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【天木直人 ニッポン外交の迷走】 2006年6月26日 掲載
今度の小泉訪米が断罪される日が必ずくる
言葉は面妖なものである。嘘や暴言を吐いて恥じない者にとってはこれほど都合のいいものは無い。受け手が無知、無関心、無気力、無抵抗な国民であれば、虚が実に変わるのだ。こんなでたらめが放任されてきたのが小泉政治の5年余であった。
残り3カ月となった最近の小泉首相は、やがて手放す権力を惜しむかのように断末魔の叫びにも似た妄言を連発してはばかることを知らない。
山積する問題への説明責任から逃げるように国会延長を拒否した小泉首相の、「閉会中もやることは山ほどある」という言い草はどうだ。訪米直前にドタバタと決めた陸自のサマワ撤退や米国産牛肉の輸入再開を語るときの、「陸自の任務が一定の効果を果たしたから」「十分すぎるぐらい調査をした」などという言葉の白々しさよ。
そんな小泉首相の最後で最大の嘘が28日からの訪米で宣言されようとしている「世界の中の日米同盟」である。「国賓として米国から歓待された初めての首相」「ブッシュ大統領との個人的友好関係が再確認された訪米」などという同行記者の訪米礼賛の言葉がいかにメディアに氾濫(はんらん)しようとも、その実態は、後に続くこの国の指導者と善良で従順な日本国民をがんじがらめに縛る対米従属を固定化する訪米なのだ。歴史がこの訪米を断罪する日が後日必ず来る。
それにしても「価値観を共有した日米両国」という言葉ほどデタラメな嘘はない。武力ですべてを解決しようとする世界で最も凶暴で傲慢な戦争国家である米国と、平和憲法の下に戦後60年ただの一度も武力行使をしてこなかった柔和な戦後日本のどこに共有する価値観があるというのか。
防衛庁次官を随行させるという異例の訪米で象徴されるように、今度の訪米は日本を今後末永く米国の戦争協力国にするための訪米である。3兆円を超える米軍再編の財政負担を負わされ、サマワ撤退と引き換えにイラク人を虐殺する米軍を支える空自の輸送強化を命じられ、イランへの金融制裁を迫られて日本の石油利権を失う、そして米朝関係正常化の裏取引のための対北朝鮮経済支援のツケをまわされる。その見返りがエルビス・プレスリーの生家の訪問ただ一つである。
秘密文書の公開で先日明らかになった「ジャップは最悪だ」という元大統領補佐官キッシンジャーの言葉が雄弁に語るように、日本は米国にとって「好かない野郎」に過ぎないのだ。利用価値がなくなれば捨てられる。
▼天木直人(あまき・なおと) 元レバノン大使。1947年生まれ、京大法学部中退で外務省入省。イラク戦争に反対する公電を送り、小泉首相の対米追従外交を批判して「勇退」を迫られる。著書に「さらば外務省!」「ウラ読みニッポン」(講談社)など。
http://gendai.net/?m=view&g=syakai&c=020&no=27056
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http://gendai.net/?m=list&g=syakai&c=020&s=81
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