療養ｂｅｄを追われた｢医療難民」が増えるとどうなるか考えてみたら気持ちが暗澹となった町医者

療養ｂｅｄを追われた｢医療難民」が増えるとどうなるか考えてみたら気持ちが暗澹となった
http://www.asyura2.com/0601/senkyo23/msg/274.html
投稿者町医者日時 2006 年 6 月 15 日 22:22:44: Jlt0pjLrwYKl6

(回答先: ７５歳以上も医療費負担引き上げ検討へ（TBS News i）【70歳から74歳の負担増を決めたばかりなのに、もう！？】投稿者 gataro 日時 2006 年 6 月 15 日 17:18:04)

医療制度改悪によって、要医療・要介護老人、あるいは老人に限らず、障害者がどういうことになるか考えると暗澹たる思いがします。

本当は政策に文句を言ってても不愉快になるだけだし、寝つきが悪くなるし、ワールドカプやお笑い番組でもみて、気分転換してたほうが、自分の精神衛生上もいいし、診療にも支障がなくていいのです。当院も政策が決まったら決まったなりに、今後の善後策を講じねばならないし、、。

しかし、ｇａｔａｒｏさんが、ご丁寧にも小生の提言にリンクを貼ってくれたので、もう少し続けたいと思いました。多少あきらめモードです。長年医療悪化政策に腹を立てるのにも疲れました。本業に専念したいです。政治は政治家がなんとかしてくれです。

さて、「療養病床を二十三万床（６割）を削る」

と、いう、事ですが、確かに中には、老人の身内が介護できないための「社会的入院」と、言うのも有って、大した病状でもないのに入院している場合もあります。その為に医療費を使うとは何事か？といわれそうですが、じゃあ、強制退院させられるとどうなるか？それでも、日中、老人一人にできません。火の不始末や、徘徊で行方不明になったり
、何かトラブルを起こしかねない。それで、その家庭の誰かが勤めをやめて老人を見守らなければなりません。当然、一家の収入も減り、介護する方の人生設計を変えねばなりません。いずれ、介護から解放されたとして、今の雇用状況では再就職も厳しそうです。
療養病床で社会的入院を診ている事はそういう意味で社会のお役に立っていると思います。そして、真っ先に強制退院させられるのは社会的入院でしょう。

また、６割の療養ｂｅｄを削減すれば、強制退院は社会的入院のみにとどまりません。
病院に入院しているからどうにか生きながらえている方も大勢います。
どうするのでしょうか？厚生労働省は老健施設や特老施設があるからいいと思っている。
確かに、施設は医療保険を使わないから、医療費抑制のためには妙案と考えているのでしょう。毎月定額の支払いで、簡単な検査や薬や点滴くらいなら受けられます。
これを施設の側からみたらどうでしょうか？もらえるのが同じ金額なら、医療の手がかからないほうが得ではないですか？つまり、医療費や手間隙かからない老人を優先したほうが儲けになるということです。ひどい場合になると、重症者を入所させると月謝を上回る薬代や検査代がかかって損をするというわけです。
療養病床から重症老人が大勢退院させられれば、施設側も経営は楽じゃないから、お人よし経営者で無ければ、軽症老人をセレクトするようになるだろうなということです。
経営者に限らず、現場の介護士は看護士ほど、死に行く重傷者を診る事に免疫がない。
現場からも重傷者を入所させない様声が上がります。しかも、それほど人員が豊富なわけではない。むしろ、不足している。
お医者さんも、毎日出勤するお医者さんじゃなくて、自院を息子に軽症したあとの老後の小遣いかせぎとか、自院を持ちながらアルバイトで週１回とか、救急病院とタイアップしてとかが多く、ほとんど医師不在です（施設専業医のみでは食って行けるほど給料でない、むしろ、先に言った理由で、お医者さんが常勤でがんばって検査・投薬すると経営が悪化する）。そんな現場で重症老人を診れますか？月１０万程のアルバイトで、夜間も電話相談に応じ、時に起こされてよばれたり。自院で診療中電話相談で、目の前の患者さんに待たせる言い訳したり。借金で困っているとか言う事情が無ければ、快くは引き受けないでしょう。

スミマセン、つい内情を少し暴露してしまいました。医療に理想を持っている方、ゴメンナサイ。我々も理想を持ってます。でも、長年、国を上げて理想が踏みにじられるのと、医療スタッフも食っていかねばならず、職員に給料を、できることならボーナスも払わねばなりません。

話がそれましたが、国は療養ベッドを減らせば、医療費が節約できて、施設や在宅で診れるだろうど安易に考えすぎていないかという警鐘です。

ここで、社会的入院なんかの軽症者は好んで施設に受け入れられ、在宅でも訪問などでかろうじてなんとかしのげても、施設入所希望者が後を絶たず、何ヶ月待ちも多い昨今、比較的重傷者が療養ｂｅｄを追われたら、施設にも入所を断られ在宅でも疎んじられ、行き場が無くなってしまうのではないか？と、心配しているわけです。しかも、その数２０万人くらいか。なんか孤独死や老老殺人、放置死、自殺、入所・入院待ち待機死、老人の救急車たらい回し、認知症老人の関わる事件・事故、、、。などが増えなけりゃいいのだけれど。まあ、起こっても、政治家やマスコミは自分たちが悪かったとは少しも考えず、みんな個々の現場のせいにするのだろうが。自殺防止法も結局「事業者に責任を取らす」で責任転化でお茶を濁されたし、マスコミも「評価」しているみたいだし、、、。