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(回答先: WTOと日本の農業 <WTO>ジュネーブ会合は難航必至か(瀬戸智子の枕草子) 投稿者 gataro 日時 2006 年 6 月 28 日 20:46:38)
2006年6月24日(土)「しんぶん赤旗」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-06-24/2006062405_04_0.html
難航するWTO農業交渉(上)
危機あおり決断迫る
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足かけ七年にわたるWTO(世界貿易機関)農業交渉が、正念場を迎えています。二十二日、農業交渉の議長が自由化基準の合意案を示し、来週にはジュネーブで閣僚会議が開かれます。日本経団連も二十日、農業の自由化などで六月末までに政治決断を求める提案を発表しています。一方、全国農協中央会は二十三日、「多様な各国農業が共存できる貿易ルール」の実現を求めて、全国集会を開きました。農業交渉の現局面と日本農業への影響、運動方向を探りました。(国民運動委員会・橋本正一)
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WTO農業交渉は二〇〇一年にスタートした多角的貿易交渉(ドーハラウンド)の一分野です。交渉には百四十九の国と地域が参加し、農業のほか鉱工業品、サービス、知的所有権、貿易と環境など多くの分野を含んでいます。
交渉は、当初の期限とされた昨年十二月の香港閣僚会議に続いて、先送りされた今年四月末にも自由化基準(モダリティ)を確定できず、五月以降、集中的な交渉を繰り返してきました。
WTOのラミー事務局長は「七月末を逃すと交渉全体が一、二年は止まってしまう」と危機感をあおり、六月末に主要国の閣僚会議を呼びかけ、“政治決断”を迫ってきました。
関税で隔たり
農業交渉は、市場アクセス(関税削減など)、国内支持(貿易をゆがめる国内補助金の削減)、輸出競争(輸出補助金の撤廃など)の三分野を中心にすすめられてきました。
市場アクセスの分野では、(1)関税水準が高い品目ほど削減率を大きくする(2)一定数の重要品目については一般品目より削減率を小さくする―などを合意していますが、関税の削減率や重要品目の数などでは輸出国・輸入国間で隔たりが大きくなっています。
とくに、すべての農産物関税を一定水準以下に抑える「上限関税」の導入や重要品目の数では大きな対立があります。
国内産が打撃
アメリカが求める上限関税の率は75%です。どんなに高い関税率が認められている農産物でも、75%以下に下げることになります。日本の米にあてはめると、現行税率(778%)の十分の一以下という劇的な引き下げです。
現在の輸入価格(十キロ約五百円)に75%の関税を上乗せしても、国産米の卸売り価格(平均三千五百円)をはるかに下回り、国内の米生産が壊滅的な打撃を受けることは明らかです。輸入国の農業の存在を無視するものです。
ブラジルなど輸出力がある有力途上国グループ(G20)が要求する上限関税100%でも、事態は同じです。
アメリカなどは重要品目の数を関税分類上の全品目の1%にすることも要求しています。
日本の場合、農産物品目数は千三百二十六、米だけでも十七あります。重要品目を1%に限ったのでは、米さえもカバーできません。小麦や乳製品など高関税品目は、一般品目なみに大幅な関税削減を強いられ、国内産が打撃を受けるのは必至です。(つづく)
2006年6月27日(火)「しんぶん赤旗」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-06-27/2006062705_01_0.html
難航するWTO農業交渉 (下)
食料主権の決着こそ
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日本政府は、アメリカなど輸出国の要求を拒否し、「多様な農業の共存」を訴えています。しかし、中川農水相は「守るものは守り、譲るものは譲る」と繰り返しています。最近は「要求する側(輸出国)が先に譲らないと、要求される側(輸入国)は動けない」と輸出国次第では譲歩する可能性も示唆しています。
譲歩重ねるか
実際に政府は「交渉を動かすため」として、しばしば譲歩案を示してきました。最大の問題は、重要品目の低関税輸入枠を最高35%拡大すると提案したことです。日本の米にあてはめるとミニマムアクセス(最低輸入機会)を年間七十七万トンから百四万トンに増やすことを意味します。
世界の米在庫が三十二年ぶりの低水準を更新し、逆に国内では減反を拡大しているときに日本が米の輸入をさらに増やすのはまったく道理がありません。日本政府は自由貿易の推進の名のもとに米輸入の拡大を受け入れようとしているのです。
かつて日本政府は「米は自由化しない」という再三の言明を裏切った前科があります。加えて小泉内閣は「農業鎖国は続けられない」といい、「国境措置に過度に依存しない政策体系」への移行を宣言しています。
一方、非農産品やサービス分野では大企業の海外進出を容易にするために途上国などに自由化を迫っています。この政府が「交渉の前進」のために農業でさらに譲歩する危険性は大いにあると見なければなりません。
農業犠牲ノー
政府が掲げる「多様な農業の共存」は、自由貿易の拡大をめざすWTO交渉の枠組みでは不可能です。それを真に保障するのは、各国の条件に応じて食料・農業政策を自主的に決定できる権利=食料主権の確立です。
この考え方は、貿易拡大一辺倒のWTOに抗議する世界の民衆のたたかいのなかで広がりました。昨年の香港閣僚会議を包囲する行動でも食料主権の言葉が満ちあふれるなど、WTOに対置する共通のスローガンとして定着してきました。
日本の全中(全国農協中央会)をはじめ先進国と途上国の五十一カ国の農業団体がその概念を含んだ共同宣言を発表しました。国連の第六十回人権委員会でも「食料主権」についての報告が圧倒的多数で採択されるなど、食料主権の確立を求める世論は世界の大きな流れになっています。
五月下旬、日本の農民連と東・東南アジア七カ国の農民組織が東京に集い、「WTOから食糧主権へ」と題したフォーラムを開きました。土壇場のWTO交渉で各国の農業を犠牲にする決着を許さないためにも、この世論を日本と世界に広げるときです。(おわり)
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