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日米首脳会談/どこに向かう「同盟の深化」
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日米首脳会談で小泉純一郎首相とブッシュ大統領は、人権やテロとの戦いなど共通の価値観や利益を基盤に新たな関係構築を掲げた共同文書を発表。「世界の中の日米同盟」が深化し、新たな段階に入ったことを世界に発信した。
2001年に就任した両首脳は、9.11米中枢同時テロやイラク戦争などを通じ親友と呼び合う信頼関係を築いた。小泉外交の総仕上げとして「歴史上、最も成熟した二国間関係」は「両首脳により強化された」と明記された。
日米関係をさらに成熟させるには、個人的な親しさだけに頼ってはいられない。良好な関係が実際には日本の発展にどれほど寄与したか検証が必要だ。
日米で激しい議論があったのは米産牛肉の輸入再開・再再開問題くらいで、波風はほとんど立たなかった。しかし「日米関係が良ければ良いほど中国、韓国などと良好な関係を築ける」という首相の言葉とは裏腹にアジア外交は行き詰まった。
この5年、日米関係は安保中心に動いた。01年、米のアフガニスタン攻撃と海上自衛隊艦船のインド洋派遣。03年、米のイラク戦争とイラク人道復興支援特別措置法の成立。04年、陸上自衛隊のサマワ派遣。そして06年は在日米軍再編と、めまぐるしく展開した。
小泉首相は会談で、14年を完了目標にした在日米軍再編を「実現していく責任がある」と約束した。在日米軍の再編は、自衛隊と米軍の一体化が進む。支援の範囲が極東を超えて広がる可能性やミサイル防衛での協力は集団的自衛権に触れる恐れを含み、憲法や日米安保条約の枠におさまらない状況が今後も次々出現すると予想される。
戦闘状態のイラクに陸自を派遣する是非をめぐっては、国会で激論になったが、論議がかみ合わないまま、結局「日米同盟の証し」として派遣が決まった。国民は「同盟の強化」と支持するか「米追随」と批判するか、二分された評価を消化しきれないでいるのが現状だ。
両首脳は、価値観の共有を強調した。「民主主義の拡大」を掲げ「テロとの長い戦争」を戦う米と日本は国家の基本戦略でも一体化を進めることを意味する。だが、核問題一つとっても、拡散防止では一致しても、核軍縮では食い違う。国家目標が異なるとき、自主性と協調の折り合いをどうつけるのか。
台頭する中国とは価値観が異なる。日本はこれまでアジア諸国などとは「文明や文化の相違を衝突ととらえず、共存を図るような、心の通い合う外交」を原則としてきた。この基本姿勢との整合性も問われる。
日本はどこへ向かおうとしているのか。日米同盟新時代の具体像を示し、肉付けするのは次期政権の仕事だとしても、国民的議論が必要だ。
ポスト小泉候補は、政権構想の中に日本の目標と針路をはっきり位置付けてほしい。
国会にも国民にわだかまる不安に応える責務がある。小泉外交をきちんと評価しなければ、前に進めない。
2006年07月01日土曜日
http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2006/07/20060701s01.htm
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