の軽減 米国は日本政府に対して、裁判を行う価値のある事件の提訴が回避されることがないように、固定訴訟費用制度、あるいは大幅に軽減されたスライド費用制度を創設することを要望する。

II-B. 日本における司法制度の改善

II-B-1. 証拠収集手続きの改善 証拠収集手続きを改善するため、米国は日本に対して以下の措置を取ることを要望する。

II-B-1-a. 民事訴訟法第163条に基づく照会に対する不適切な対応に対しては制裁を科す。

II-B-1-b. 民事訴訟法第220条に規定されるいわゆる「自己使用」の例外を制限する。

II-B-1-c. 訴訟当事者による施設調査権を整備する。

II-B-2. 裁判審理における企業秘密保護の拡大 米国は日本政府に対して、公開審理の過程で企業秘密が公開される問題に対処するために包括的な解決策を講じることを要望する。企業秘密を含む証拠の「インカメラ」審理(非公開審理)を導入することも適切な方策となり得る。

II-B-3. 代理人・依頼人間の基本的権利の明確化 米国は日本に対して、明確かつ法的根拠に基づく代理人・依頼人間の基本的権利を制定し、このような原則を完全に尊重することを確保することを要望する。

II-B-4. 司法による救済の実効性の強化 米国は日本に対して、迅速かつ効果的な命令を発し、執行できる裁判所の権限を強化することを提案する。それは、行為差し止めによる救済を得ることができる民事訴訟の範囲を拡大すること、また、効果的と考えられる差し止め命令を策定する裁判所の権限を強化することなどの方策による。

II-B-5. 司法手続きにおける透明性の拡大 米国は日本政府に対して、すべての人々に対して裁判記録および判決についてのより容易かつ時宜を得たアクセスを提供することにより、一般市民およびビジネス・コミュニティーにとって司法制度をより身近なものにすることを要望する。

商法
I. クロスボーダーによる株式交換

 クロスボーダーの株式交換による企業の合併・買収や、株式交換を通じての企業再構築や日本企業と外国企業のジョイント・ベンチャーなど、国際ビジネスにおける様々な企業取引を効果的にする上で、クロスボーダーによる株式交換は重要で有効な手段である。現行の日本の法律下でこれらの株式交換を活用できないことは、日本への外国からの投資、そしてそれに付随する必要な技術や経営のノウハウの流入をも妨げることになる。2002年の春までに完了予定の商法の「抜本的な見直し」作業の一環として、米国は、日本国内の企業間の株式交換を認可し促進している日本の商法352条以降の条項を考慮し、クロスボーダーによる日本企業と外国企業間での株式交換を、日本が認可し促進することを提言する。

II. 資本構成の柔軟性

 資本を調達し、サービスを獲得し、経営者と従業員の双方にインセンティブを与えるための、企業が取る手段を拡大することは、経済を再構築し、再活性化しようとする日本の努力にとって極めて重要である。この点において、日本は、すでにいくつかの措置を取ってきてはいるが、起業会社や既存の企業が、変化する資本やその他の市場需要に対応し、最大限の力を発揮するためには、さらなる措置が必要である。この目標を達成するために、米国は、日本が下記の措置を講じることを提言する。

II-A. 企業買収が成功した後に、「抵抗」している少数株主に彼らの保有する株式を強制的に提供させることにより、被買収企業を完全に私有化できるように、いかなる合併においても、現金が考慮の対象となるよう規定する。

II-B. 現在の裁判所によって行なわれている資本の現物出資に関する価格査定手続きを、弁護士や会計士に査定を義務付けるのではなく、また、弁護士や会計士が誤った査定を行なった場合、彼らの法的責任を厳しく追及せずに、重役会議に査定の責任を課すよう、修正する。

II-C. ストックオプションがコンサルタント、サービスプロバイダー、関連会社の従業員および、その他の人々にも付与できるよう、ストックオプションの発行額の制限と、ストックオプションの受取人への制限を撤廃する。

II-D. 少なくとも、株主の許可を得た時は、議決権なき種類の株式の発行額の制限を撤廃する。

II-E. 1種類以上の株式を発行することを通じて緊密な関係にある企業の各グループの株主に、特定数、あるいは特定の割合の取締役を任命することを許可する。

II-F. 新たに付与されるストックオプションの譲渡の禁止を解除する。

III. 企業統治

 日本企業が、経営面で特に改善を必要とするものの1つが、より柔軟な経営形態を提供し、株主への説明責任を拡大する企業統治のメカニズムの強化である。この点について、米国は、日本に対し以下の措置を講じるよう提言する。

III-A. 株式公開企業に、従来の監査役制度を用い続ける代わりに、企業経営構造において 経営執行役員制度と取締役委員会制度の選択肢を与える。取締役委員会制度は、少なくとも、会計監査委員会、管理職および取締役の任命委員会、そして報酬委員会を含み、各委員会は最低限、過半数の社外取締役で構成されるべきである。

