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>>日々通信 いまを生きる 第215号 2006年7月10日<<
伊豆利彦 http://homepage2.nifty.com/tizu
アジアの立場
7月10日のNHKニュースは次のように伝えている。
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中国外務次官 訪朝し説得へ
北朝鮮にミサイル開発の停止を求め、応じない場合には制裁措置も科
すとした安保理決議案は、これまでのところ、日本やアメリカなど8か
国が共同提案国となっており、早ければ10日にも採決にかけられる見通
しです。
こうした中、中国の武大偉外務次官が10日、ピョンヤンに入る見通し
で、6か国協議代表のキム・ケグァン外務次官のほか、北朝鮮の外交を
統括するカン・ソクジュ第1外務次官らと直ちに会談し、ミサイル再発
射の自制と6か国協議への早期復帰を求めたい考えとみられます。
武次官としては、中国が決議案の採決に反対する立場を示しているこ
とや、アメリカが6か国協議の枠内であれば北朝鮮との対話に応じると
していることを伝え、北朝鮮側に前向きな対応を促すことにしています。
中国は、再三の警告にもかかわらず北朝鮮がミサイルの発射に踏み切
っただけに、これまで積極的に進めてきた経済支援を一部縮小すること
も視野に置きながら、北朝鮮への働きかけを強めることにしています。
しかし、決議案の採決までに、北朝鮮が中国の説得を受け入れるかどう
かは不透明な情勢です。
http://www3.nhk.or.jp/news/2006/07/10/d20060710000079.html
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朝鮮(北)のミサイル発射は落下点をロシア沿海州沖にえらんで、日
本の世論にも配慮している。
朝鮮が求めているのは米朝直接対話で、朝鮮半島の非核化の方針に変
わりはないという。
朝鮮は安全の保障と対米国交回復、経済援助を求めているので、アメ
リカを攻撃する能力もなければ意志もない。
アメリカも外交解決を求めていて、朝鮮の6カ国協議への復帰を求め
ている。ただ、核開発を中止し、無条件で復帰せよと主張し、朝鮮はア
メリカが金融制裁の解除を求めて、協議は再開されない状態がつづいて
いる。
日本は安保理事会に経済制裁決議を求め、中国・ロシアは反対してい
る。中国は米朝直接対話による事態の解決を求め、急遽、武大偉外務次
官がピョンヤンで朝鮮に対し、ミサイル再発射の自制と6カ国協議への
復帰を強く求める。
事態は緊迫した情勢で急激に動きはじめているが、結局は、米朝の直
接交渉によって事態は打開され、平和的解決に向って進むのだろう。日
本の一般マスメディアの報道を見聞きしているかぎり到底信じられない
展開だが、それは日本が異常なので、アメリカもふくめ、冷静な判断が
支配的になっているように見える。
これ以上朝鮮を追い詰めてどんな成果が得られるか。朝日ニュースタ
ーの葉千栄の番組で、ゲストの須田慎一郎(金融ジャーナリスト)、熊
谷征男(東洋証券副社長)、北浜流一郎(株式アドバイザー)が三人と
も、マーケットの反応が冷静だったことを指摘して、アメリカの共和党
の内部にも直接交渉で事態を解決せよという声があり、「米朝直接交渉
の可能性」が強まったと述べていた。
NHKの<クローズアップ現代>では7ケネス・キノネスさん (国際
キリスト教大学教授 元米国務省朝鮮半島担当)と伊豆見元さん(静岡
県立大学教授)が対談し、アメリカが外交交渉の道をとざしていること
を問題にし、強い態度で臨むとともに、交渉のドアーを開けて置かなけ
ればならないということで一致した意見を述べていた。
交渉は対話とはちがう。交渉は、なにかを得るために、主張すべきは
主張し、譲歩すべきは譲歩して、具体的な打開の道を探ることだという
