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http://www.asahi.com/paper/editorial20060722.html#syasetu1
日本経済新聞の東京本社で、バイクに乗った男が火炎瓶を通用口に投げ込み、走り去った。ワインの瓶は破裂したが、火はつかなかった。
未明の犯行だが、新聞社は人の出入りが絶えない。燃え上がっていれば、けが人が出たことも考えられる。軽く見ることはできない。
いったい何のために投げ込んだのか。犯行声明は出ておらず、動機は定かではない。だが、思いあたることはある。
日経新聞は、A級戦犯の靖国神社への合祀(ごうし)をめぐる昭和天皇の発言をスクープした。昭和天皇は合祀に不快感を示して参拝を中止した、という元宮内庁長官のメモを手に入れたのだ。現代史の謎に光を照らす見事な報道であり、各紙はそれを追って報じた。
犯行は日経新聞が報じた翌日だ。警視庁も報道との関連を捜査している。
報道が気に入らないから、火炎瓶を投げ込んで脅す。そうだとすれば、言論への暴力にほかならない。
昨年1月にも、経済同友会の小林陽太郎前代表幹事の自宅に、火のついた火炎瓶が置かれる事件が起きた。小林氏は日本と中国でつくった委員会の日本側座長を務めていた。記者会見で、小泉首相の靖国参拝について問われ、「個人的にはやめていただきたい」と話した。
その後、右翼団体の街宣車が自宅にまで押しかけた。玄関脇に火炎瓶が置かれるまでに、そうした経緯があった。犯行声明はなかったが、発言を封じるのがねらいだったことは間違いない。犯人は捕まっていない。
日経新聞の記事も、靖国参拝をめぐる内容である。違うのは、昭和天皇がどう考えていたかを伝えたことだ。
天皇や靖国神社については、暴力に訴えてでも、自分と違う意見を抑えようとする。二つの事件を見たとき、そんな不気味な動きが感じられる。
3年前には、北朝鮮との外交に取り組んだ田中均外務審議官の自宅に発火物が仕掛けられている。
言論への暴力は今年も絶えない。
1月には暴力団の記事を書いた作家の溝口敦氏の長男が路上で刺され、山口組の元組員らが逮捕された。家族を襲う卑劣きわまりない事件である。
4月には拉致被害者の横田めぐみさんの写真展が開かれる予定の百貨店に「中止しなければ社員や業者を襲撃する」という脅迫状が届いた。写真展は会場を変えて実施された。
言論への暴力に対しては、脅された人や組織が屈しないことが大切だが、そうした人たちを周りが支えなければならない。さらに重要なのは、警察がきちんと捜査し、犯人を捕まえることだ。厳しく罰し、許せない犯罪であることを思い知らせる必要がある。
ひとつひとつの事件を軽視せず、社会全体で指弾していく。そうした姿勢を貫くことが、言論の自由を守り、広げることにつながる。
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