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防衛「省」昇格
2006/07/09 看板を替えて済む問題か
防衛庁の「省」昇格法案が、先の通常国会に提出され、秋の臨時国会以降、本格的な審議が行われる見通しとなった。言うまでもなく、防衛庁が防衛省になることは、単なる看板の掛け替えで済む問題ではない。省になれば、「主任の大臣」が置かれ、その「防衛相」が「国の防衛に関する重要案件、法律の制定や高級幹部の人事について、閣議を求めることができる」と、防衛庁は昇格の狙いを説明しているが、問題は別にある。憲法九条との関係で、日本の平和主義のあり方と、その方向性が試されている。憲法に基づいた徹底した議論が必要である。
防衛庁が「庁」であったのには理由がある。「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」とする九条二項の下で、自衛隊は「自衛のための必要最小限度の実力」とされてきた。自衛隊は決して普通の軍隊ではない。「海外派兵」を決してしない、専守防衛のための特別な実力組織である。所管の組織が、各国と異なり、防衛「庁」とされてきたのも、この自衛隊の位置付けに基づく。防衛庁が庁であり、その長が防衛庁長官であることは、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意」(憲法前文)したことを世界に表現する一端だった。国民や世界に自衛隊の存在が理解されてきたのも、そうした姿勢によるところが大きいと言える。
防衛庁はホームページで「諸外国において、国の防衛を担当する行政組織はすべて省であり、専任の大臣を置いています」と省昇格の必要性を説明しているが、この説明は、憲法との関係や歴史的な経緯を意図的に省いてしまっているのではないか。
実際、同法案は日本の平和主義、軍事外交政策を大きく変えようとする動きの一環と認識せざるを得ない。法案によると、昇格と同時に、国際緊急援助活動、国際平和協力業務、周辺事態における後方地域支援のほか、テロ特措法やイラク特措法に基づく活動までを、自衛隊の「本来任務」に格上げするとしている。
在日米軍再編協議では日米の「軍事的一体化」が進められ、その結び付きは「世界の中の日米同盟」とされるにいたった。自衛隊海外派遣の「恒久法」が検討されているほか、その後ろには、集団的自衛権を容認しようという九条改正の動きが控えている。日本は着々と、イラク派遣のような多国籍軍、有志連合型の対米軍事支援にのめり込もうとしている。このような政治の動きを見れば、法案を軽くみることは決して許されないだろう。
政府は国会の閉会ぎりぎりに提出するなど、説明責任を十分に果たしていない。秋の臨時国会に向け、政府の姿勢や法案の問題点をしっかり議論したい。
http://www.kanaloco.jp/editorial/entry/editoria1/
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