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「敵地攻撃」の検討開始 与党内、足並み乱れ 現状装備では事実上不可能
北朝鮮によるミサイル発射を受け、政府は発射前に敵のミサイル基地をたたく敵地攻撃に関する本格的な検討に入った。日本への侵略意図が明白な場合、「座して自滅を待つのが憲法の趣旨ではない」(鳩山一郎内閣)との政府統一見解に基づくもので、額賀福志郎防衛庁長官は「これから議論していく」と明言した。しかし、現状の自衛隊装備では、敵地攻撃は事実上、不可能で、与党内でもその是非について足並みが乱れている。
≪50年棚ざらし≫
小泉純一郎首相は10日夕、額賀氏が、敵地攻撃の可能性に言及したことについて、記者団に「理論的にいろいろな場合を想定して検討するのはいい」と述べた。ただ、同時に「日本に対しはっきり攻撃する意図があるかどうか(を見極めるのが)なかなか難しい。先制攻撃的な形で(攻撃)するのとは別問題だ」と述べ、慎重に検討していく考えを示した。
政府は昭和31年の鳩山一郎内閣時、敵地攻撃も可能との政府見解を示している。
だが、その後は「敵地攻撃」自体が政府内でタブー視され、50年後の現在でも、どの時点で敵地攻撃が可能と判断するか、明確な基準がない。
石破茂防衛庁長官(当時)は平成15年1月の国会答弁で「明確な侵略の意思」があり、かつ「ミサイルを発射台に立てたり、燃料注入の準備を始めたりした場合」を挙げている。しかし、北朝鮮が攻撃意図を隠し、実験を理由にミサイル発射準備をしている限り、日本はミサイル基地を攻撃できないことになる。
≪分かれる議論≫
では、自衛隊に北朝鮮の基地を攻撃する能力はあるのか。
防衛庁の守屋武昌次官は10日の会見で、「法理的には可能だが、日本は、敵基地を攻撃する機能は米国に期待するという考え方だ」と強調した。平成9年に改定された「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」では、日本にミサイル攻撃が行われた場合、「米軍は、必要に応じ、打撃力を有する部隊の使用を考慮する」とある。
その理由について、守屋氏は会見で、(1)北朝鮮まで届くミサイルを保有していない(2)敵基地まで飛んで帰還できる航続距離のある攻撃機を保有していない(3)敵の地上レーダー網をかいくぐる能力がない−点を挙げた。
ただ、本当に敵地攻撃能力がないのかどうかは、防衛庁内でも議論が分かれる。
大野功統防衛庁長官(当時)は昨年4月、6年に航空自衛隊の戦闘機による北朝鮮のミサイル基地攻撃のシミュレーションを行ったことを明らかにし、空自は「攻撃はやろうと思えばできる」と回答したという。
しかし、このシミュレーションは、攻撃機が燃料不足に陥った場合、韓国内の米軍基地に着陸することや日本海での緊急脱出などを想定。「現実的な作戦ではない」(幹部)との声が強い。
戦闘機の航続距離を延ばすために不可欠な空中給油機導入は決まっている。だが、敵地攻撃を可能にするミサイルの長射程誘導技術の研究は昨年、公明党の反対で中期防衛力整備計画(中期防)から削除され、いまだ実現化のめどは立っていないのが実情だ。
≪公明は否定的≫
額賀発言には、野党のみならず、与党内からも慎重論が出ている。
自民党の武部勤幹事長は「ミサイルを撃ち込まれるのを分かっていて、黙ってなすすべがないのは許されない。法整備などがあれば積極的に取り組む必要がある」と述べ、評価した。
しかし、公明党の神崎武法代表は10日、「理論的にはいろいろな考えがあるが、(北朝鮮ミサイル基地を攻撃すれば)全面戦争ということだから慎重に検討すべきだ」と、否定的な考えを示した。別の同党幹部も「いずれは持たなければいけないかもしれないが、一気に(保有に)行ってしまうと危ない。公明党がブレーキ役になる」と述べた。
◇
【用語解説】鳩山内閣時の敵地攻撃に関する政府見解
昭和31年2月、船田中防衛庁長官が政府統一見解として、次のように答弁した。「わが国に急迫不正の侵害が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところだとは考えられない。他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能だ」
http://www.sankei.co.jp/news/morning/11pol002.htm
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