意見が新鮮だった。
田中宇氏は、7月5日のニューヨークタイムスの社説は、テポドンを
含む今回のミサイル発射実験について「(他国に)直接の脅威を与えて
いないし、国際条約にも違反していない。だから、アメリカやその他の
国は、この発射実験によって、北朝鮮を軍事攻撃する正当性ができたと
考えることはできない」と書いていると紹介している。
田中氏はアメリカはアジア問題でその主役をつとめることは困難で、
中国に主役をつとめさせようとしていると主張している。
<北朝鮮がアメリカとの2国間交渉を希望し続け、アメリカはそれを断
り続け、北朝鮮が過激な言動をとってみせると、アメリカは中国に向か
って「6カ国協議は貴国が中心なのだから、北朝鮮を抑えてくれ」と求
め、中国や韓国が動き出す、ということが2003年以来繰り返されて
きた。
今回も同じパターンが繰り返されており、中国政府は、6カ国協議の
他の参加国に対し、7月下旬のG8首脳会議の後、非公式の6カ国協議
を行うことを提案している。中国が目指している解決策の中身はまだ明
らかではないが、これまでの経緯から、昨年9月の6カ国協議でアメリ
カが認めた北朝鮮に対する不可侵声明を、さらに具体的な不可侵の約束
にすべくアメリカに確約させ、その見返りに、北朝鮮に核査察の受け入
れなどを飲ませるというシナリオを中国が展開しようとするのではない
かと推察される。>
しかし、ここで日本が安保理に北朝鮮の経済制裁を提案して、この厄
介な問題の前面にたった。自分たちの外交の失敗が前面に出ることをお
それるブッシュ政権は、「日本が前面に出る」ことを歓迎していると、
冷泉彰彦:作家(米国ニュージャージー州在住)氏は『from 911/U
SAレポート』第258回で論じている。
<今年は中間選挙を迎えており、ブッシュの共和党は守勢に回っていま
す。そんな中「北朝鮮政策では失敗はできない」という意識が政権には
強いのではないでしょうか。90年代の危機を経験したクリントン政権
関係者は、正にその点を突いてきており、ブッシュ政権の側としては
「KEDOの枠組みを壊し、北朝鮮をNTPからの脱退に追い込んだ」
のは自分たちだ、と言われるのは困るのでしょう。そこで、日本が前面
に出てくるのを歓迎するムードが出てきているのではないでしょうか。
>
中国も韓国、ロシアも、アメリカの強硬路線が朝鮮を窮地に追い込み、
暴発させかねないことをおそれ、朝鮮を援助して、開放改革をすすめ、
平和的な国家として発展するのを援助している。しかし、日本はその反
対に、アメリカ以上に朝鮮を敵視し、制裁の主役になろうとしている。
しかし、強硬路線が何を生むか。朝鮮を追い詰めて何を得ようとする
のか。結局は中国の斡旋によって、米朝直接交渉が実現し、6カ国協議
への朝鮮の復帰、米朝国交回復が実現するとすれば、日本のアジアのお
ける位置はどうなるか。日本がますますアジアから孤立し、反アジアの
道を歩くことがないように祈るばかりである。
朝鮮のミサイル実験から重苦しい日がつづいたが、危機がかえって新
しい可能性を開くのではないかと思うようになった。そうなることを切
に望む次第である。
梅雨も東京地方はあまり雨が降らず、過ごしいい。
昨日は、私の住む横須賀で原子力空母に反対する大集会があった。
ミサイル発射を契機に、日米協力して強力な布陣が日本海に展開され
たことだろう。
ミサイル問題で額賀防衛長官は「敵地攻撃能力の保持は当然」と述べ、
攻撃的軍事力の強化を主張した。
鬱陶しい日々だが、皆さん、お元気でお過ごしください。
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いつもは「日々通信 いまを生きる」ブログ版から転載して投稿しているのですが、ブログにはまだこの記事が出ていないので配信されたものを転載しました。したがって転載元のURLはありません。
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