III-B. もし、日本が特定の企業に社外取締役の任命を義務のであるなら、そのような義務は株式公開企業にのみ適用されることを確保する。もし、それが無理な場合は、その定款に取締役会が一般株の譲渡を承認することが義務付けられていない会社に限る。

III-C. 「社外取締役」が完全に独立しているということを確保するため、その会社と株式持合いの関係にあるか、または同じ系列にある会社の 社員または元社員を除外することをも含めて、「社外取締役」の定義を変更する。

III-D. 電話会議や書面による全員の同意表明等による取締会の決議を認める。

III-E. 誠意ある職務の不履行、 作為的違法行為、違法行為の黙認、私利益の受領などに対する株主代表訴訟における取締役の現行の無制限な責任を維持し、株主代表訴訟制度のいかなる変更も株主に対する取締役会の説明責任の原則を損なうものでないということ確保する。

III-F. 現在書面による実施が義務付けられている株主総会開催の通知、株主総会に関する資料の適時の配布株主議決権の行使やその他の手続きにおいて、インターネットや他の電子的手段(例えば、ファックス、電話)の使用を許可する。

III-G. 年金資金を運営する信託受託者の管理下での分配の票決において、信託受益者の利益に関して理性的判断を下すよう受託者の義務を強化する。

III-H. 国際的に認められている会計基準の採用における最近の進展を、国際的に認められた監査基準に即した外部監査により、そのような基準を厳密に実施することで補完する。それによって、財務報告書が企業の財務状況を正確に反映することを確保する。

IV. 法的代理人

  外国企業に課せられている法的代理人の共同および複数義務は外国企業にとって、法的代理人となる意志のある人物を探すことを大変困難にしている。そのため、日本で企業活動をする外国企業の経営に深刻な障害となる。 従って、米国は日本に 外国企業に企業における共同および複数義務を課すような法的代理人の任命を義務付けるいかなる提言も却下することを要請する。

V. 商法改正プロセスに対する一般の参加

 日本の企業と法律関係者と同様、外国企業や外国の法律関係者にとっても、日本の商法ならびに他の商業活動に関する法律の変更は直接影響を受けるものであるから、改正の過程で外国企業ならびに法律関係者が参加する機会を与えられるということは公正かつ正当なことである。そのために、米国は、日本に対し以下の措置を講じるよう要請する。

V-A. 提言されている日本の商法改正の策定において、例えば、法制審議会商法作業部会の会社法部会において、外国人代表者にオブザーバー(立会人)としての資格を与えるなど、国際企業ならびに法律関係者が意見を表明する有意義な機会を、国内の企業ならびに法律関係者に与えられている方法と同様に与える。

V-B. 法制審議会ならびに商法改正に対する答申を作成するいかなる他の諮問機関も提言をまとめる前にパブリック・コメントを募集することを確保する。

流通
I. 貨物通関情報処理システム(NACCS)

 本年初旬、航空貨物を対象としたAir-NACCSの利用料金引き上げに対する企業の懸念を日本が進んで考慮したことは、流通システムにおける商品流通コスト抑制の重要性を認識したものとして歓迎される。米国政府は、日本政府に対し以下の措置を求める。

I-A. 現行の3年期限の取り決めが満了した後、公正な料金体系が構築されるよう、Air-NACCSの利用者と引き続き意見交換を行う。

II. 簡易申告制度

 米国は、日本が本年、輸入商品を対象とした簡易申告制度を採用したことを歓迎する。新制度に関する説明の中で、財務省は、「欧米諸国においても、同様の制度が存在し、さらになる見直しが図られているところであり、わが国において簡易申告制度を導入することは、貿易の円滑化に向けて、税関手続きの国際的調和を促進することにも資するものと考えられる」と述べている。本制度の導入は歓迎されるものの、その施行規制が非常に制限的なため、実質的には多くの航空貨物が利用できないでいる。従って、現在施行されている簡易申告制度は、米国やヨーロッパの慣行と整合性を持たず、また、日本への貨物全体の中で急速に増大しつつある輸入を促進する企業の必要性を満たしていない。米国は、日本が米国とヨーロッパの慣行に合致するよう簡易申告制度の施行規則を下記のように改正することを求める。

II-A. 本制度の施行目的に沿い、インテグレーターや輸入代理業者を「輸入業者」として承認する。これによって、輸入代理業者やインテグレーターに登録輸入業者としての要件を満たすことを義務付けるものではない。

II-B. 本制度の目的に沿い、宅配輸送に指定されている商品を認可商品の定義に含める。これは、商品を輸入品として指定する必要を省くことになる。

III. 課税最低価格

 日本への小型商品や小包輸入のスピードを早めるため(および行政コストを削減するため)、米国は日本に対し、以下のことを求める。

III-A. 関税定率法に定められる課税最低価格を1万円から3万円に引き上げる。この引き上げは、日本政府の人件費を大幅に削減することになる。

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