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主張
「北朝鮮ミサイル」
日米MD協力は安全を保障しない
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が5日、ミサイルを発射した。日本と北朝鮮は02
年、ミサイル発射の凍結継続を含め、日朝両国が互いの信頼醸成と懸案解決を通じて関係
正常化を目指すとする「平壌宣言」で合意した。また、昨年の6ヵ国協議共同声明は、こ
の平壌宣言にも言及しつつ、朝鮮半島の非核化、北東アジア地域の平和と安定のための共
同の努力を約束したものだ。今回のミサイル発射は、これら外交関係の基礎に置かれるべ
き確認事項に反し、地域を緊張激化の負の連鎖に陥れるものであり、決して容認できない。
しかし、この事態を受け、導き出される唯一の対策が日米間のミサイル防衛(MD)協
力強化・加速化なのかは、大いに疑問がある。
6月末の日米首脳会談をはさんで、日米MD協力をめぐる動きが急速に進んでいる。在
日米軍再編「ロードマップ」(最終合意)で今夏までに「運用可能となる」と明記された
米本土向けミサイル早期警戒レーダー「Xバンドレーダー」が、青森の航空自衛隊車力分
屯基地に前倒し搬入された。嘉手納基地への上空迎撃ミサイルPAC3の配備も急がれて
いる。横須賀基地には大気圏外迎撃ミサイルSM3搭載艦がやってくる。
また昨年には、MDによるミサイル迎撃手続きを定める自衛隊法改正が行なわれた。こ
れは、まだ飛来の「おそれ」さえない段階から(つまり常時)「事前命令」を出しておく
という形で、迎撃判断を現場自衛官にゆだねるというものだ。
だが、本当に判断を下すのは誰なのか。今回の発射情報は米軍事衛星からもたらされた。
衛星、レーダー、イージス艦などを結ぶネットワークを一元的に統括し、情報を集約、ま
た提供するのはあくまで米本土の防空司令部であり、海外の「出先」がバラバラに左右で
きるような代物ではない。この中で、横田基地にMD「共同統合運用調整所」が設置され
ることは、事実上、日本の防空システムの中枢部分が米軍の指揮下に入ることを意味して
いる。
米軍の先制攻撃と連動するという最悪の場合を含め、「情報共有」という名の下、実際
は米軍の判断と意思に基づき、米本土や米軍基地を守るためのミサイルを自衛隊(具体的
には航空自衛隊航空総隊司令官)が発射するという事態もありうる。これが本当に「ミサ
イルの脅威から国民を守る」ための方途なのか、いま一度立ち止まり、冷静に考える必要
があるのではないか。
社会新報2006年7月12日号より
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