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ワーキング・プア・働く貧困層の急増
メディア / 2006年07月24日
昨夜、放送されたNHKスペシャル『急増 働く貧困層』を見て、格差社会なるものがおそろしい勢いでこの日本列島に暮らす人々を引き裂いていることを映像を通して感じた。400万世帯以上が、生活保護以下の生活を強いられていて、その多くは「働く貧困層」だ。東北・宮城県から上京し、34歳で路上生活をしている若者はヤング・ジョブに通って何とか就業したいと努力するが、定まった住所がないことで一度内定した仕事も断られる。ようやく見つけた自動車洗浄の仕事も月収10万円で、アパートを借りる資金にはならない。
勝ち組・負け組と言うが、働いても働いても生活水準は下降し、貯蓄が出来ないで「沈殿」する。バブル崩壊以後、企業の雇用形態が正社員を抑制し、アルバイト・パート・派遣などの非正規雇用に転換したことが、就業環境を激変させた。いまや、3人に1人が非正規雇用労働者だと言われている。番組では、妻に先だ立たれた男性(50歳)が、ふたりの子どもを学校にやりながら、ガソリンスタンドの深夜労働のアルバイトを3つ掛け持ちでやって、合計21万円の収入で家計を支えている様子が紹介されている。「高校」「大学」と進学できるだけの資金を蓄えなければと頑張っているが、子どもたちも「進学は難しいのかな」と思い始めている。
秋田県のかつてにぎわった商店街で、テーラーを営む男性は一回の食事を百円でやりくりしている。20年前は、年間100着もあったオーダーメードのスーツは昨年は2着しかなかった。仕事はほとんど「すそ上げ」「寸法直し」だけとなり、生活の見通しは立たない。アルツハイマーで寝たきりの妻は入院中で、男性の年金はすべて妻の治療費となる。やがて、高齢者の窓口負担は1割から2割になるが、「2倍になったら治療費は払えない。貧乏人は早く死ねということなのか」と語る表情は険しい。
「聖域なき構造改革」は、「負け組転落=無限地獄」の悪循環構造をつくり出した。夫が急死したり、妻に先立たれたり、思わぬ大病を患ったり……人生途上で何らかのアクシデントに見舞われた人々を本来は受け止めるべきセーフティネットはズタズタとなり、「自己責任」で働く場も極端な低賃金で「明日の労働力再生産」すら出来ない状態となる。グローバル化とデフレ経済の中で、地方経済は丸ごと切り捨てられている。
政治家にひとりでも多く見てほしい番組だ。この重い現実、引き裂かれた魂がさまよう21世紀の日本に、希望の灯をともすために個人の努力ではどうにもならない壁を「政治の力」で破っていかなければならないと感じた。すぐれたシャープな問題提起をこめた力作だった。見逃した方は7月25日(火)深夜【水曜午前】0時〜1時14分「ワーキングプア 〜働いても働いても豊かになれない〜」再放送をチェックしてほしい。
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/1571924f482f90666115cd500a4252c2
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